宇宙そのものであるモナド

生命または精神ともよびうるモナドは宇宙そのものである

金子武蔵『ヘーゲルの精神現象学』Ⅱ本論(三)「理性」1「観察」(その9-2):(ホ)「論理学的心理学的法則」(続)!「意識」が「理論的論理的」たるのほかに「実践的」なら「心理的意識」となる!

2024-06-28 13:14:30 | Weblog
※金子武蔵(カネコタケゾウ)『ヘーゲルの精神現象学』ちくま学芸文庫(1996)(Cf. 初刊1973)
Ⅱ本論(三)「理性」1「観察」(その9-2)(182-184頁)
(39)-3「外は内の表現である」という命題:(ホ)「論理学的心理学的法則」(続)「論理学」は、「絶対知」の内容を純粋に――「自然」と「精神」となるに先立った――純粋な形式において展開すべきものだ! 
★さて、ここでなぜ「論理学」が出てきたかについて、考察してみよう。(金子武蔵氏)これは実は『精神現象学』が変貌しつつあることを示す。(182頁)
☆なぜなら「論理学」は、「絶対知」の内容を純粋に――「自然」と「精神」となるに先立った――純粋な形式において展開すべきものだ。(182頁)
☆これに対して「(精神)現象学」はむしろ「絶対知」の「認識論的序論」にすぎない。(182頁)

★ところが「論理的法則」がでてきたあたりから『精神現象学』は「認識論的序説」という規定をしだいに失い、「精神哲学」・「哲学概論」の性格を強くしている。(182-183頁)
☆ただ『精神現象学』は、「論理的な諸規定」をまさに論理的なものとして純粋に取り扱うのでなく、「観察」の立場から「対象」化され、したがって「個々バラバラにされたもの」として取り扱うことによって、「現象学」の立場は守られている。(183頁)

(39)-4 「意識」が「理論的論理的」たるのほかに「実践的」な意味を持つようになれば、それはヘーゲルにとっては「心理的意識」となる!
★すでに見たように「論理学的法則」の立場においては、「外なるものは内なるものの表現」という基本命題の意味が十分に発揮されなかったのは、そのさいの「主体」たる「意識」には、「具体的普遍としての個体」の意味がなかった。(183頁)
☆これは「意識」が「理論的」たるにとどまって「実践的」でなかったからだ。(183頁)

★「意識」が「理論的論理的」たるのほかに「実践的」な意味を持つようになれば、それはヘーゲルにとっては「心理的意識」となる。(183頁)
☆かくてヘーゲルは「心理学的法則」に移ってゆく。(183頁)
☆「環境、風俗、習慣、宗旨など」のいかんによって、それぞれの「個性」がきまってくる。かくて「心理学的法則」は、「個性」と「環境的なもの」との間に「法則」的関係を見いだそうとする。ここに「外なるものは内なるものの表現である」という基本法則の適用のあることは明らかだ。(183頁)

(39)-4-2 ヘーゲルはこういう見方(「個性は環境によって限定される」)は、「抽象的な分別悟性」のものにすぎぬとして、「心理学的法則」の立場をもしりぞける!
★しかしこれ(「心理学的法則」)に対しても、ヘーゲルは「有機体と環境」との場合とほぼ同じ筆法を使い、「自己意識の実践性」を一層強く強調する。すなわち「個性は環境によって限定される」が、しかし同時に「個性は環境を選ぶことも変革することもできる」から、「環境が必ずしも個性を表現しているわけではない」とする。(183頁)
☆ヘーゲルはこういう見方(※「個性は環境によって限定される」)は、「抽象的な分別悟性」のものにすぎぬとして、「心理学的法則」の立場をもしりぞける。(183頁)
★かくて「心理学」においても、「外なるものは内なるものの表現である」という法則はやはり「概念」的には成立しないことになる。(183-184頁)

《参考》「基本法則」は「『外なるもの』は『内なるもの』の『表現』である」ということだ。(161頁)
☆これには、次のような場合がある。(イ)「有機体」と「環境」との関係、(ロ)「感受性」と「反応性」と「再生」との関係、(ハ) 「感受性」と「反応性」と「再生」の三者(「機能」)と、「組織」(「神経組織」と「筋組織」と「内臓組織」)との関係、(ニ)「比重」(※質量)と「凝集力」との関係、(ホ)「論理学的心理学的法則」(※「論理学的法則」と「心理学的法則」)、(ヘ)「人相術」、(ト)「骨相術」(161頁)
(注)なお(イ)から(ト)まで、順序はヘーゲル『精神現象学』のテキストのままだが、表現は必ずしもそのままでない。(161頁)
この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「死体のはらわた」『スペイ... | トップ | 金子武蔵『ヘーゲルの精神現... »
最新の画像もっと見る

Weblog」カテゴリの最新記事