Dr. WAKASAGI at HEI-RIVER(閉伊川ワカサギ博士)

森川海をつなぐ学び合いの活動を紹介します

可溶性鉄(Fe2+)の存在が真核生物の進化に大きな影響を与えた(ネーチャー1月号より)

2011-10-10 | 里海探偵団
ご存知のように,海の化学組成は地球の表面の酸素によって大きく変化しました、そして海の化学組成は生命進化、エコロジーの歴史に影響を与えました。初期の地球は海ー大気システムによって特徴づけられたのに対して、先カンブリア代以降の顕生代Phanerozoicの長い時代(5億4千2百万年)は動物拡散に貢献する酸素生物圏として知られています。先カンブリア代原生代Proterozoic(10-18億年)の表面環境の酸化還元の特徴はそれほどよく知られていません。原生代は世界的規模でsulphidic(硫化物に満ちた状態=ユーキニック)が深海に存在していたと一般的に言われています。

ここで本研究において期の海の泥岩層からの鉄のデータが得られています。すなわち,上述のポピュラーなモデルに反して、原生代の海における多様な古地理学的な環境においてはferruginous(無酸素でFe2+に富んだ状態=可溶性鉄)が時空間的に広大であることから,eukaryotic(真核生物)進化のために重要な入り口となる鉄の層群の時間的分布と生物進化に重要な微量元素に関する新しいモデルが立てられました。

Geochemical evidence for widespread euxinia in the Later Cambrian ocean 後期カンブリア海における広範囲にわたるユーキシニアの地質化学的証拠
Benjamin C. Gill,, Timothy W. Lyons,, Seth A. Young, Lee R. Kump,, Andrew H. Knoll & & Matthew R.Saltzman
Nature 469, 80–83 (06 January 2011)