Dr. WAKASAGI at HEI-RIVER(閉伊川ワカサギ博士)

森川海をつなぐ学び合いの活動を紹介します

旭区帷子川環境学習交流会(H25.2.23開催)の講評

2013-03-13 | 水圏環境教育
旭区帷子川環境学習交流会(H25.2.23開催)の講評をまとめていただきました。
講師(東京海洋大学准教授 佐々木 剛先生)からの講評 要旨

【川のゴミは、見つけたらすぐに拾いましょう】
・皆さんには今回の発表で川の様子を発表してもらいましたが、その中の発表の中に、帷子川に捨てられているゴミについて取り上げている学校がいくつかありました。このゴミに着目したことはとても大切なことです。
・皆さんの住む旭区は、海に面していませんので、もしかしたら海についてあまり普段から意識することはないかもしれませんが、海は決して遠い存在ではなく、私たちの生活にとても関係があります。
・もし、川に少しのゴミが捨てられたとしたら、それは海にたどりつく頃にはどうなっていると思いますか?そうですね、小さなゴミも海にたどり着く頃には、周りの小さなゴミと一緒になって、やがて、大きなゴミになってしまいます。
・そのゴミがポリ袋のようなフワフワしていてそんなにかさばらないゴミだった場合でも、決して問題がないということはありません。
・ポリ袋のようなゴミは、川の流れや海の波の力で小さく砕かれて、海にたどり着く頃には、プランクトンのように細かなプラスチックになってしまうため、クラゲだけではなく、魚もエサだと思って、そのプラスチックのゴミを食べてしまうことになります。
・そうしてゴミを食べた魚を、漁師さんが釣ると、ゴミを食べた魚を、最終的には、また私たち人間が食べることになるのです。
・つまり、人間が捨てたゴミは、結局はまた人間に戻ってくるのです。だから、川でゴミを見つけたらどんなに小さなゴミでもすぐに拾うようにしましょう。

【帷子川の貴重な生き物を大切に】
・本宿小の発表の中で、地域の人に昔の川の様子についてインタビューをしたら、昔は、ヤツメウナギが帷子川に多くいたという発見がありました。このヤツメウナギは恐らくスナヤツメのことだと思いますが今ではとても珍しいウナギです。
・ヤツメウナギは、水が綺麗なところではないと生きていけない生物です。もしかしたら、まだいるかもしれないので、これからも川の調査をしてぜひ、新しい発見をしてほしいなと思います。
・また、多くの学校の発表でギバチが帷子川にいることを発見したということですが、これも素晴らしいことです。
・関西の方では、ギバチは、既にいなくなってしまった魚(絶滅危惧種)なので、この帷子川でギバチが今でも多く見られるというのは、帷子川が素晴らしい川だということです。これからもギバチの調査を続けてください。
・また、同じく発表の中で、多くの学校がシマドジョウやホトケドジョウを見つけたようですが、これも珍しい魚です。
・私が活動している岩手県の閉川では帷子川とは特徴が違うので、シマドジョウもホトケドジョウもいません。
・河川の環境によって生きている生き物も変わるのですが、その川に特徴ある生き物のことを指標生物と言います。このように帷子川特有の指標生物になるシマドジョウやホトケドジョウは、これからも大切にしてほしいと思います。

【川井焼の発見から見えてくる、旭区は昔は海の底だったかもしれない?!】
・川井小の発表では、帷子川の底に沈む土が、実は粘土になっていることを発見し、さらに川井焼という土器まで作ってしまったことは素晴らしいことだと思います。
・そして、さらに素晴らしいと思ったのは、粘土の成分の中には、鉄が多く含まれていたということを発見したことです。
・太陽系の全ての元素の中で、鉄は一番多い元素です。
・人間が生きる上でも重要で、鉄は血液に多く含まれています。鉄がないと私たちは生きてはいけないのです。
・ここで質問ですが、酸素は、誰が作ったと思いますか?木が作ったと思う人?酸素は海が作ったと思う人?
・正解は、地球にある酸素の多くは海で作られているということです。
・微生物のチアノバクテリアが、光合成をして海の中にある鉄と二酸化炭素を使って酸素を10億年以上かけて沢山つくりました。
・私たちは、何年もかけて海が作ってくれた酸素があるおかげで、今、この地球で生きることができるのです。つまり、海がないと私たちは、この地球上にはいなかったということになります。
・また、海の底には、沢山の鉄が沈んでいます。この海が隆起してくると、山になり、その山から川が出来るため、川の土には多くの鉄が含まれているのです。
・このように、鉄がある秘密を探っていくと、ひょっとしたら、この旭区の辺りは、昔は、海の底でそれが、隆起して山になり、川が出来たため、鉄を含む土が帷子川から出てきたのかもしれないということが想像できるわけです。

【さいごに~これからもふるさとの帷子川についての活動を続け川を大切にしてください~】
・このように考えても、皆さんの学習した内容は、大変素晴らしい発見が沢山あったことが分かります。
・また、今日の皆さんの発表の中で、「未来へこの帷子川を残していきたい」という意志を感じることができ、とても感動し嬉しかったです。
・東京海洋大学は、海の活動だけでなく、川についても活動をしています。皆さんの活動は色々な大人たちが応援しているので、この活動をぜひこれからも続けていただきたいと思います。
・今日はとても素晴らしい発表でした。本当にありがとうございました。

<講師について>
■所属・氏名:東京海洋大学准教授 佐々木 剛 先生(水圏環境教育学研究室)
■経歴:別紙、プログラムのとおり。これまで、同じく東京海洋大学客員准教授の「さかなクン」
等と一緒に、子ども向けの環境イベントを数多く経験されており、子ども目線の分かり易
い解説に定評があります。