goo blog サービス終了のお知らせ 

宇宙(そら)を見上げて

謎の天文機材技師 ☆男(hoshiotoko)のブログです。

堂平の宇宙(そら)から5

2016-10-26 20:58:00 | 堂平の宇宙(そら)から
技師長の笠原です。
私がブログでこれらの記事を書くのは、Nikon望遠鏡へのリスペクトと
後世への情報継承のためです。この望遠鏡は日本天文学の歴史そのもの
だと思っております。
なお、堂平天文台関連作業はボランティアではなく、私の会社である
有限会社エイエフテックが、ときがわ町(星と緑の管理委員会)から
正規に受注した仕事であります。

前後しますが91cm反射望遠鏡を動態保存する命題により、
制御用パソコンであるPC-9801を入れ替えました。

PC9801-RX21からPC9801-DX/U2に改装。2台納品です。
OSはNEC MS-DOS Ver,3.30Dの未使用新品。


完全にリニューアル、電源強化仕様です。
需要があるので、まだまだ入手可能です。


望遠鏡コントロールラックとはコンテックのPIO24/24によってI/O通信
を行っています。1992年の大改修でハイデンハイン社のロータリーエンコーダ
を直接PC9801で読み込んでいます。これにより、自動導入の位置決め管理
はPC9801の仕事となっています。


アイ・オー・データ機器のPC9801対応液晶モニタです。


背面です。
PC9801が無くともこの望遠鏡は動きます。
Nikon望遠鏡コントローラとはコンテックのPIO24/24でI/O通信制御を
行っています。追尾周波数はhpのマルチシンセサイザーが作り出しており、
HP-IB(GP-IB)で制御しています。赤経・赤緯にはドイツ・ハイデンハイン社
の超高級ロータリーエンコーダが付いており、PC9801で直接読み取って
位置管理を行っています。数値制御ボードは八王子のメレック社の
C-851を使っています。赤経・赤緯の追尾と微動はオリエンタルモータの
デジタルサーボモータに改装されており、これの数値制御をC-851で
行っています。


1990年にNikonが設計し、1992年に稼働したシステムですが、
まるで私が設計したような構成です。
私が設計しても、おそらくは、ほぼ同じ構成になったと思います。
なので、見ただけで何をやっているのか直ぐに解ります。

望遠鏡の自動導入ソフトはOPDESK.exeというものです。


国立天文台からときがわ町に移管されて以来、この望遠鏡はアマチュア有志
によってサポートをされて来ました。現在でも観望会をはじめ、アマチュアの
サポートが欠かせないです。
ただ、肝心の望遠鏡システムに関してNikonのサポートが得られておらず、
これもアマチュア有志に委ねられて来ました。
私が調査したところ、望遠鏡制御ソフトの原本が何処にあるかわからず、
たった1枚のフロッピーディスクだけでずっと運用して来たようです。
恐ろしい状態ですね・・・

早速システムディスクから複製をつくりました。


この辺は昔掘ったアリ塚とやらで、目をつぶっていても出来ます。

今回はここまでです。

コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

堂平の宇宙(そら)から4

2016-10-26 19:16:00 | 堂平の宇宙(そら)から
技師長の笠原です。
私がブログでこれらの記事を書くのは、Nikon望遠鏡へのリスペクトと
後世への情報継承のためです。この望遠鏡は日本天文学の歴史そのもの
だと思っております。
なお、堂平天文台関連作業はボランティアではなく、私の会社である
有限会社エイエフテックが、ときがわ町(星と緑の管理委員会)から
正規に受注した仕事であります。

2016年10月5日から約20日間停止状態にあった91cm望遠鏡が復活しました!


調査の結果、メイン・コントロールラック内にあるシーケンサが
故障していることが判明。これは、その解析・修理レポートです。

このユニットが壊れていました。


1992年にNikonによって大改修が施されて以来、一度もメンテナンスされずに
今日まで動き続けて来たシステムです。赤道儀内の粗動モータや電磁クラッチ
は建造以来そのままです。54年目に入っています。

赤経関連リミットアラートが点灯しっ放しでシステムが起動しません。
まずは断線チェックやリミットセンサそのものを調べて行きます。


リミットセンサは常時GNDに落とせば動作できるローアクティブ・フェイルセーフ設計
だったので、ダミーリミットを噛ませて機内配線側を隔離します。


この状態でもリミットアラートが解消されないことから、問題はコントロール
ラック内にあることが解りました。

次に、シーケンサまでのリミット配線系を調べます。


結局関連ハーネスを全部調べましたが全て正常でした。
ケース開放状態で通電したところ、三菱シーケンサ自体がエラー表示を
出してストップしていることを発見。
メモリーバックアップ用リチウム電池が液漏れしていました。


漏れた電解液が制御用EEP-ROMに掛かり、ベトベトです。


まずはリチウム電池を交換してみます。


全く改善されません。
こうなったらコントローラを持ち帰って徹底的にバラシて調べるまでです。




思った通り、電解コンデンサ関連がやられています。
一般的な電解コンデンサの連続通電寿命は5年です。
間欠使用でも10年経てば怪しい挙動になって来ます。 が、
本システムは26年経っております。

シーケンサ、お亡くなりになりました。
まあ、もしかしたら全部の電解コンデンサを交換すれば復活するかも
しれませんが、今はそこまでやっていられません。

修理→当然不可能との回答。(三菱シーケンサ)
代替品→全く同じものは無し。
シーケンサプログラミング関連ツール→無し。
国内流通新品在庫→ある訳けがない。
国内流通中古→全くヒットせず。

四面楚歌ですねえ~(ノД`)・゜・。

仕方がないので海外を漁ったところ、ありました!
シリコンバレーに10台の新品が!
早速購入手配をして入荷を待っていましたが・・・・

なんと!

10台全部がバッテリーの液漏れによる腐食で出荷が出来ないとの回答。
返金する、今回はごめんなさい・・・なんてつれないメールが着弾。

・・・org 凹む

こうなったらアジアだ!ってことで更に調査。
ありました、ありました。
シンガポールと中国と韓国に。
まあ、どれもこれも怪しいですが、一番まともそうな(勘です)韓国の
業者から直輸入することに決めて発注。
  |
  +->国際小包で中3日で到着しました。
       イヤー、今やボーダーレス・ワールドワイドですねえ。

ってことで、
本日現場に持ち込んで交換作業と相成りました。


上が壊れたシーケンサ、下が韓国からやって来た代替え機。
メモリーをフラッシュし、EEP-ROMを移植。

頼む、動いてくれ!!

おお~、動きましたよ。(≧▽≦) きゃ~、俺って天才!







安心はできませんが復活はしました。
これで秋の観望会は開催できそうです。良かったあ~。


コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする