へちま細太郎

大学院生のへちま細太郎を主人公にしたお話。

藤川先生捕り物帳

2006-09-23 23:54:04 | へちま細太郎
へい、Baby、子猫ちゃんたち、お元気かな?

ゆうべのことだ。
俺は、細太郎のうちに遊びにきたついでに、帰省したこ~いっちゃんの弟の剛を駅まで迎えに行った。
こ~いっちゃんはテニス疲れでボロボロだからね。
帰り道、細太郎の小学校のわきを通った。すると、正門の前にずらっと大勢の人がいる。
「なんだ、あれ」
俺は、スピードをゆるめてその様子をうかがった。
「運動会の場所取りでしょう」
剛があくびをしながら答える。
「場所取りって、何の?」
「何のって…運動会だろ」
「あっ運動会だって?」
俺はびっくりだ。
「わけわからん世の中だなあ」
車が右に折れて学校の校庭の畑に面したところにでた。
「あ」
金網塀を乗り越えて人影が2つ、校庭に入るのを見た。
「不法侵入か?」
俺と剛は、車を停め様子をうかがった。と、また人影が何か長いものを抱えてやってきた。そして、周りをキョロキョロと見回すと金網を乗り越え中に入った。
「テロか」
剛は、車を飛び出して金網に突進した。いちいち大げさだが、しかし、運動会を控えた学校に侵入するとは穏やかじゃない。
俺も剛とともに金網を乗り越えた。 そして、校庭の一部で何やらやっている連中に携帯のライトをあて、
「警察だ、そこで何をしている
と、剛が叫んだ。連中がいっせいに動きをとめた。
「学校といえども、夜中に立ち入るのは建造物侵入で罪にあたるぞ」
すると、別な場所からも人が動く気配がした。
「なんだ?」
「全員、そこを動くなっ
影の気配の動きがとまった。剛は携帯を取り出し、
「あ、美都署ですか?」
と、警察に連絡をした。
「え?警察?」
ざわざわと周囲がざわめいた。
「私たちは、明日のための場所をとりにきただけです
暗闇の中から誰かが叫んだ。
「理由になるか
俺は侵入する様子を見ているだけに、こう返してやった。きっと、学校から場所取り禁止の文書が出ていたに違いない。だから、慌てたんだ。
「お灸をすえてやる方がいいんだ」
と、俺は思ったね。
サイレンが聞こえてきた。人影はわらわらと逃げだそうとしたが、
「動くなといったろっ
剛は再び叫び、俺は携帯のカメラで写メを撮りまくった。暴力沙汰を起こさなかっただけでも、ありがたく思えバカ親どもめ。
警察官がやってきた。
連絡を受けたのか校長までやってきて、この有様にため息をついている。
金網を乗り越えた親たちはきつくお叱りを受け、気がつけば正門の前にいた連中も姿を消していた。
やれやれだ。
で、今日、強風のため、運動会は中止になった。
ざまあみろ。