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感染症診療の原則

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(リンクはご自由にどうぞ)

ふたたび 分母の話

2011-02-24 | 毎日いんふぇくしょん(編集部)
感染症だけではありませんが、何かの数字を解釈する際に分母がとても大事です。

どのようなデザイン? 誰がサンプル? 有効回答率は? その中でのインパクト?

比較するデータも、まったく違うデザインの研究と比べちゃっていいの? 等です。

大学時代にも勉強することですが、臨床に出てからそのリアリティを実感しつつ再度勉強することはとても有意義だと思います。

先日記事にした、読売新聞のHPVワクチンでの失神「多発」ニュースは、いろいろなところからリンクで読みにこられた方が多かったのですが、

分母情報とあわせて考えることが大事だね、がすぐわかる事例でした。

今朝もHPVワクチンのニュースがあったので、それを例にもうひとつ紹介です。

産経新聞です。
「子宮頸がんワクチン高い認知度」

記事はこのようになっています。

「女性の8割近くが子宮頸(けい)がん予防ワクチンを知っており、7割は自分も接種したいと考えていることが厚生労働省研究班の調査で分かった。
 昨年9月、全国の16~49歳の男女にアンケートした。国はワクチン接種費用の公費助成対象を中1~高1の女子としており、回答者の大半は助成対象外だが、国民的な関心の高さが示された。
 女性の有効回答869人のうち、このワクチンを知っていたのは78.4%。「非常に接種したい」と「まあ接種したい」を合わせると71.3%が接種を希望した。
 男性(有効回答671人)の認知度は42.5%にとどまったが、パートナーに「接種してほしい」と考える人は72.0%に達した。」

引用されているデータは「厚生労働科学研究費補助金(成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業)「望まない妊娠防止に関する総合的研究」班」の分担研究(北村邦夫) (第5回男女の生活と意識調査からのものです。

層化二段無作為抽出法で、平成22年9月1日現在満16~ 49歳の国民男女個人3,000人を対象として行われたものです。住民基本台帳閲覧の許可を受けた上で、150地点から20名余の対象者を抽出。平成22年9月11日(土)~ 9月28日(火)に、調査員による訪問・留置・回収。
有効回答数は1,540人(男性671名、女性869名)、回収率は57.2%。

バイアスを減らすために重要なのですが、この調査方法はとてもお金と時間がかかり、また昨今個人情報保護・・・・とかでやりにくくなっています。
HPVワクチン以外にも、避妊法や中絶経験が設問にあり、センシティブな話題の調査なので、回答率は高い印象です。

このサンプルが勉強会参加者だったり、特定の案件に関心事項のある人の集まりだと結果はまたかわってきます。
最近はインターネット調査などもありますが、これはまた別のバイアスがかかってきます。

何をしても限界や解釈の問題はあるのですが、同じ「多い」でもずいぶんインパクトが違うな、という話でした。

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