感染症診療の原則

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なぜかダニに熱いメディア

2013-02-20 | 毎日いんふぇくしょん(編集部)
専門家が問題じゃないかと指摘していることにはあまり反応しないで、
専門家が冷静にみている問題に、(あまり調べていない様子のまま)熱いメディアを興味深く見守っています。

「屋外に生息するマダニが媒介する新種の感染症「SFTS」で、国内で4人目の死亡が確­認されました」
ニュース番組

ワクチンがありません、、、ってすべての感染症にはワクチンをつくれませんし、このワクチンを仮につくったとしても誰が接種対象かわかりませんし、一定の人数いなければ(売れる見込みがなければ)ワクチン製造も不可能です。

新しい怖そうな感染症をあおりモードで自らもりあげようとしているのか、伝える人たちがすごいたいへんなことがおきている!と誤解しているのかよくわかりません。

リスクアセスメントはどうでしょう?

今、地域や国にすごいたいへんなことがおきているんですか?  いいえ
今すぐ何かをしなくてはいけない(する手段があるのか)?   いいえ
報告されている地域や病院、関係者に何かしないといけないことがありますか? いいえ
その地域への訪問や、その地域の生産物の流通を制限しないといけないことがありますか? いいえ

何もないですよ。
感染しても全員が重症化するわけではないことは、中国の疫学調査などで示唆されています。

渡航歴もないのにっ!という点で熱くなるならば、もっと数としてたくさん報告されているアメーバ赤痢にも関心を注ぐとか、ワクチンがあるのに予防できていない感染症とか、注目をしてほしいですね。

ダニに注目なら、ほかのダニ系のことを調べてそれとあわせて啓発するとか、工夫があればなあと期待します。

現地取材に行くときは、理想的なウエアででかけ、番組の中で紹介するなどしてはいかがでしょうか。

リケッチア系、出血熱系、などもう少し大局をつかんでから報道取材をすることをお勧めします。
血小板がさがる!とか発熱! 死んじゃうケースがある!のもこの感染症だけではないので。

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