レジリエンスと持続可能性は,しばしばいっしょに議論される。
本来別々の物であったが,レジリエンスが高まることにって持続可能性も高まるとの考えが通説になっている。ここで述べた通説とはアメリカの研究者が唱えている,レジリエンス理論である。
この場合は,社会の発展には4つの段階があるという。この段階を乗り越えられるかがレジリエンスにかかってくる。レジリエンスが十分にあれば4段階を進めることができ持続可能な社会となる。
この理論を基に,縄文時代をレビューすると,狩猟採集民の時代と栽培民とで大きくレジリエンスが異なるという。すなわち,狩猟採集民は比較的な多様な食べ物を食しているが,栽培民となると単一栽培が中心となり,収穫量が一気に踏めそのことで人々が集まって来るようになり人口のピークを迎えるようになる。しかしながらその後,嘘のように人口が減少する。今までは寒冷化によって人々が離れたとの仮説を立てている。
このような状態は,今まさにグローバル化の時代と軌を一にする。グローバル化の波の中で効率的な栽培方法で作物が作られ,安い物を大量に生産し消費者をコマーシャルで攪乱させ最終的に大企業が儲かるような仕組みとなっている。最終的には,大企業の一人勝ちとなり,どんどん自然が破壊されていく。大震災が発生すると流通がストップし物資が不足する。
今まさに,閉伊川流域は風前の灯火である。確かに,グローバル化によって便利は良くなった。。しかし,今現在,持続可能な生活を維持できるのは80歳以上の方々だけである。この人たちがいなくなったら,伝統文化は途絶えることになる。
ここからが私たちの出番である。すなわち,在来知をいかにして後世に伝え残すのか。それが閉伊川流域での森川海とそのつながりを基調とした環境教育プログラムだ。それぞれの地域にいる人々がお互いの地域を理解し合うこと,そして外部の人々も加わり,流域の価値を理解するのである。その価値が共有されたときに共感力が高まる。レジリエンスの定義はあるがどのようにして育成するかについて議論が不足している。私たちは,共感力がたかまることでレジリエンスの高い地域社会が構築されると考えている。
また,本有的価値はプラットフォームとして理解することが必要であると考えている。本有的価値は在来知をその在来知を科学的に意味づけをする水圏環境リテラシー基本原則や科学的調査が含まれている。この水圏環境リテラシーは,国際的な取り組みとして
アメリカ,ヨーロッパの人々と共有されている。貨幣価値ではない,本有的価値による物事の考え方をグローバルで共有することによって持続可能な社会の実現に大きく貢献するであろうと思っている。
そのムーブメントがサクラマスMANABIプロジェクトである。