幸・不幸の分かれ道 考え違いとユーモア | |
土屋 賢二 | |
東京書籍
|
何年前か,何十年か前にも,哲学を身につけたいと思い,哲学に関する本を読見始めたが,数頁で諦めました。そんな経験を数回繰り返した後「自分には哲学は向いていない(哲学が分からないではありません)」ことが分かりました。
本書を最後まで読み通すことができたのは「本書はユーモアエッセイではない。哲学書ではない。」と著者がまえがきで述べているとおり,哲学書ではないからだと思います。
確かにユーモアエッセイでもありませんが,手術を受けた後の著者と看護婦さんのの会話は傑作です(184頁)。
看護婦「あなたの本のフアンです」
著者「ぼくはこの病院で手術をしていただいて,ありがたいと思います。先生も看 護婦さんも信頼できる方たちなので,なんの不安もありませんでした」
看護婦「そうなんですよ。この病院では。手術室では死者は出さないようにしてい るんです」
著者「じゃあ,手術中に死にそうになったら手術室の外に出すんですか」
本書は,「緻密な思考」と「ユーモア」という二本の柱から書かれています。緻密な思考は,すべてのことを疑うことであり,ユーモアは不幸を乗り越える有効な方法であると説きます。
何でも疑うことが結構面白い作業であることと,ユーモアのセンスは苦難や不幸に立ち向かう武器であることが分かりました(本当だろうか?)。というより,いわゆる常識も色んな角度で考えることができるということでしょうか。
「本書を読んでも幸福になれなかったじゃないかと思う人は,幸福を保証していないことが納得できるまで,是非何冊でも買い直して見てくください」と著者は前書きで述べています。決して私の言葉ではありません
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます