へちま細太郎

大学院生のへちま細太郎を主人公にしたお話。

赤ちゃん、欲しいよぉ~(>_<)

2006-09-30 23:30:08 | へちま細太郎
こんばんは、へちま細太郎です。

赤ちゃんの作り方で、教室中が大さわぎになりました。
あまりのうるささに、ついに、さらだ先生がおこりだしました。
「くだらねえことでいつまでもしゃべってんじゃねぇっ男と女が出会えば、ガキは自然に生まれてくるんだっせっくすだ、えっちだ、と意味もわからず口にするんじゃねぇ。そういう言葉は、意味がわかってから使え。いいなっ
全員がびっくりして、一しゅんぼけっとしましたが、あまりのはくりょくにみんなの顔がまっさおになりました。ぼくも、ちょっとだけびくっとしましたが、最近、藤川先生ともお付き合いしてるせいか、ぼくはなれちゃた
「うわあ~ん
泣き出したのは、やっぱりしんいちくんです。
「泣くなよ」
ぼくはなぐさめてあげました。
「おだじま先生に先こされたから、いらついているんだよ
と、言ったとたん、
「細太郎
と、どなりつけられました。
「んべ~っ」
と、あかんべ~をしてやりました。
さらだ先生は、あとでおぼえてろっ、という顔をしました

夜になりました。
ごはんを食べている時に、
「ぼく、赤ちゃんがほしいなあ
と、いいました。おとうさんは、おみそしるをふきだしました
「なんだよ」
白い顔が真っ赤になりました。
「かわいい赤ちゃんがほしい、弟か妹がほしい
「細太郎~
おとうさんは泣き出しました。
「情けないぞ、細太郎」
なんで、なさけないのかわかりません。おばあちゃんとおじいちゃんは、顔を見合わせてため息をつきました。
「いつまでも泣いてんじゃないよ、バカ光一」
「うるさい」
「おまえにその気がないんなら、細太郎、弟か妹はあきらめな」
「え~
おばあちゃんのいじわる。
「そのかわり、光一に赤ちゃんをプレゼントしてあげるよ。今度は妹がいいか?」
おばあちゃん、びっくりするようなこと言わないで。
「冗談でも言わないでくれる?」
「あら、何で冗談よ、あんただって小さいころ、赤ちゃんが欲しいって言ったでしょ」「言った言った。おかげで腰が抜けた
「子供の前で言わないでくれる~
?いみふめい? なんのこと?
「だったら、願いかなえてあげな」
おばあちゃん、つめたいいいかただなあ。おとうさん、しょげてるよ。
「作り方、忘れたんだろ
おじいちゃんはよっぱらいだ。
「うるさいっ細太郎も余計なこと言うなっ
おとうさんは、おみそしるをごはんにかけて食べて、
「ごちそうさん」
と、2階へ行ってしまいました。
「細太郎、おばさんがいいか、おじさんがいいか?」
と、おじいちゃんがよっぱらいながらいいましたが、おばあちゃんにひっぱたかれてしょげちゃいました。 おまけに、足下のリカにもかみつかれて、かわいそうでした。
なんか、ふくざつなことになっちゃったけど、でも、赤ちゃん、ほしいなあ

赤ちゃんはどこからくるの?

2006-09-28 23:50:15 | へちま細太郎
こんばんは、へちま細太郎です。

おだじま先生のおくさんが、赤ちゃんを生みました。 女の子なんだって。
かわいいだろうなあ、いいなあ。みてみたいなあ。
ぼくは今のところ一人っ子みたいだから、どうしてもきょうだいがほしいんです。できれば、いもうとがいいなあ。赤ちゃん、ふわふわだろうなあ。
ほしいなあ。 ぼくがぼんやりしていると、
「さらだ先生は、赤ちゃんが生まれないんですかあ」
と、はるみちゃんが手をあげてききました。
「せ、先生のうちはまだまだだよ
と、赤くなっています。
あ、そうか、さらだ先生はぼくのしんせきだから、赤ちゃんが生まれたら、うちであずかればいいんだ。慶子おねえちゃんだって、先生なんだから。
いいなあ、そしたら毎日赤ちゃんとあそべるなあ。 たのんでみよう。
「先生、赤ちゃんはどうやってつくるんでしですか」
と、だれかがしつもんしました。
先生、びっくり
「赤ちゃんは、せっくすしないとできないんだよ」
たかのり君がとくいげになって、いいました。
「えー、やだ、えっち
「えっち
「えっちだあ
女子がさわぎだしました。
「おい、こら
さらだ先生は大あわてで、みんなをとめました
まったく、元ヤンキーのくせに、こういう時になると役に立たないんだから

つづきます。

オレオレ

2006-09-27 23:59:36 | へちま細太郎

はい、あたしリカちゃん。
たまには、あたしもおしゃべりしてみたいワン

今日、うちのおばあちゃんに、いわゆる“オレオレ詐欺”=“振り込め詐欺”の電話がかかってきた。とうとううちにもきたかって感じだけど、今回はかける相手を間違えたみたいだね。だって、あのおばあちゃんだよ~。引っかかるわけがない。
常日頃、おばあちゃんはこういいます。
「慌てない、深呼吸をする。相手の話をよく聞く。相手が嫌がるほどたくさん質問をして、矛盾点をつく。うだうだ言ったら、折り返し電話をかけるから番号を教えろという」
「ナンバーディスプレイだもん、わかっぺよ」
と、色の白い息子に突っ込まれたけど、
「ディスプレイが壊れてるって言うわよ。ウソつき相手にほんとのこと言ってどうする」
「参りましたm(_ _)m」
確かにそうだけど、誰にもできるわけじゃないよね。
で、どんな風にオレオレがおばあちゃんに弄ばれたかというと、以下聞いたままに書きますワン

以下、★がおばあちゃん。。。→が、オレオレ。。。( )は、あたし。

★はいは~い♪
→もしもし、おふくろ?
★あ?誰?
→オレオレ…
★オレオレなどという名前の息子はいないけど
→光一だよ。
★なんだ、おまえか…
→急いでいるから要件だけ言う。“しょう”が、学校で友達と喧嘩してけがをさせたらしい。

(バカよねえ、細太郎は、“翔”と書いて“かける”と読むのが、本名なのに)

★何だって? “しょう”?
→それで、病院で詳しい検査をするから、相手方の検査費用と入院費を払うから振り込んでくれないか?
★おまえ、ほんとに父親か?
→おろせる金がないんだからしょうがないだろ?保険きかないし、何とかしてくれよ~。孫のためだろう?担任の先生によれば、訴えてやるって言ってるらしいんだよ。頼むよ~。
★担任の先生ねぇ~(呆)
→なんだよっ。孫のために何にもしてやらねえのかよ。
★悪いけど、“しょう”はうちの孫じゃないから、金は出さないよ
→何言ってんだ、クソばばあ。てめぇの孫だろうがっ
★クソババアとな?
→悪かったよ、オレ、イラついちゃってさあ…。なあ、頼むよ。担任からもじゃんじゃん電話かかってくるし、金、出してくれよ~。
★担任ねぇ…(呆)、あの先生もいい年して、せっかちだねえ。
→そうなんだよ~、参っちゃうよなあ。“しょう”も担任がせっかちでは、かわいそうだよ。だからさあ…。

(こいつ、ほんとにバカだね。細太郎の担任は、親戚だっていうの)

★わかった、病院をまず言え、私が行って頭下げてこよう。
→あ、いや、俺が行くから…。
★訴えるって言ってるなら、警察沙汰だな。県警に電話しておくよ。
→あ、だから…。
★だって、そこからは遠いだろ?慌てて事故ったら、もっと金がかかる。おまえだって、剛の世話にはなりたくないだろ。
→剛…の、世話?
★そうだよ、保険屋は払いが悪いだろ?
→あ、あ、ああそうだよね。

(あの頼りない弟は、警視庁の准キャリだったよねえ)

★どうせなら、“しょう”とやらの友達の怪我も剛の世話になろう。
→え~と…。
★おまえもさ、そこからこっちまで来るのは、そうだな、2時間はかかるだろう?高速使うか?相手が激怒しているのなら、おまえも速攻で帰ってこないとマズイだろう?
一緒に頭下げにいってやるよ。
→だから…、そうじゃなくて、とりあえず、金振り込んでもらえれば、オレがまず病院に行くから。
★おまえが、ひとりで頭を下げる?できるのかあ?犬にもバカにされるおまえが?
→あ、ふかしてんじゃねぇぞ、こらぁ。
★なんだ?
→孫がどうなってもいいのかってんだよ
★どうする気だ。
→ああ?そういうこと言ってんじゃねえだろ金出せってんだよ。
★おまえ、バカだろ。
→ああ?
★うちに電話をかけてくるくらいだから、よほどの覚悟があって、かけてきたんだろ?
私のうわさきいてないのか?
→なんだと?
★知ってるからかけてきて、そんな口きいてんだろ。うちの次男がどこへ勤めているかも知っていて、かけてきているんだろ?
→保険屋のことなんか、しらねえよ。
★准キャリだよ、警視庁の…。
→なに?准キャリ?
★私は、婦警だ。

(元だろ、元)

→うそかましてんじゃねえ。
★警察官の家には、逆探知が取り付けられているって、おまえ、知らないだろ。

(おばあちゃん、うそつきすぎ)

→なに?
★長々しゃべらされて、バカだなあ。。。そろそろ、サイレン聞えてこないか?ほら、耳澄ませてみろ。
→あ、やべえ。。。つー・つー・つー・

そのあと、おばあちゃんの大爆笑しか聞えてきませんでした。
みなさんも、振り込め被害に遭わないように、気をつけてくださいね。


孟宗学園の1日その2

2006-09-26 22:33:34 | へちま細太郎
こんにちは、へちま細太郎です。

藤川先生と、タコ壺保健室の前で待ち合わせをして、学食にお昼ごはんを食べにいきました。藤川先生が4時間目に授業がなかったおかげで、12時になる前に学食に入ることができました。
学食は大学生がけっこういましたが、たびたび遊びにくるおかげで、ぼくは知らなくてもみんながぼくを知っていてあいさつをしてくれます。
「ぼくって、そんなに有名人?」
じょうだんでいうと、
「ある意味有名人だぞ、なんといっても、こう~いっちゃんが有名人だからな」
藤川先生は、焼き魚定食のさんまをつつきながらいいました。
「え~?なんで~?」
ぼくは少しょう不まんでした。
「おとうさんが有名人だから、ぼくはそれで有名人なのかあ」
「仕方がないだろ。学園内では、チャリに乗った色の白い事務員といえば知らない人間はいないからな」
「そうか」
そんなことで有名なのか…、ぼくは、少しおかしくなりました。
「ぼく、有名人になりたいなあ」
「あ?」
いっしょうけんめいにごはんを食べていた藤川先生は、顔をあげました。
「何でだ?」
「う~ん、だって、いろんな人に名前とか顔とか知ってもらってあいさつされるのは、すごくうれしいことだから」
「そうか。だったら、一生懸命生きることだな」
「そんなんでいいの?」
ぼくはおどろきました。
「俺のうちはな、まずは飯をちゃんと食えと教わるんだ」
「どうして?」
そういえば、藤川先生のうちは、お殿様だったんだよなあ。
「戦国時代に、生き残るために、よく食ったんだよ。腹が減っては戦ができないってね。飯食えば、頭に栄養がまわっていろんなことを考えられるようになるんだぞ。だから、細太郎、たくさん、飯を食え。そしたら、有名人になれる」
藤川先生は、焼き魚定食をおかわりしました。
「藤川先生、さんまサービスするからね」
「おばちゃん、さんきゅー
藤川先生、元気だねえ。もしかしたら、おとうさんなんかより、藤川先生の方が、よっぽど有名人だと思うなあ。
その時、ジャージの集団が入ってきました。
「お、ぼっちゃん、元気だね、もしかして、子ども~?」
と、その中の一人がちゃかして、肩を叩いてきました。
「あ~?」
藤川先生の視線がキッとなりました。
「おれはなあ、飯食ってるときに邪魔されるのが嫌いだって、てめえは何度言ったらわかるんだ、この野郎」
「あ
藤川先生が、その学生をケリとばしちゃいました。
「あ~あ」
学生はひっくり返っちゃいましたが、
「すいません」
と、すなおにあやまってきました。
「わかれば、いい」
こういう場合、逆ギレするんだろうけど…というか藤川先生の方がわるいよなあ…でも、みんな藤川先生にはさからったりしません。どうしてだろう。すごくふしぎだったけど、
「あいつ、生徒に絶大な信頼があるからなんだよ」
と、しょうがやき定食を持ってきたのは、久保田先生です。この先生は数学の先生で、似たような性格みたいです。
「それに、あの2人、年中行事でさ、あいさつみたいなもんなんだよな」
は?ケリ入れるのが、あいさつ
なぞだけど、でも、藤川先生、いい人だったんだね。そういう意味では、まちがいなく有名人だと思いました。
そこへ、おとうさんが顔を出しました。
「細太郎~いたのかあ
げっ、いやだあ
ぼくは、こそこそとかくれるようにしましたが、おとうさんがとなりにすわってしまいました。
「なんで、藤川と飯食うんだよ~
みんないっせいにぼくたちをみました。くすくすわらっている人もいました。

ぼく、やだよ~

孟宗学園の1日

2006-09-25 20:19:18 | へちま細太郎
こんにちは、へちま細太郎です。

今日は運動会の代休だったので、藤川先生が孟宗学園に連れて行ってくれました。
藤川先生が授業をしている間、ぼくはタコ壺保健室や大学の園芸学部で遊んですごしました。
大学の園芸学部には、高橋さんという藤川先生のものすごく遠いしんせきのお兄さんがいて、ぼくにいろんな花の種類や育て方を教えてくれます。
ぼくが、植物にきょうみを持ったのは、このお兄さんのおかげかもしれません。
時どき、おとうさんがしんぱいそうにぼくをさがしにきますが、ぼくは気がつかないふりをして、温室から温室へとにげまわっていき、それでもしつこい時には、あの伝せつの“パフィオ・ペディルム・ペンダントグッズの温室に入りこんでかくれています。
みんなこわがって、ここには入らないからです。
パフィオ・ペディルム・ペンダントグッズは、ぶきみな色をしているだけではなく、中島教授がリポビタンDスーパーとかいろんな種類のリポビタンDをぶちまけちゃったおかげで、巨大化してしまったんです。
(注・こんなことはありませんからね。ただ、元気になるにはリポビタンDが一番だからです。犬には、小児用がおすすめ)
だから、よけいにみんなよりつかなくなっちゃったわけです。
おとうさんもそのひとりね。
ばかだあ、こんなにかわいいのに。。。
で、おとうさんが、ぼくがみつからないので、オタオタしています
もうすぐ、藤川先生がぼくに学食でお昼をごちそうしてくれる時間です。
ここの学食は、とてもおいしいんですよ。
何を食べようかなあ…。

あ、すいません、つづきます。

またね

おとうさんたちの暴走

2006-09-24 23:33:20 | へちま細太郎
HelloKittyちゃんたち、君のために生きる藤川だよ

去年より、働き過ぎてボロボロ。来年が不安(^_^;)

一昨日の夜、剛を連れて帰ったらこ~いっちゃんがいない。そしたら、裏口からこそこそとどこからか帰ってきた様子。俺と剛の姿を見て、ぎょっとした表情を見せ、手に持っていたブルーのシートを隠そうとした。
「まさか…」
という疑いをそらすかのように、
「念のために、もう1枚買ってきたんだよ」
と、嘘ぶいた。
おおかた学校に場所取りに行き、警察騒ぎに紛れて帰ってきたんだろう。
「あんたねっ、バカ息子っ
おふくろさんが、学校からの文書を目の前に突き出し、
「ほれ、場所取りはご遠慮ください、とあるだろ。おまえも学校に勤めているんならわかるだろっ
と、息子を怒鳴りつけた。
30にもなって、恥ずかしいなあ
ところが、やっぱり懲りていなかった、こ~いっちゃんをはじめとする近頃の親たちは…
中止になった夜、再び金網から侵入。
こういうことのないように警備員を配置していたようなんだが、その警備員の制止を振り切って強行突破し、またもや警察騒ぎになった。
「孫の運動会だぞ、何が悪い」
中にはへべれけに酔っぱらったじいさんが警官にからみ、なおかつチャリで帰宅しようとしたところを注意され抵抗したため、公務執行妨害、飲酒運転の現行犯で緊急逮捕された。さらに、泥酔状態で住所がわからずチャリにあった住所に連絡したら盗難自転車とわかり、窃盗の罪も加わった。
呆れてものも言えない。
最近の運動会はどういうことになってんだ?と思ったら、これが当たり前なんだそうだ。
どっひぇぇだ。
俺たちに見張られて場所取りに行けなかったこ~いっちゃんだが、競技が始まるやいなやビデオカメラを持ち細太郎を追いかけていた。
おふくろさんに言わせると毎年のことなんだそうだ。
「ただ、今年は様子が違うわねぇ」
と、競技そっちのけのピクニックモードのおふくろさんは首をかしげた。
「去年までの細太郎は、カメラに向かって大はしゃぎだったのに、今年は嫌がっているみたい」
「へー」
俺は競技に目を移すと、カメラ片手の父親たちが、我先にと我が子を撮影している。別に悪いことではないと思うが、あれでは“記録”には残っても“記憶”には残らないと思うんだが。
しかも、我が子にしか集中していないから、他に目がいかないからあちこちでもめ事が起きていた。
学校からの注意書きも無視した暴走に、親バカの言葉は当てはまらない。
「あんたもね、親になればわかるよ」
お昼で戻ってきたこ~いっちゃんは、何が悪いと言わんばかりだ。
細太郎は、そんな父親に背を向け、お弁当を食べていた。
何を考えている、細太郎…。
俺も、最近はさっぱりわからんぞ。

藤川先生捕り物帳

2006-09-23 23:54:04 | へちま細太郎
へい、Baby、子猫ちゃんたち、お元気かな?

ゆうべのことだ。
俺は、細太郎のうちに遊びにきたついでに、帰省したこ~いっちゃんの弟の剛を駅まで迎えに行った。
こ~いっちゃんはテニス疲れでボロボロだからね。
帰り道、細太郎の小学校のわきを通った。すると、正門の前にずらっと大勢の人がいる。
「なんだ、あれ」
俺は、スピードをゆるめてその様子をうかがった。
「運動会の場所取りでしょう」
剛があくびをしながら答える。
「場所取りって、何の?」
「何のって…運動会だろ」
「あっ運動会だって?」
俺はびっくりだ。
「わけわからん世の中だなあ」
車が右に折れて学校の校庭の畑に面したところにでた。
「あ」
金網塀を乗り越えて人影が2つ、校庭に入るのを見た。
「不法侵入か?」
俺と剛は、車を停め様子をうかがった。と、また人影が何か長いものを抱えてやってきた。そして、周りをキョロキョロと見回すと金網を乗り越え中に入った。
「テロか」
剛は、車を飛び出して金網に突進した。いちいち大げさだが、しかし、運動会を控えた学校に侵入するとは穏やかじゃない。
俺も剛とともに金網を乗り越えた。 そして、校庭の一部で何やらやっている連中に携帯のライトをあて、
「警察だ、そこで何をしている
と、剛が叫んだ。連中がいっせいに動きをとめた。
「学校といえども、夜中に立ち入るのは建造物侵入で罪にあたるぞ」
すると、別な場所からも人が動く気配がした。
「なんだ?」
「全員、そこを動くなっ
影の気配の動きがとまった。剛は携帯を取り出し、
「あ、美都署ですか?」
と、警察に連絡をした。
「え?警察?」
ざわざわと周囲がざわめいた。
「私たちは、明日のための場所をとりにきただけです
暗闇の中から誰かが叫んだ。
「理由になるか
俺は侵入する様子を見ているだけに、こう返してやった。きっと、学校から場所取り禁止の文書が出ていたに違いない。だから、慌てたんだ。
「お灸をすえてやる方がいいんだ」
と、俺は思ったね。
サイレンが聞こえてきた。人影はわらわらと逃げだそうとしたが、
「動くなといったろっ
剛は再び叫び、俺は携帯のカメラで写メを撮りまくった。暴力沙汰を起こさなかっただけでも、ありがたく思えバカ親どもめ。
警察官がやってきた。
連絡を受けたのか校長までやってきて、この有様にため息をついている。
金網を乗り越えた親たちはきつくお叱りを受け、気がつけば正門の前にいた連中も姿を消していた。
やれやれだ。
で、今日、強風のため、運動会は中止になった。
ざまあみろ。

明日は運動会なので、注意があります

2006-09-22 18:45:40 | へちま細太郎

保護者各位                               平成18年9月吉日

           秋季大運動会についてのご注意

                                 美都私立美都第二小学校長
                                         長谷川  平蔵

 拝啓 保護者のみなさまには、時下ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
   さて、来る9月23日(土)は、わが校大運動会が開催されます。
 つきまして、保護者のみなさまには、応援を楽しみにされておられると存知ますが、
 以下の通りご注意をいたしたく思いますので、なにとぞご理解のほどをお願いいたします。

                      記

 1 応援席の場所取りはご遠慮願います。

 2 深夜、塀を乗り越えての場所取りは、絶対行わないでください。
   もし、塀を乗り越えた場合、不法侵入となり、関係各所への通報もありえます
   

 3 ビデオカメラ等を持っての撮影もかたく禁じます。
   児童の競技のじゃまになり、大変危険です。

 4 ゴミは各自お持ち帰りください。

 

  以上のことをご理解いただいた上で、お子様方の応援をおねがいいたします。

 

                                          敬具

 




 

                                   


先生の会話

2006-09-21 20:38:28 | へちま細太郎

こんばんは、へちま細太郎です。

毎日の運動会の練習のおかげでぼくたちはおなかがぺこぺこで、きゅうしょくがたりないくらいです。いつもはあまるきゅうしょくのおかずが、さいきんはほとんど残りません。
だから、さらだ先生のつくえの中にしまってあるタッパーのおべんとうばこの出番が、ありません。
おかずのいれものをのぞいては、ためいきをついています。
そんなある日のほうかご、ベランダでおだじま先生とさらだ先生が、手すりによりかかって話しをしていました。
「今度、バレーの新人戦が控えていて、帰りがさらに遅くなったんだよね。おまけに、来月修学旅行なんだよ。その準備で遅くなっているみたいなんだ」
「2年の担任やって、運動部の顧問じゃ、大変だなあ」
「そうだな、ますます帰りが遅いんだよ」
「うちもさあ、嫁さんが出産で実家に帰っちゃって」
…おだじま先生のおくさん、赤ちゃんが生まれるのかあ
「だから、給食の残りが唯一の俺の飯のおかずなんだよな」
あれ?
「最近さ、ソフト麺残ってないだろ」
「さっぱりしているからね」
…そういや、ぼくもたくさんもらって帰ってきたことがあったな。
「あれさあ、カレーぶっかけて食べるとうまいんだよな」
「カレー作りおきしてるのか?」
「してるしてる」
「えらいなあ」
…さらだ先生、感心してないで自分でも作れよ。
「簡単だぞ、肉とたまねぎをぶちこんで少し煮た後にレトルトのカレーとカレールーを入れるんだ」
「え
?。
「そうすると、具を用意しなくていいだろう?」
「あ~
「余ったら冷蔵庫に入れるんだ」
「へ
さらだ先生、おそるおそるたずねます。
「まさか、鍋ごと?」
「あたりめえだ。翌日、また継ぎ足して作るんだ。毎日、違う会社のレトルトを入れてるんだぞ」
…おだじま先生、すごすぎ…
「ご飯は炊いているんだろ?」
「米のとぎかた知らないから、流水麺を買ってきてそれにぶっかけて食べてる」
さらだ先生は、かたまってしまい、教室で遊んでいたぼくたちも、おだじま先生の鍋カレーにはびっくりしてしまいました。
「食器はどうしてんだ?」
「鍋ごと食べてるから、ない」


お嫁さんが、あかちゃんを生んで帰ってきた時が、こわいかも…

どうする?おだじま先生…