へちま細太郎

大学院生のへちま細太郎を主人公にしたお話。

今年も元気、つくばった駅伝大会1

2011-11-26 13:48:01 | へちま細太郎

こんにちは、へちま細太郎です。

23日のつくばった町恒例の駅伝大会は、いつの間にか仮装駅伝大会になってしまい、テレビの影響か県内はもとより他県からの出場希望が殺到した。
慌てた町は、今年は招待制にすると発表し、県内の陸上部のある学校や企業に声をかけまくり、
「来年より、新たな企画として、再出発します」
と宣言してしまった。
つまり、まじめな駅伝大会と仮装大会部門を分けた企画にするつもりか、また仮装駅伝おふざけ大会のみになるのか、それを検討するというらしい。
それでも観光客が殺到するのは、検査済みの農作物の安売りもあったかららしい。
さらに、いまだ独身の藤川家の御曹司?を射止めようとする女性たちも押しかけてきていた。
各局テレビ局のレポーターにバリバリに決めた女子アナがいたのもうなづける。
肝心の藤川先生は、すっかり落ち込んでしまい、学校も年休とりまくり、
「そんなに私って魅力ない??」
と、藤川先生の拒絶の態度が気に入らないのか野茂は、カリカリ怒っていた。
「中学生相手に萌え~な男だと思うか」
と、広之おにいちゃんは真面目な顔をして呟いている。
その広之おにいちゃんの勤務する県立つくばった高校の先生たちのかっこは、集団で現れるスライムだ。
ちょっと違うのは、ふつうのスライム、ホイミスライムとだんだんに進化して、キングスライムは、
「走るのつらそう~」
というくらい巨大化していた。
ぼくたちの先生といえば、今年は、全員白塗りの腰元だった。
「ひえええ、恥さらし~」
ぼくらがどっと落ち込んだことはいうまでもない。

てなわけで、つづく


今年もやってきました、あの行事

2011-11-09 17:30:01 | へちま細太郎

こんばんは、へちま細太郎です。

のぶちゃん先生の体育は、厳しい。けど、もっと厳しいのは黒田先生だ。
ちょっとでも、休もうものなら静かに、
「はい、もう3週追加ね」
と、有無を言わさない口調で言い付ける。このあたりキレるとどなり散らすのぶちゃん先生とも違う。
3年になってこの黒田先生の体育に遭遇して、ぼくらは休む間もない。でも、のぶちゃん先生とも違うから、ちょっとは安心できる。
11月に入って、マラソンが増えた。
「もう、これってアレの練習じゃね?」
「アレだよ、アレ、間違いない」
「アレかよ~」
と、口ぐちにぼやきが始まった。
「おれ、仮装はごめんだよ」
「恥ずかしくてたまらんわ」
と、たかひろがぼやいた時、
「そうか、おまえにも羞恥心というものがあったか。なら、恥かかしてやろうかあ~」
と、黒田先生の声が背後から聞こえてきた。
「おまえ、彼女にいいかっこしいだしなあ」

「と言うわけで…」
だから、どんなわけなんだ。。。
「3学年からチームを作って、出場するからな。おめーら、どんなかっこうするか決めておけ」
駅伝大会だろ~、仮装行列じゃないだろ~。
つくばった町、何考えてんだよ~。


昔ならお国御前

2011-11-08 22:57:44 | へちま細太郎

こんばんは、へちま細太郎です。

ショックで寝込んだ藤川先生は、高熱を出してしまい、
「このまま死んでしまいたい」
を連発しておばあちゃんをあきれさせた。
学校では野茂が、
「藤川先生、なんか言ってた」
と、陰でこそこそ話しかけてきた。
「ああ、今にも死にそうになっている」
嘘をいってもしょうがないから、ありのままを伝えた。
「ああ、やっぱりねえ」
野茂も心底困り果てている。
「いつもならおじいちゃんの冗談で笑って済ませられるんだけど、ご隠居さまのお声がかりらしくて」
と、ため息だ。
「冗談じゃないの?」
ぼくは野茂に聞けば、
「うん、昔からなんかねえ、うちからお国御前さまを出すんだって」
と意味不明なことを言う。
「お国御前さまってなに」
「ほら、殿さまってさ、ご正室さまは江戸屋敷におくでしょ?」
「うん、人質だってね」
「そう、で、参勤交代で国元に戻ってくると、国元用に側室がいるわけよ。ほら男の人って、何かと困るし、江戸のご正室さまや側室だって1年おきに離れ離れでは子供が生まれないでしょ。そういう場合に備えて国元にも側室がおかれるわけ」
「それがお国御前?」
「側室№1のこと。家同士の結びつきで結婚した正室とは違って、案外恋愛もあったから実質上の正室だったみたいだよ」
「へえ」
それが、なんで野茂が藤川先生と結婚する理由になるんだか、わかんないや。
「ほんとはねえ、私のいとこが結婚相手に選ばれていたんだけど、ほら、藤川先生、超ド級のヤンキーだったじゃん。で、いとこもレディースになっちゃって、で、別なヤンキーと結婚しちゃった」
「へ、へえ」
なんか、はでな人生だな。
「でもさあ、じじいどもの言いぐさが笑っちゃってさ」
「…」
「今は、すごい年齢差の結婚がはやっているから、そうしろって」
「だって、中学生だろうが」
「来年の誕生日がきたら籍入れろだって」

じじいども、何を考えてんだ?


藤川先生のお見合い相手

2011-11-07 03:19:07 | へちま細太郎

真夜中からこんばんは、へちま細太郎です。

土曜日に藤川先生が本宅に帰って行き、そこでご隠居さまとご家老さまから強引に結婚を決められたそうだ。
「で、返事したの?」
広之おにいちゃんが、ヤクルトを一気飲みしながらきいた。
なんでも、学校にヤクルトのおばさんが売りにくるんだそうで、まとめ買いをして持ってきてくれたんだ。
「するかよ~」
と、藤川先生は頭を抱えている。
「ふつう常識があったら、あんな結婚相手を連れてくるか~」
気が狂いそうだと、ぶつぶつ言っている。
「おりゃあ、おとなのおんなが好きなんだ~」
「はい?」
ちろっと藤川先生がぼくを見た。
「いや、そうだ、絶対にそうだ。俺より、おまえの方が結婚相手にふさわしい」
「何言ってんの?」
ひろゆきお兄ちゃんは、2本目のヤクルトを飲んで、
「今夜は勝つかなあ~、出れなかったらかわいそうだし、かといって落合のことを考えたらなあ」
と、関係ないことを言っている。
「そんなに飲んだら腹壊すぞ。明日になったら下痢っぴ~だ」
「いいんだ、ペンピだから」
おとうさんと広之お兄ちゃんは、藤川先生の見合いなんてどうせすぐないことになってしまう、と思って深刻に考えていない。とりあってもいない。
だけど、藤川先生の顔は今にも死にそうな表情をしている。
「藤川先生、ぼくは女なんかどうでもいいよ、嫌いだよ」
ぼくがすねていうと、
「気持ちはわからなくもない」
と、広之おにいちゃんがゆーすけ先生から何かきいてきたのか、3本目に手を出している。
「だったら、ちょうどいい、そんな浮気性の女なんかほっておいて、近藤家にふさわしい気の強い女を紹介してやる。で、結婚しろ、結婚して俺の養子になれ」
「何言ってんの、ぼくまだ結婚できる年じゃないよ」
「いいんだ、相手だって、まだ結婚できる年齢じゃないから」
「え~つ
「なんだ、どういうことだ?」
「おまえ、いつからロリコンになったんだ」
と、おとうさんたちもようやく話にのってきた。
藤川先生は、目の下にクマができて、尋常そうでない。
「あ~、胃が痛い、俺は人生終わった、ガキ相手に結婚生活できるか」
「だから、誰なんだよ」
広之お兄ちゃんは、親友の危機に隠居じじいぶっ殺してもかまわんぞの勢いで、藤川先生の肩をゆすった。
そんな様子を見て、ぼくはなんだか嫌な予感がした。なぜか、どうしてだか野茂の顔が浮かんだ。
で、
「まさかと思うけど、相手って野茂?」
と、顔を覗き込んだとたん、
「あんなの女じゃねえええええ」
と、叫びだし気絶してしまった。
「…」
ぼくは、唖然として藤川先生を見下ろした。じじい二人が髪の毛のない頭を寄せ合って何をたくらんでいるかと思えば…。
「野茂って、おまえの同級生のあれか?」
おとうさんが、哀れむような視線を藤川先生に向けた。
「おまえの同級生って、まだ15だろうがあ~」
広之お兄ちゃん、顔がムンクの叫びだよ。
ぼくはなんとなく予感がしていた。野茂は、藤川先生にぴったりなんじゃないかってね。でも、それはあくまでも藤川先生が大学出たてならの話だけどさ。
ふうん、野茂がねえ。。。あいつ、結婚話が出るような女だったんだ。
へえ。。。


野茂のたくらみ

2011-11-04 13:38:48 | へちま細太郎

こんにちは、へちま細太郎です。

一昨日のクラスマッチは、自販機で渋滞をおこし、タコ壺保健室の前で大混雑状態になり、
「闘魂こめてって、巨人の球団歌だなんて、誰も歌えねえよ」
と、予め各教室にCDと歌詞カードが配られていたにも関わらす、誰も興味を示さなかったのか、当然くそまじめに練習したやつだけが突破していった。
が、匿名希望の東山先生が、
「六甲おろし歌えたら通ってええねんで」
といい、片山教授が、
We Are The Swallows を歌えたら許可する、ヤクルトもつけるぞ」
といったもんだから、全員が携帯を取り出して、
We Are The Swallowsって、7回に踊っているあれだろ?林田健司の…」
と、あっちでもこっちでも曲が鳴り響いた。
「バカ野郎、ドラゴンズは、nobodyknows+だぞ」
「誰がラップ歌えるんだよ~」
誰も、闘魂こめて以外に応援歌があるなんて知らないらしく、というか、当の中島教授だって知る由もなく、
「バカも~ん」
と、あっちでもこっちでもキレまくっていた。
「燃えよドラゴンズなら、食堂のカレー1食分ただにする」
阿部さんの一言は大きかった。
生徒たちはみな燃えよドラゴンズを大合唱して、保健室前を突破していったのであった。
「結局は、ここでも中日の勝ちか」
藤川先生が大爆笑をしていたので、虎・燕・大男ファンから猛攻撃を受けたが、
「悪いな、藤川家も尾張名古屋出身なんだ」
の一言で、歯ぎしりをするしかなかった。
…という一幕をビデオでみていた生徒会役員たちは、
「野茂~、あんた策士だねえ」
と、呆れたそうだ。
なんでかっというと、阿部さんのドラゴンズ好きは知る人もいなかったけど、実はナゴドの常連なんだそうで、
「隠していたけどねえ、ほんとはタコ壺の仲間になりたかったみたいだよ」
と、ほんとうはこの隠れた目的を暴露した。
つまり、阿部さんをその気にさせて、食堂をただにする、という野茂の冗談なもくろみがあたってしまったということさ。
こんなことを考えていると、今に罰があたるに違いないとぼくは思うぞ。
うん。


乱入“燃えよドラゴンズ”

2011-11-02 13:03:34 | へちま細太郎

そんなわけで…って、どんなわけだ。
(仮)嵐軍団2号だ。

中島教授の弟子である1号は、イモ畑でサツマイモの管理だ。
「何で、ガキどものお遊戯のために俺ら働かされるんだ」
と、カンカン。
「まあ、文句を言うな」
高橋さんが、集めてきた落ち葉をドラム缶の中に入れて、煙を振り払った。
「教授は教授で、他大学に行かれると困るんだろうという思惑での許可だからね」
「そういうことか」
「ま、おまえみたいなやつは珍しいからね。有名大学進学をうたっているような学園じゃないけど、やっぱりみんな東大早慶行かせたがる親が多いじゃんか」
「どうせ、俺は東大落ちましたよ」
1号はふてくされている。
確かにこいつは、東大受験した。受験できただけでもエライが、しかし最低ラインのセンター点数だったと本人は認めている。東大じゃなければ孟宗って、どんな選択なんだ。
「ま、記念受験でしたけどね。中島教授がいたからきたようなもんですけど」
わかってんじゃん。それに中島教授は有名人だからね、いろんな意味で。
と、その時、
「何?タコ壺の前で“闘魂こめて”の大合唱だと?」
という、歓喜の雄たけびが聞こえてきた。
「そうか、そうか、それはいい企画だ」
ジャイアンツファンのファンの中島教授のドヤ顔が見えた。
「よっしゃあ、俺も参加するぞ」
「え?」
鍬を放り出して、中島教授は畑を飛び出し、チャリに飛び乗り猛然とこぎ出していってしまった。
「俺も行く」
俺は、1号の文句を背中に浴びても、こんな面白い光景を見逃してたまるもんかと振り向きもせず、中島教授のあとを追った。
そしたら、どうだ、生徒たちは“闘魂こめて”をうたえない。どうせ、ジャイアンツファンだって、古くからの連中以外は歌えまい。
「バカ野郎、球界の盟主の球団歌が歌えんとは何事だ
中島教授のどなり声に、
「くたばれ○売そ~れ行け行け」
と、匿名希望の東山先生の声が聞こえてくる。
しかも、東京音頭に合わせて、
「くたばれ讀○」
と、片山教授が歌いながら、あのビニール傘を振っていた。
「ひええええええ」
いつものパターンだと、呆れつつもなぜかビデオを回している藤川坊ちゃんがいた。
「こんな面白い現場、残さずにはいられん」
わきにいた浜中先生が、スケッチブックにマジックでさらさらと書いて、しーっと親指を唇にあてた。
「バカ野郎、なにが、“闘魂こめて”だああ」
そこへ、おたまじゃくしを持った青い割烹着姿の阿部さんがのりこんできた。
「頭がドアラだ」
両耳に、名古屋の青いコアラの耳がついている。
「とおらを倒して鯉つってええええええ~」
ムッとタコ壺が眉を吊り上げた。
「はあまの星座にくうもをかけえ~、つ~ばめ落としてえ」
片山教授の傘がとまった。
「おおおとこおお、いきのねえとおめてええ」
「何で、大男だけ、息の根とめるんだあ」
当然、中島教授は大激怒だ。
「意外や意外、阿部さんはドラゴンズファンだったのか、ぼっちゃん、あんた知ってたの?」
「知ってた、阿部さんは名古屋出身、昨日、話してた」
と、さらさら浜中先生が代筆。
「確信犯め」
今日の混乱は、このバカ殿が仕組んだんだな。
よかった、ベイスターズファンと広島ファンがいなくて、と思った瞬間だった。
「いいぞお~、がんばれええ、どおらごんずうううう~もえよお~ドラゴンズうぅうぅう」
生徒たちもここだけは知っているのか、合わせて大合唱になってしまった。
う~ん。どう収拾つけるんだ?


校内トライアスロン大会

2011-11-02 10:59:20 | へちま細太郎

こんにちは、へちま細太郎です。

今日は、秋のクラスマッチ。
といっても、またロクな企画じゃない対抗戦で、
「校内トライアスロン」
と、高校の生徒会長が自信たっぷりに紹介していた。
校内にはりめぐらせた障害=わな=競技をこなし、その順位で総合順位を決めるというもの。
「ただし、リレーでね」
「なんだその、リレーっちゃ」
たかのりが、野茂に説明を求めて手をあげる。
「え~と、スタートから大学のいもほり会場まで行き、いもを掘って焼きあがるのを待つ」
「はい?」
「イモ掘り会場では、2番目の走者が火を起こして待つ。第1走者はイモを掘った時点で終わりで、2番走者は、イモを掘り上げたのを確認した上でスタート」
「はあ」
「で、どこへ行くかというと、体育館で3on3をしているところへバトンタッチ。走ってきたこいつがシュート決めないと、第3走者が進めない」
…」
「しかも3にん3脚の第3走者は…」
「なんだよ、それっ
「最後まで聞け、で、体育館の外の自販機の前であたりが出たやつにバトンタッチ」

「大丈夫、あたりが出やすいように頼んである。で、第4走者はタコ壺保健室の前で“闘魂こめて”を大声で歌い、逃げる」

「待っていた第5走者は再び、イモを焼いているところに戻り、第1走者が焼いていたイモを食べ終わったらゴールイン」

誰が考えたんだ、バカ野郎
結果は、またあとで。