へちま細太郎

大学院生のへちま細太郎を主人公にしたお話。

おとうさんたちの暴走

2006-09-24 23:33:20 | へちま細太郎
HelloKittyちゃんたち、君のために生きる藤川だよ

去年より、働き過ぎてボロボロ。来年が不安(^_^;)

一昨日の夜、剛を連れて帰ったらこ~いっちゃんがいない。そしたら、裏口からこそこそとどこからか帰ってきた様子。俺と剛の姿を見て、ぎょっとした表情を見せ、手に持っていたブルーのシートを隠そうとした。
「まさか…」
という疑いをそらすかのように、
「念のために、もう1枚買ってきたんだよ」
と、嘘ぶいた。
おおかた学校に場所取りに行き、警察騒ぎに紛れて帰ってきたんだろう。
「あんたねっ、バカ息子っ
おふくろさんが、学校からの文書を目の前に突き出し、
「ほれ、場所取りはご遠慮ください、とあるだろ。おまえも学校に勤めているんならわかるだろっ
と、息子を怒鳴りつけた。
30にもなって、恥ずかしいなあ
ところが、やっぱり懲りていなかった、こ~いっちゃんをはじめとする近頃の親たちは…
中止になった夜、再び金網から侵入。
こういうことのないように警備員を配置していたようなんだが、その警備員の制止を振り切って強行突破し、またもや警察騒ぎになった。
「孫の運動会だぞ、何が悪い」
中にはへべれけに酔っぱらったじいさんが警官にからみ、なおかつチャリで帰宅しようとしたところを注意され抵抗したため、公務執行妨害、飲酒運転の現行犯で緊急逮捕された。さらに、泥酔状態で住所がわからずチャリにあった住所に連絡したら盗難自転車とわかり、窃盗の罪も加わった。
呆れてものも言えない。
最近の運動会はどういうことになってんだ?と思ったら、これが当たり前なんだそうだ。
どっひぇぇだ。
俺たちに見張られて場所取りに行けなかったこ~いっちゃんだが、競技が始まるやいなやビデオカメラを持ち細太郎を追いかけていた。
おふくろさんに言わせると毎年のことなんだそうだ。
「ただ、今年は様子が違うわねぇ」
と、競技そっちのけのピクニックモードのおふくろさんは首をかしげた。
「去年までの細太郎は、カメラに向かって大はしゃぎだったのに、今年は嫌がっているみたい」
「へー」
俺は競技に目を移すと、カメラ片手の父親たちが、我先にと我が子を撮影している。別に悪いことではないと思うが、あれでは“記録”には残っても“記憶”には残らないと思うんだが。
しかも、我が子にしか集中していないから、他に目がいかないからあちこちでもめ事が起きていた。
学校からの注意書きも無視した暴走に、親バカの言葉は当てはまらない。
「あんたもね、親になればわかるよ」
お昼で戻ってきたこ~いっちゃんは、何が悪いと言わんばかりだ。
細太郎は、そんな父親に背を向け、お弁当を食べていた。
何を考えている、細太郎…。
俺も、最近はさっぱりわからんぞ。