へちま細太郎

大学院生のへちま細太郎を主人公にしたお話。

パニック・イン・タコ壺保健室3

2008-07-31 22:59:34 | へちま細太郎
藤川だよ~ん。
そういえば、昔は“へい・ベイビー、子猫ちゃんたち”なんて呼びかけていたなあ。
変われば変わる、ナンパな俺…。

昨日、一昨日と細太郎たちが、タコ壺保健室で世にも恐ろしいものをみた、と大騒ぎをしていたが、どーせドドメ色のパなんとかいう蘭のことに違いあるまい。
いつまでもあんな不気味な物体をおいておくんだ。
俺は保健室の前に立つと、パなんとかいう蘭が窓越しに俺をにらみつけていた。
けっ、蘭のくせに生意気な野郎だ。
俺がサッシのドアをあけると、蘭が身震いをしたようだ。ざわざわとゆらいでいる。
蘭独特の袋の部分が以前みたときより、不気味にくすんでいる。
「相変わらず不細工だな」
と、俺は蘭に向かって言ってやると、蘭はさらにいっそう身震いした。
「俺は花だからといって、容赦しねえからな」
蘭は全身をゆすり葉をバタバタさせた。
「けっ、いっちょまえに怖がってんのかあ」
俺は嘲笑うように話しかけると、
「わしの小百合に何をいうかっ」
と、背後から中島教授が怒鳴りつけてきた。
「なあにが小百合だあ」
俺は花をぐいっとひっつかむと、
「引っこ抜くぞぉ」
とからかうと、
「小百合から手をはなせえ」
と中島教授が飛びかかってきた。
俺はこんなおやじに殴りかかられるほど鈍くねえ。
サッと蘭を放し脇に飛び退くと、中島教授はその愛しい小百合に頭からつっこみ、バキリっと真ん中からへし折ってしまった。
「ぎゃあっ」
中島教授の絶叫が、後ろから聞こえてきたが、俺はかまわずタコ壺保健室から離れた。
以前、あの蘭に腰を抜かされた仕返しだ、バカヤロウ。

パニック・イン・タコ壺保健室2

2008-07-30 22:43:22 | へちま細太郎
こんばんは、へちま細太郎です。

孟宗学院のタコ壺保健室のことを、たかひろ君とみきお君にはなしたら、
「ぼくたちもいきたい」
と言い出して、今日は5人で藤川先生とけんちゃん先生の車に乗って、孟宗学院まで行ってきた。
事務の仕事をしているおとうさんは、夏休みでも早いのでいつもよりゆっくりの2人に乗せてもらったわけです。
孟宗学院は、先生たちの子供がけっこう出入りしているらしく、あちこちで小学生や小さな子供がうろうろしていた。 ぼくらは、まっすぐタコ壺保健室に向かい、
「匿名希望の東山先生…」
と、ガラス戸を開けたとたん、目の前にはパワーアップしたおばけ蘭が不気味なドドメ色をくすませていた。
「ぎゃあっ」
ぼくらはいっぺんに腰を抜かし、その場に座り込んでしまった。
「なんだ、細太郎たちじゃないか、つまらん」
ドドメ色の向こうから中島教授がヒゲヅラをのぞかせ、ふんっとつぶやくなりひっこんでしまった。
「何だっ、この学校は~」
ぼくらはただただ驚くだけだった。

パニック・イン・タコ壺保健室

2008-07-29 23:33:04 | へちま細太郎
こんばんは、へちま細太郎です。

今日は藤川先生に連れられて、しんいち君とたかのり君と孟宗学院に遊びに行った。
藤川先生は補講があるから、とぼくをタコ壺保健室においていってしまった。
タコ壺保健室は相変わらずタイガースグッズ一色で、部屋の片隅には不気味な…パフィオなんとかペンダントグッズとかいう蘭の…花がでんっ!!と“まだ”おかれていた。
「気持ちわりぃ、なんだこれぇ」
しんいち君が不気味な花をぺこっと弾いたとたん、
「あ
花がぽてっと落ちてしまった。
「やべえ」
ぼくらは、落ちた花をじいっとなすすべもなくみていると、
「世にも不気味なドドメ色、来るぞ来るぞ、げにおそろしき物体が~」
と、となりのカウンセリング研究所から片山教授が顔を出した。
「た~た~り~じゃあ」
「げえっ、何だこのおっさんはっ」
たかのり君が後ずさりをして、片山教授から遠退こうとした。 ところが、今度は表のガラス戸が開き、
「だれだあ、私の愛するさゆりをこんな目に遭わせたのは~」
と、中島教授…だよな?が入ってきた。
「げっ、まだ変なのが現れた」
そうなんだ、中島教授…だと思うけど…は、髪がボサボサで前髪が目をかくし髭は伸び放題でまるで、何日家に帰ってなきゃこんなになるの?という風体で出現したんだ。
「出たなあ、この妖怪植物人間」
と、片山教授が言えば、返す刀で、
「なぜ日本に帰ってきたのだぁ、この吸血鬼めぇ」
と中島教授が罵り返した。
「吸血鬼とはおまえのことじゃあ」
ぼくらは片山教授の顔をみた。
「黙れぇ、その胸に杭を打ち立ててくれるわ~」
今度は中島教授。
「うるさい~、杭を打たれるのはおまえのほうだ」
また片山教授。
「こなくそ」
またまた中島教授と、ぼくらは交互に2人を見比べていたが、ついにつかみ合いになったとたん、タコ壺保健室を飛び出した。
「なんだ、あれは」
しんいち君が青い顔をして息をついた時、
「また、あの2人かい」
と、目の前に匿名希望の東山先生が立っていた。
「こえ~よ、まじで」
たかのり君の訴えに、
「私の保健室で、なにやらかしとんじゃい」
と、匿名希望の東山先生はずんずんと保健室に立ち戻るなり、
「この、すかた~ん、毎度毎度やらかしてくれてっ」
と、中の2人を怒鳴りつけた。
「今のが一番こえ~っ」
しんいち君のつぶやきに、
「うん」
と、ぼくらはうなずいたのであった。

ぼくの将来

2008-07-28 23:09:03 | へちま細太郎
こんばんは、へちま細太郎です。

夏休みのサマースクールに、みんなは親たちから言われていたみたいだけど、ぼくんところは誰もなにも言わない。
おとうさんは帰ってきたらきたで、ぼけーっとテレビをみてるだけ。 たまに藤川先生が、
「細太郎、俺んちの養子になれ」
と思い出したように言っては、おとうさんとけんかしてる。
藤川先生の子どもになれば、ぼくは将来はお殿様になるのかな~。
「もちろん、殿様にしてやる。金にも女にも不自由はさせない」
藤川先生の言葉におとうさんは、
「こいつは医者にさせるんだから余計な口出しするな」
と、思ってもみないことを口にして、それまで笑って聞いていたおばあちゃんの顔を強ばらせた。
「医者~?」
ぼくと藤川先生は、同時に叫んで顔を見合わせた。
おとうさん、ぼくに隠してること、まだあるんじゃない?

キチローあらわる

2008-07-27 19:36:00 | へちま細太郎
こんばんは、へちま細太郎です。

今日は暑いような涼しいような曇りの1日でしたね。
で、ぼくたちの町内の神社のおまつりは、近所のおじさんやおにいさんたちのおみこしが練り歩いて、クライマックス絶好調…のはずだったのに。
「やあ、ここのおまつりはどんな感じか、見に来たよ」
と、べたべたとねちっこいしゃべりが背後から聞こえてきた。
「げっ、バカヤロウ」
ぼくたちは一斉に叫んで、顔を見合わせた。
「バカヤロウって、まさか、ぼくのことじゃないよね」
「おめえのことだよ、バカヤロウ」
相変わらず容赦ないたかのり君。
「そんなこと言っていいのかなあ、ぼく君たちが受ける孟宗の先生と知り合いなんだよ~」
「やな野郎だな、このガキは」
ぼく君たちの背後から、(仮)亀梨軍団の悠樹さんが声をかけてきた。
「どこの先生と知り合いなんだよ~、言ってみなよ~」
小学生に絡んでどうするの。
「何なんだよ、この人は」
小学生のくせにえらそうな態度のキチローは、悠樹さんをじろじろと眺めた。
「か~、やなガキだねえ」
「いいのかな?ぼくの知り合いは、藤川先生なんだよ」
「げっ」
「はい?」
「ありゃま」
「なんで」
「どうして」
一斉に叫んだので、キチローは一瞬ひるんだみたいだけど、
「藤川先生っていうのはさあ、美都藩の殿様だろう?ぼくんちはさあ、藤川家とはちょっとした知り合いなんだからねぇ」
ぼくらは顔を見合わせた。誰もが、
「?」
という表情だ。
「君さ、あのバカ殿としゃべったこと、あるの?」
悠樹さんの疑り深い声の調子にムッときたのか、
「なあんにも知らないんだなあ、ぼくのうちの隣は、藤川家の別邸なんだよ」
と、キチローは威張りくさっていったつもりが、
「なんだ、ただのお隣さんじゃん」
「別邸ってあれだろ?一面畑の…」
「あそこでな、浜ちゃん(浜中先生)がさ、ご隠居に肥壺担がされて全身クソまみれになったんだぞ」
「ぎゃはははは」
ぼくらは、大笑いしまくり。
「何だよ、何だよ、いいつけるからなあ」
キチローはパニクって、声が裏返っている。
「いいよ、俺の名は(仮)亀梨軍団1号悠樹っていって、孟宗を今年卒業した、バカ殿顧問のサッカー部出身だから、いいつけちゃって」
と、小学生相手に容赦ない悠樹さんは、
「ほれほれ、あそこで水鉄砲打ち合って遊んでいる中にいるぞ。知り合いならだれがバカ殿かわかるべ」
と、ほんとに水鉄砲で遊んでいる、おとうさんと藤川先生とけんちゃん先生を指さした。
「は、はずかし~」
たかひろ君はそうつぶやき、チラッとぼくをみた。
ぼく、まぢで恥ずかしい。 と、落ち込んでいると、
「ふんふん、あとで帰ってきたら話してやる」
と、キチローは見栄張ってかけだしていってしまった。
「へんだっ、くそ生意気なガキめ、世の中なめんなよ」
悠樹さん、小学生相手に威張るのやめよ~

おまつり

2008-07-26 22:40:13 | へちま細太郎
こんばんは、へちま細太郎です。

今日と明日は、ぼくらの町内のおまつりです。 今週は町中が準備に追われ、今日は神社の前の広場には町内会で出した屋台が並んでいた。
朝から藤川先生とけんちゃん先生の2人が、(仮)亀梨軍団浪人組を引き連れ、町内のおじいさんおばあさんたちと大掃除してた。
(仮)亀梨軍団浪人組は、あちこちの祭りや田んぼの草むしりなんかにかり出されて、大忙しの夏休みみたいだけど、いつ勉強してんだろ。
しかも、うちでは慶子おねえちゃん、香華さんとがおばあちゃんといっしょになって、屋台の準備していた。 しんいち君たちもやってきて、
「かき氷の信号作ろうぜえ」
と、大はしゃぎだった。
神社の御神体が担ぎ出されて、文字通り“御神輿”が練り歩いたけど、そんなことよりお酒を飲んだり食べたり、そっちがメインみたい。
ほんとは、そんなんじゃねえんだけどなあ、と藤川先生がぼっつりとつぶやくのが聞こえてきた。
やっぱりこの人は、ただ者じゃないんだな、と一瞬思ったりもした。

柏木文也君といえば

2008-07-23 22:27:16 | Weblog

こんなメールがきた。

↓↓↓↓↓↓↓↓↓

柏木 文也様より着信♪

[一言]
初めまして。僕とメル友になってもらえませんか?大学を卒業してもう5年。僕は入院しています。事故の後遺症で車椅子です。出会い系に登録しましたが会う事は難しいかもしれません。ただ入院している間のひと時でいいので

↓続きを読む
(写) http:~ --------------------

《柏木 文也》様
◆年齢:27歳
◆地域:○○市
◆職業:フリーター
◆時間:いつでも
└現在【ONLINE】中

↓今すぐチェック!!
(写) http:~ 新着メールはこちら
▼http:~
↓ポイント追加方法
http://~
《お問合せ》 http:~
【18禁】勝ち組セレブ   



 前略 柏木文也さま 車椅子の生活は大変でしょうけど、きっと“あんちゃん”が何とかしてくれますよ。 病院に入院しながら携帯をいじり、フリーターもするなんて、あまりにも健気なので、おねえさんは美大の先生を紹介してあげちゃいます。 はい、一言。 “そこに愛はあるのかい?”