仏果を得ず三浦 しをん双葉社このアイテムの詳細を見る |
「あやつられ文楽鑑賞」と、対で読むと・より面白いかもしれない。
若手・義太夫を歌う・健(タケル)の成長と恋の物語。
人間国宝の師匠・銀太夫。兄弟子・兎一郎。
文楽好きの個性的人物が周りを固めている。
義太夫を語ることをいかに高めていくかの過程で、「女殺油地獄」「心中天の網島」「仮名手本忠臣蔵」など、文楽の鋭い解説ともなっています。
銀太夫と健の・都都逸掛け合いも面白い!!!
「女殺油地獄」の与兵衛に、健を投影させ、読者も巻き込んで、彼のキャラクターに切り込んでいく。
人妻を殺し・破壊的な生活をする油屋の息子だが・・・・・。
与平衛の魂は、自由を求めているから・・・、あらかじめ定められた生への疑問を描きたかった作品なのではと、読み解いていくのがスリリング。
親もお吉も、近所の住人もあきれながらも憧れる。
自由を求める色気があるからだ・・・と。
「仮名手本忠臣蔵」の、早野勘平を、語り切る苦悩・模索は、さらに面白い。
ここに、題名の「仏果を得ず」が、出てくる。
仏果とは、辞書をひくと・・・、「成仏という結果。仏道の修行によって受けるむくい。)となっている。
父親を殺したと思い込み。恋人が廓に身売りしたお金を知らずに奪い、敵討ちの仲間に加わろうとする勘平。
忠義だけに生きる忠臣郷右衛門に、さとされる・親を殺し!!!財布の中身の黄金の意味を!!!!仏果を得よ!!!!と。
健は、「生きて・生きて・生きて・行き抜く、オレの欲するものを仏が与えてくれるはずがない。」
勘平の、心持に肉薄していく迫力や見事・見事!!!
「欲しいものをすべて手に入れるための明日は第一歩だ!!」
と、結びます。
名著です。素晴らしい!!
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