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TMAT 緊急国際シンポジウム 1 

2011-04-26 | Aoki Office
今日は東京国際フォーラムで開催されたTMATの国際シンポジウムに参加したので、勉強した内容を紹介したいとおもいます。聞きながらのメモなので、ミス表記などもあるかもしれませんが、こういった活動やテーマに関心のある方もいるかなとおもいまして書くことにしました。

過去の経験が生かされている活動、ということが伝わります。

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まず最初に、TMATから、なぜこのようなシンポジウム開催となったのかの説明がありました。

紹介をしたのは、TMAT理事である弘生会病院院長(東大阪)の橋爪慶人先生。オレンジのチームジャケットを着てのプレゼンです。

TMATができたきっかけは一番最初の活動は阪神淡路大震災のとき。
被災したものの神戸徳洲会病院を中心に、周囲の医療支援にあたりました。

大黒小学校(須磨区)の診療所をベースに、長田区は10日間巡回診療。
活動に参加した医師は483人、看護士884人、薬剤師/事務その他が856人。

この後、こうした活動をしたい有志が集まりました。

(TMATは昨年ハイチにもでかけています特筆すべきはその迅速さです)。

ハイチのときは、日本時間の1月13日に地震発生。翌日1月14日には先遣隊が出発しています。
活動をしながら医療ニーズの高いところを探して行くという方法をとっています。

2004年スマトラ地震ではアチェで活動。
トリアージは緑か黒タグが多く、助かっているひとはすぐに内科疾患になることはここでも同じでだったそうです。

TMATは帰国後に研修を展開。ベーシックコース(2日間)を20数回開催、500名が参加。
(今回の地震ではこのときの仲間が参加。イーマルサットの使い方も研修で学んでいます)

今回の震災では、3月11日の14時46分に地震。その日の17時に四街道、鎌ヶ谷、東京西、等4つの病院からチームが東京に集合して出発することになりました。

全国から集めた救急車はぜんぶで30台。のべ1104台出動。救急車を足代わりにして物資を運びました。
被災した仙台病院に集合。このとき気仙沼/南三陸、 石巻、 仙台、 相馬の4つの地域があり、どこにいくべきかを、他の医療チームの情報を確認しながら検討。
DMATは2チームあった。そこと連絡して医療チームが入れないところにはいっていきました。

結果として、階上中学、大船渡、本吉病院、南三陸で支援活動開始。

ロジとしては、まず、東京に人とものをあつめて救急車を使って現地へピストン輸送。
仙台に集めて、そこから救急車で支援サイトへ輸送。

人やモノの流れとしては、まず23時に東京を出発。朝6時には仙台に到着。そこから被災地に輸送して10時には到着。つまり、必要なものは前日夜までに連絡すれば翌日にはモノが届いているという仕組みです。

途中でガソリンが入手しにくくなったため、16000リットルのタンクローリーを確保して診療を継続。
問題になったのは原発の近くを通るため、救急車には線量計をつみ、計測しながら輸送。

疾患構成構成としては、超急性期は短く、3-4日から呼吸器循環器が増加。
TMAT隊は台湾、アチェの地震での被災地支援の経験から、必要になる薬剤を分析しており準備が可能でした。

連絡のために、もともと災害時優先携帯電話を徳洲会では500台以上持っており、20台をTMATリーダーがもつようにしたそうです。
イ-マルサット モバイル10台、小型1台、大型1台を手配。

その後、PCネットブック/通信用アダプターを使ってネットやメールのやりとりが出来るようになっていきました。

今日までに14225人を診療。元の医療リソースが復旧したらそちらに引き継いで支援終了。
(こういった数字が整理されているのも医療者以外のロジの人が同行している強みですね)

しかし、本吉病院と相馬/三陸はまだひきつぐ病院がないため診療継続中。
元吉病院は医師がゼロでここを今後どうするかは課題。
南三陸はイスラエルチームが残したクリニックで、この地域で生き残った医師6名が診療中。
このエリアは5月2日撤収予定。

TMATとして活動した医師はのべ1080人(196人)、看護師1872人(327人)、薬剤師244人(46人)、その他1738人(729人)という状況です(すごいですね!)。

米国からは43人が被災地支援のために来日(医師28、看護13)

米国チームは最初どうやって活動すればいいかわからずにいたものの、TMATコネクションで参加。

今回の支援活動に参加した人が、帰国後も米国で何かできることを、ということで準備をして、今回のスピーカー3名が来日することになったそうです。

TMAT隊はたくさんの経験をしてきたものの、「放射線障害についての経験が未熟」であり、勉強をしたいということになりました。
そして、自分たちだけでなく多くの医療関係者にも知ってもらいたいということになり、今回のオープンの講演会となったそうです。

会場はほぼ満席でした。

これまでにも様々な報告を聞きましたが、ロジが強い、というのが第一印象です。
こういった活動にも関心がある方には、徳洲会は魅力的なプログラムですね。

(このシンポジウムの前に、相馬での医療支援を視察したとのことです)
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