へちま細太郎

大学院生のへちま細太郎を主人公にしたお話。

令和、令和ってしつこい

2019-05-01 22:34:24 | へちま細太郎

藤川だ。

一応、大おばあ様はやんごとない人たちにつながる。
でも、血縁関係まったくない。
でよ、朝っぱらから令和元年最初の~とか連呼していていい加減うんざりだ。
しかも、女性皇族たくさんいるのに、即位のなんとかに一人も出ていないのは、なぞだ。
よその国みたいに、第一子がつげばいいのに、時代にあっていない。
「それは、あんたが藤川家の跡を継ぎたくないからでしょ」
一番上の姉の法華が、だんなの信ちゃんを従えてやってきている。
甥の慶次郎はのぶちゃんそっくりだ。くそがきめ。
「当主の役目は種馬なんだから、そんなの得意技でしょ?」
「得意技って、俺、あんたらみたいに出来婚しないから」
信ちゃん、坊主を通り越して仏像だ。
教師が出来婚なんて、そりゃ口にもできんわな。
しかも、世が世なら大名家の惣領姫にだぞ。
お手打ちもんだ。
「じゃ、おめえが跡を継げよ。子供作りまくりだし、好きもんだし」
といったところで、その気になったか法華姉が、口を開きかけた時、
「男系でないとだめだ」
とじいさんがバシッといった。
「養子に入ってもらえ」
俺は、テレビを消す。さっきから令和元年のバカ騒ぎが、イライラを募らせてきた。
「何代か前にいたろうが」
「ありゃ、分家じゃ。しかも、手を付けた落としだねの孫じゃからして」
「けっ」
時代遅れがここにもいたか。うちの大おばあ様だって、もう室町のころに分かれた家系だぞ。
「それはそれ、これはこれ」
あほか。女性天皇の方が優秀だったろうが。官僚制度を作ったのは中国の則天武后で、それを取り入れたのは持統天皇だ。嫌いだけど。
「女の大名や将軍だっていたってよかったんだ」
と、自宅で待っているだろうこの国の唯一の皇女を思いやって、なんだか切なくなった。
(内親王は3人ですが、皇女は一人ですよ。ちなみに女王は3人)