へちま細太郎

大学院生のへちま細太郎を主人公にしたお話。

細太郎の別荘居座り日記

2015-08-31 23:07:48 | へちま細太郎

こんばんは、へちま細太郎です。

孝太郎先輩のうちの別荘に居座っていたら、突然寒くなった。
どうなってんだよ~、と夏物しか持ち合わせていない俺たちは、たんすから趣味の悪い浴衣を引っ張りだして何枚も着込んだ。
「一応、(仮)山下軍団の連中が忘れていったやつだから、遠慮なく着ちゃってくれ」
と、電話で許可をもらったものの、
「どうみたって、襦袢じゃね?これ」
と赤いぺらぺらの着物の下着みたいなものをたかのりは床に広げて腕組みしている。
たかのりの家は、お茶とお花の師匠をしている。だから、着物には詳しい。
「誰もみてないんだからいいか」
と、赤の襦袢を着こんで、頭を紐で酔っ払いみたいにまいている。
「あ、こりゃ」
と、必殺シリーズで中村主水がこんななりをしていたな、とまねをしている。
田舎の別荘だし、することないから勉強しているけど、あとはコツコツと草むしりをしたり、掃除をしたりしている。
「孝太郎先輩も、大学院にいっているっていうけど、ろくな研究していなさそうだ」
と、漫画だらけの本棚を見た俺たちの感想なんだけど、(仮)山下軍団さんの一人が様子を見に来てくれていうには、
「おまえら何言ってんの?あいつ、研究室で遺伝子工学の研究やってんだよ、修士論文も全部英文だし、右に出るやついないんだから」
と、おれたちの認識不足に呆れていた。
「ひええ、そんな優秀だったんですかあ?」
「藤川家の縁につながるやつの中では、一番優秀なんじゃないの?」
だろうな、と藤川先生や副住職さんの顔を思いうかべながら、妙に納得した。

しかし、夏はどこへいった?

 


小栗キャップと水嶋羊羹

2015-08-28 14:14:06 | へちま細太郎

美都地区№1豪農の小栗でえす。
美都地区№2豪農の水嶋でえす。
ふたり合わせて、小栗キャップと水嶋羊羹でえす。

バカはほっておいて、久しぶり、バカな種馬弟を持つ藤川家の惣領姫の法華ねえさんよ~。
3人の子持ちよ~。
子供たちを遊ばせるために農場にきてるわけ。
それより大おばあさまの御容態が芳しくなくて、離れが病室と化してしまっているのよ。
この暑さがこたえたみたい。
うちのくそじじいもいつもの傍若無人ぶりをどこかへ忘れたきたように、離れにつめている。
でもま、今すぐどうこうっていうわけじゃないし、即入院っていうわけじゃない。
絶えず誰か数名が付き添っていて、いざとなればという感じなんだけどね。
須庭寺のエロ坊主がいい年こえて子供つくって、天然ボケの嫁さんが赤ん坊を見せにきてね、そりゃもう大おばあさまは大喜びなわけ。
あの様子じゃ、あと2年はもつわね。
よかった。。。
で、この夏の農場はただでさえ暑いのに、余計に暑かったわよ~。
毎年孟宗卒業の浪人生をただで雇って働かす、というアコギなことをやらかしていたくそじじいは、アテにしていたふたりに逃亡されて逆上し、血圧が20も跳ね上がって入院騒ぎを起こしたのね。それも、よりよって逃亡したのが気にいっていた細太郎とたかのりだったからなおさらよ。
ふたりは伝手を使いまくって逃亡していて、いまだ自分の家にさえ帰ってこず、近況は信じられないことに、2人共通の御先祖さまをパシらせる暴挙。
その御先祖はうちの先祖の田吾作じじいと、水と油なんだと。
バカじゃん。
でもって、もう一人は逃亡できないのか、ずっと農場に住み込んでいる小ぶとりな変な男の子。イケメン豪農コンビにいじめられていても、へろへろ喜んでいる。
「小栗先輩も水嶋先輩も、そんなにボクが羨ましいんですか?イケメンなのに彼女もいなくてさびしいんでしょ?ボクみたいに彼女がいないから」
と、妄言を吐きまくってにた~っと笑っている。
で、ふたりは気持ち悪がっているのかと思えば、そうでもない。いじめをやめるわけでもない。
「いじめと嫁いびりと、しごきは紙一重です」
と、こっちもこっちで気は確か?という発言をしている。
「ぼくら、イケメンでも彼女いないんだよね」

「いない理由わかってんの、意地悪で3枚目だからね」
意地悪な上に3枚目って、どんな組み合わせだ、ボケ。
「でもま、あいつ、憎たらしいけどかわいいとこ、あるんですよ。いじめると反応がいい」
どこまで鬼畜なんだ、こいつら。
「あの、根性叩き直してやります」
その前に、私がお前らを叩き直してやる、覚悟しとけ。
「そういうの、たまりません
旦那にも手伝わせようっと


藤川先生、愚痴る

2015-08-28 11:15:00 | へちま細太郎

ちわ、藤川だ。
もうすぐ夏休みも終わり。
生徒のいない学校は静かで幸せ。

どうでもいいんだが、教師は夏休みがっていいですねえとか、夏休みなのに学校ですか?大変ですねえとか、いまだにガキが休めば教師も休みって思ってねえか?
夏休みはあるぞ、夏期特休てやつが。まとめて旧のお盆休みにとるやつが多いが、1日1日とバラバラにとるやつもいるし、年休・代休と合体して海外に高跳びするやつもいる。
仕事あるの?とかとぼけた質問するやつがいるが、あるんだよ!!
ガキに勉強だけ教えているとでも思ってんのか!!
実際、部活の顧問、とくに運動部なんかは年中無休の残業三昧だ。
加えて、クレーマー体質な親も増加したしな。誰が苦情処理するんだよ、本人しかいねえだろ。
3年の担任になったあかつきには、生徒相手に進路指導。
最近はAO入試が大はやりで、成績悪かろうが、遅刻欠席が多かろうが、大学がよし、とすれば合格になる。進路先に提出する書類は、悪いことかけねえから、偽造書類の連発だ。
例えばだよ、注意力散漫で失敗ばかりするやつがいたとして、これそのまま書いたらアウトじゃん。だから、おっとりした性格で常にマイペースを保ち、多少の失敗にもくじけずに挑戦する、とかわるわけだ。
これで、休みが多くていいですね、とか、教師のくせに何やってんだ、とか言われたくねえよ。

…。



なんか、怒ってねえかだと?
怒ってるよ!!
無理やりさせられた見合い相手が、何であんな山の中に住むイノシシ女何だよ!!
猪突猛進の脳内お花畑の芋虫わきまくりの妄想だらけじゃねえか。
俺が、いつ結婚するっていったんだよ、山猿女!!

俺も、失踪したい。。。


(仮)亀梨軍団悠樹の農作業報告

2015-08-28 09:45:53 | へちま細太郎

残暑どこいったお見舞い。
久しぶりな(仮)亀梨軍団の悠樹だよ。
知らなきゃ前までさかのぼって探し出してみ。
孟宗サッカー部OBで、現在はバカ殿んちの実家の御隠居の下で働くエリートだ。
でも、エリートが何で、野良仕事してっかだな~。

この夏の猛暑は、酷かったよな。
畑に出て作業するのも地獄、田んぼでアヒルを見張るのも地獄だっった。
秀吉のころから行われていたというこの農法を、藤川家も代々行っていて、田んぼに放つ合鴨は、役目が済むと食堂の食材に回されていた。
ところが、合鴨をいたく可愛がっていたバカ殿の妹が、
「かわいそう~」
と泣いたおかげでアヒルと鴨にかわったんだとさ。
そんで交配して合鴨が生まれてりゃ世話ねえわ。
で、合鴨はめでたく食材となるわけだ。
アヒルは藤川家の小屋の中でぐわぐわうるせえし、鴨はどっか飛んで行っていなくなっちまうし、自然農法はめんどくさ。合鴨は飛んで行ったらヤバいので、飛べそうなやつはそっこうで食材行きだ。飛べても飛べなくても、かわいそうなやつらだ。
でも、今じゃうすらとんかちの信ちゃんの子供のペットになっていて、クビに縄を結ばれてひきづりまわされて、やっぱり地獄だった。
地獄と言えば、あいつの相手も地獄だった。
なんなんだ?あのキチローっていう子ブタは。
いかにもヲタの雰囲気を醸し出しつつ、しかしどこか変。
ふつうのヲタに失礼な迷惑子ブタだぞ。
須庭寺の副住職のゾク時代のレディースの息子だとかで、在学中にストーカー&妙なメール送信で厳重注意の上、藤川家預かりになったんだとか。
アニメ声優の専門学校に進学したいだの、いや自分ほどの天才は東大しかないだの、ボクみたいな尊い生まれは慶応こそが相応しいだのと世迷言ばかりいっていやがる。
おめえみたいなのが俺様の後輩になってたまるか、諭吉先生があんなのの入学を許すはずがない、と思うけど、学問のススメを奨励するわけだから、差別はない。
でも、拾ってももらえんだろうな、あの勉強できなさすぎは。
よく孟宗に合格したよなあと、母校の中学校に感心したもんだ。
勉強できないはおいといても、草をむしれば途中から文字通りむしりとる、掃除をすれば箒を大きく振りまくってごみを飛ばす、雑巾がけをすれば顔から廊下につんのめって自爆。
馬にバカにされて蹴られそうになり(いくらいってもケツから近寄る)、牛に鼻水つけられたあげく反芻された食いものを頭にげろ吐かれる、豚には悲鳴をあげられる等数え上げるだけでも疲れるわ。
一応、御隠居に教育係を言われたものの、バイトにきていた小栗と水嶋に押し付けてオレは麦茶飲んで涼んでいたわ。
ふたりは喜んで引き受けてくれたけど、おらシラネ。。。


住職さまは子煩悩

2015-08-26 14:42:41 | へちま細太郎

ことみよ須庭寺の。

百合絵さんに子供が誕生して、我が家もにぎやかになりました。
じじいにとってみれば、孫より若い息子の誕生となって、ぶっとびまくりだわ。
うちの5人の子供たちも、思わぬ赤ん坊の登場で、
「弟ができた弟ができた」
と、おおはしゃぎ。
いや、弟じゃないって。。。
年の若い、おじさんだって。。。
バカオヤジは年がいもなく、
「拙僧も上原謙に負けてないわな」
と高笑い。
誰よ、上原謙って、といったら、百合絵さんのお兄さんという、メインブラックのおとなしめバージョンの方が、
「それは、加山雄三の父親の俳優のことだな。妻の小桜葉子は岩倉具視公の曾孫である」
と、教えてくれた。知らんわ、そんな往年の昭和スターのことなんぞ。
「なあにが岩倉具視よ、貧乏公家え~」
と、義姉の尼さんは容赦なく悪口を言う。
まあ、自分のご先祖の第2代藩主の田吾作の悪口満載のロクでもない尼さんだから、まったくの他人は余計らしい。
息子誕生に気を良くしたクソじじいは言うに事欠いて、
「これは若死にした長男の生まれ変わり、ゆえに成人したら須庭寺を継がせる」
と、大宣言してしまった。
当然のことながら、うちのバカ亭主の顔が引きつる。
「あ?」
青筋がたって何か言いかけたとたん、
「僧は僧でも、我が母校の宗派に」
と、百合絵さんの別な後ろ襟のお兄さんとやらが口を挟んできた。
「清きままに、育つのもまた神の思し召しとして、是非我が神の手に」
「か~つ
クソじいいが、超大音量で「喝」と叫び、驚いた5人の子供たちが泣き出し、赤ん坊も火がついたように泣きだしてしまったのよ~。
「我が組の後継ぎと申し入れてあったはずだけどな」
と、百合絵さんのお父さんが割って入る。
何が「我が組」よ。近所の隣組のくせに、騙るにもほどがあるわ。
バカ亭主はバカ亭主で、庭で爆音とどろかせて出かけちゃうし、もういい加減にして
と、いう周辺の騒ぎもどこ吹く風の百合絵さんは、思わぬ年齢での出産にも関わらず至極健康体で、相変わらずの天然ボケで、大事な大事な息子のおむつを取り替えておりましたとさ。
ちゃんちゃん。
ほんと、あと継いで欲しい~。



住職さま、腰抜かす

2015-08-03 12:05:22 | へちま細太郎

須庭寺の家つき娘のことみよ。
暑中お見舞いもうしあげちゃうわね。

バカ亭主は、バカオヤジにかわって、檀家とお盆の相談。
オヤジは、病院だわよ~。
そう、オヤジの後妻の百合絵さんが、体調その他、年齢が年齢ということで、帝王切開になったのよ。で、オヤジが病院に僧服のまま行こうとしたのをしかりつけ、バカ亭主の姉の京さまが、オヤジのためにそろえてくれた服に着替えさせたわけね。
ほんと、京さまって、還俗おすすめすしたくなるわ、こんなセンスしていちゃ。
だってね、全身白でコーディネート、夏だから涼しげでいいかと思うけど、そこへ御丁寧にレイバンの黒のサングラス。
でもって、わかるでしょ、うちのオヤジ、ボーズ頭といえば聞こえがいいけど、スキンヘッドだから、そのスジの方かと頭抱えちゃった。
おまけに、パナマハットよ~。
オヤジ、鏡に写った自分の姿に大満足。
「ショーン=コネリーにみえなくもないな」

バカはほっておこうっていいたいけど、一緒に病院いったわよ。
百合絵さまのご家族もきていたんだけど、なんかこう、百合絵さまも百合絵さまだけど、御家族も不思議な方々なのよね~。
なにかしら、そう、う~ん、昔々の伯爵さまだか、何爵さまだか知らないけどさ~、うちのバカ亭主の親戚ともまた違った雰囲気なのよ。
ま、でも、バカ亭主は違和感なく話しているみたいだから、やっぱり昔のお貴族さまとは違うのかなあ、とも思ってもみたりしたわけね。
急ぎ病院までかけつけたら、なんか病院内が異様な雰囲気なの。みんな遠巻きに私たちをみるわけ、オヤジのかっこがそうだからと思ったら、上には上がいたのよ~。
オヤジが、百合絵さまの病室に駆けつけた途端、
「ひえええええええ」
と悲鳴をあげて腰をぬかしてる。
「お父さん!!」
と、かけよってみれば、病室の中はメンインブラックの集団と、うしろ襟の牧師さまたちがごそっといたわけ。
「これはどうも、娘がお世話になっています」
百合絵さまのおとうさま、結婚のあいさつに来た時とぜんぜんちがうじゃないのっ!!
「そちらさんも後継ぎができたようですので、娘に男が授かった暁には、手前どもの組の後継ぎに…」
あ、オヤジ、気絶した