昼下がり 一人佇む 家の横 道行く人や 眺めて暮らす
ひのひら ろくべえ
五月に入り、一気に暖かさはピークに上り詰めるかと思いきや、朝夕は肌寒く
どことなく、一気に夏日とはいかない、春らしい春と言った日が続く、これが春なの
日かと思わせてくれる気候である。この数年は、暑いとか寒いと言った極端な春の
日だったこともあり、春らしい春は久しぶりである感じがする。夏日にいっきに行く
のでなく、徐々に移り行く気候こそが「わびさび」のある気候なのであろう。そういう
意味で今年の春は、春らしい春なのである。
間もなく菜種梅雨がやってきて、雨の日が幾日か続き、田植えという行事が日
本全国で終わるころから、暑い暑い夏日の連続となっていく。それが日本の気候
変動であろう。この気候を基本に、営みを作り上げてきたのが先人たち、この文化
こそが、日本の根底にある価値観なのではないだろうか。
これからも、極端にこの気候が変化するとは考えにくい、という事は先人が、積
み重ねた、価値観、文化というものを基本に、様々なことを考える必要があるので
あろう。今話題のPPTだって、日本の気候を他国に理解させることから始めないと、
とんでもないことになっていくのかもしれない。どの国もその基盤となる価値観は
その地方の気候という事になろう。この気候を理解することから、他国との有効な
交流というものが成り立つのではないだろうか。もちろん隣国同士という事も同じで
あろう。気候風土という人間の力ではおよびもつかない、現象によって人間は生き
支えられていることを肝に命じたいものである。