Dr. WAKASAGI at HEI-RIVER(閉伊川ワカサギ博士)

森川海をつなぐ学び合いの活動を紹介します

神奈川県の漁業のいま

2011-01-20 | 水圏環境教育
神奈川県の漁業について,平塚漁協の若手担当者からの事例発表を「水産を考える会-」でお聞きした。

神奈川県の漁民は20年前に比較すると4000人から2000人へと落ち込み,漁獲量も10万トンから5.5万トンへ減少した。特に沖合,遠洋漁業の衰退は激しい。しかし,唯一変わっていないのは沿岸漁業であるという。また,栽培対象種であるマダイ,ヒラメ,アワビ,サザエの水揚げ量は全体から見ると極端に少ないという。

このことから考えると,いかにして沿岸の漁業(栽培漁業ではなくて)を持続可能な状態にするかが重要な鍵となる。平塚漁業は定置網が主体であり,これまでの市場流通から、対面販売へと力を注いでいるようだ。対面販売のメリットは,消費者と漁師がつながることである。また,もう一つの工夫は、定置漁業の様子をユーチューブにアップしていることである。店頭にならぶ食料としての魚がどのように漁獲されているのか、動画で情報を消費者に提供する。また,平塚でとれる水産物についての教育活動も行っているようである。

注目すべきところは,オープンであることである。漁民にとっては一番の大切な生活の場所をオープンにすることで消費者の理解が深まり,より高い価値が生まれて行く。確かに,対面販売などは全国でも珍しくないが,自分たちのフィールドをオープンにすることに抵抗をいただいている地先は多い。また,こうした先進的な取り組みを漁協が自ら率先して取り組むことも重要である。

こうした生産者の意識を変革する努力をしていくことで,消費者の理解が広がり,水産大国である我が国を誇りに思う国民が増え,魚食が普及し,持続可能な沿岸漁業につながっていくのである。