Dr. WAKASAGI at HEI-RIVER(閉伊川ワカサギ博士)

森川海をつなぐ学び合いの活動を紹介します

2020.3体験を通して育む「森,川,海のつながり意識」

2020-03-17 | 森川海に生きる人びと

「育(はぐく)む」という意味の気づき

1月29日〜2月4日まで6泊7日の日程で開催された第4回目となった日本台湾森川海体験交流会が岩手県宮古市閉伊川源流〜河口域にかけて開催された。今回4回目となり大切なことに気づいた。それは,育む(はぐくむ)という言葉の意味だ。育てる(そだてる)の意味と大きく異なることにも気がついた。そのようなことを気づかせてくれたのは,いつ訪れても変わることがない普遍的な自然の摂理を保つ「森川海の存在」だ。育むとは「親鳥が子供を羽でくるむ」という意味があるようだ。「森川海のつながり」の意識は,そのような健全な存在の中で育まれるものなのだ。子供を健全な大自然でくるみ,大事に育てること。それは,大人たちの重要な役割。その役割を何千にわたって実践しているの森川海の地元の人々だ。

 

毎日を記録する十字モデルワークシート

そのような気づきを感じたのは,「メモ帳」が記録した子どもたちの毎日の意識の変化である。ここでいう「メモ帳」とは科学的思考に沿い作られた「十字モデルワークシート」である。この十字モデルWSを用いて,現状認識,問題把握,仮設設定,結果考察,今後の課題に分けて,毎日の振り返りを記述してもらう。

源流での記述には,「水生昆虫をたくさん見つけた」という体験の喜びを記述したものや,「水生昆虫は魚の餌になるから大事」,「水生昆虫がきれいな環境でないと生きることが出来ない」あるいは,「森川海は私達につながっていて,守っていかなければならない環境だ」,といった体験を通して,今後どのようにしたら良いかという規範意識まで記述するものまである。

 さらに,閉伊川河口へと下り,魚市場での水揚げの様子や大きな魚の観察,浄土ヶ浜での自然体験とホテルでの食事を通して,「森の栄養源が川に入って、川の生物の栄養となり、そして海に流れ、魚を育む。そういう生物循環があって、私達は美味しい食べ物をいただくことができる」と,森林からの栄養が川を通して海へとつながっている事への実感が込められた記述が見られるようになる。ここで,台湾海洋大学のレイ・イエン教授のメモを紹介する。

1月29日

今朝, 子どもたちは東京行きのフライトを楽しみにしていました。日本チームは空港にてピックアップして, おにぎり, パン, ビスケットを用意してくれました。とても思いやりがありました。【写真①】

1月30日

東京の森川海を初めて体験, 朝食後, 東京駅に荷物を荷造りした後,品川駅からタクシーでヤマツピア桟橋へ。クルーザーに乗り品川から芝浦を経て浜離宮を見学し,その後港区古川沿いにさかのぼり森に囲まれた代々木公園で休息し,原宿新宿を経て東京駅に戻りました。新幹線に乗車し区界高原を目指しました。【写真②】

1月31日

子どもたちから最も期待されている雪のイベント。区界高原少年の自然の家で,宮古の最初の森ツアーです。山の雪を見て, 誰かが興奮しています。スキーの後は,水生生物観察です。水源は豊富な栄養素があり,イワナが産卵する場所でもあります。簡単な説明の後, 子供達に一人でサンプルを取らせ観察させました。【写真③】

学習会のあと,佐々木先生は,誕生日ケーキを用意してキャンドルを灯して,皆で誕生日のお祈りをしました。暖かく幸せな夜を過ごしました。【写真④】

2月1日

宮古駅に向けて出發。駅前にて,最も美味しいヤギミルクティー。 台湾に比べてちょっと高いけど(450日本円 台湾ドル150), 本当に美味しい。甘すぎず 羊の臭いなしの強いミルク味, タピオカもとっても非常に柔らかくておいしい!!! 【写真⑤】

 八木沢川を訪問し,生物採集調査を行いました。水はとてもきれいです。日本人は環境の持続可能性に非常に重要性を払っており,川の中のエコ環境は子供たち自身によって作られています。【写真⑥】

 ククナキッチンカーにて中華ランチをいただきました。311の津波後に地元の復興を願い活動されている姿に感動しました。【写真⑦】

 午後は,宮古魚市場へ。1. 衛生面,2. 親切な対応,3. 近代的設備,4. 漁業のプロ意識に大変感動を覚えました。【写真⑧】

1. 衛生への配慮: 誰もがレインシューズ, 帽子, 手洗いするステップに従わなければなりません. 海水と雨は消毒され海水を消毒しています. 漁獲物は地面に一つも落ちていません.
2. 親切な対応: 観光客や学生を研修生に歓迎するほか,スタッフも非常にフレンドリーで, レインシューズや帽子を持った観光客を歓迎してくれます. 皆さんフレンドリーで, 全体的な雰囲気がとても良いです. 誰もが笑顔で, 戦いの雰囲気はありません.
3. 近代的設備: 現金衛生と環境機器を除いて, すべてオンラインで, すべての漁船は非常にきれいです.港では, タブレット経由でオンライン情報によって, 漁獲状況を理解することができます. 各船がどれだけ漁獲したかわかるのです。また,セリ売りは透明性が高く, すぐに買った人を登録でき,そして, 永久に管理することもできます.
4. 漁業のプロ意識: 魚の組合の漁師や漁師に多くの若者が, 誰もが自分の職業を主張し, 漁業を尊敬する職業としています.

 その後ワカサギ釣り調査。誰も魚を釣っていませんが, 魚を捕まえるのは特別な経験で,夢中に釣りを楽しんでいます。【写真⑨】

2月2日

浄土ヶ浜では,貝殻を収集するほか, 子供たちはカモメに餌を与え喜んでいました。カモメの目はとても綺麗で,指先から上手に餌を食べていきます。【写真⑩】

 水産科学館に行きました。あまり大きくはありませんが, 宮古市の養殖,鮭に関する展示情報がたくさんあります。科学的情報に加え, 伝統文化や歴史がたくさんあり, 子供たちが遊ぶ場所もたくさんあります。【写真⑪】

 縄文の森ミュージアムのプロジェクションマッピングや展示には,初めて知る日本の歴史に触れることができ,とても感動しました。子供も大人もペンダントづくりに夢中です。【写真⑫】

浄土ヶ浜パークホテルの滞在は,感動でいっぱいでした。素晴らしいサービス,食べ物,環境は本当に機能できない, すべての部屋. 日本の最初の日の出を見て, 空間は快適で, 日本のホテルのおもてなしを感じさせる思いやりがたくさんあります。このレストランは間違いなくすべての友人に経験する価値があります。【写真⑬】

2月3日 

岩手県宮古駅前にて解散式が行われました。参加者は小学生6名,保護者7名合わせて13名でした。市長にも偶然お会いし記念写真を撮りました。【写真⑭】

子どもたちへの期待

最終日のリフレクションで「それぞれの生き物や環境がつながっている事に気づいた」と子供からも親御さんからも多数の発言が見られた。その発言の背景には,森川海のつながりの中での体験によって「森川海のつながり意識」が育まれたからだ。育むためには,育むための器が必要だ。閉伊川流域は,「森川海のつながり意識」を育む最高の器である。最良の器と一体となる活動によって,森川海のつながり意識が芽生え,自然と人のつながりを大事にするリーダーに育つことを期待したい。(育つには自律の意味があるようだ。)
 本活動を支えていただいた区界高原少年自然の家,閉伊川大学校,八木沢川を守り育てる会,水産科学館,縄文の森ミュージアム,宮古市魚市場はじめ宮古市の関係各位に感謝申し上げます。

(みやこわがまち2019年3月掲載を一部追加改編)