「地域にある食の本有的価値(森川海と人との時空間的つながり)を理解・共有することによって森川海に生活する人々の共感力が高まる。ひいては森川海が一体となった地域のレジリエンス,持続可能性が高まっていく」との考えを紹介する。
1 食べ物とは何か?
皆さんはどのような食べ物をいただいているだろうか。
その食べ物は大半が森川海とそのつながりの中で育まれた物だ。また,食べ物は,突如この世に現れた物ではなく,人々がそれぞれの地域に誕生したころにはすでに存在していた。食べ物があったから定住できた。すなわち,空間的,時間的つながりの中から生まれた物である。そのことを体験を通して理解していくことが必要だ。食べ物は,人間と自然との接点である。本来,食べ物を食べるとは,体験が伴うものである。体験を通して,食べ物はどのような関わりを持っているのか,理解できるようになる。しかし,今現在,食べ物のほとんどが大手スーパーで買うようになっている。本来あったはずの体験が消え失せ,見た目,広告,宣伝,など目先の価値で選択する事が多くなったのではないか。その結果,食べ物の本来の価値,すなわち森川海と人との時空間的つながりが理解できなくなったのではないか。
2FIVの中身とは?
FIVの理解は単なる体験から理解するだけではなく,体験を伴いながら食べ物の本来の意味を理解するためのプラットフォームである。プラットフォームとは在来知 (Tradisional Ecological Knowlegde)と水圏環境リテラシー基本原則(Fundamentals of Aquatic Marine Environmental Literacy 等の科学知(Scientific Knowledge)を融合したものである。FIVは人々が持つ体験と知識体系とを共有する役割を果たす。プラットフォームを身につけると,森川海と人の時空間的つながりを科学的に理解,説明できるだけでなく,在来知の立場から説明できるようになる。そのことが,流域の人々がFIVを理解することはお互いのつながりを理解することになる。