宇宙そのものであるモナド

生命または精神ともよびうるモナドは宇宙そのものである

「死体のはらわた」『スペイン民話集(エスピノーサ篇)』(第52話):食べるものがなかったある夜、女房は墓をあばき、死体からはらわたを取り出し、料理してジャガイモを添え食卓に出した!

2024-06-28 08:13:48 | Weblog
(1)
昔、ある夫婦が墓場の近くに住んでいた。食べるものが何もなかったある夜、女房は墓場へ行って一つの墓をあばき、死体からはらわたを取り出して、焼いて料理した。夫が帰ってくると、その料理にジャガイモを添えて食卓に出した。
《感想》墓場の人間の死体を掘り出して「はらわた」を取り出し、「焼いて料理する」とは鬼気迫る。だが飢餓は人間に「食人」をさせるだろう。しかも女房は「人肉」の料理に「ジャガイモを添え」食卓に出すほどだから、「人肉」は、「豚肉」「牛肉」「羊肉」「鳥肉」などと同様、違和感なく扱われている。
《参考》「食人」は飢餓状態であれば起こりうる。①大岡昇平『野火』は太平洋戦争末期のレイテ島で、敗走する日本軍における「食人」を描く。②武田泰淳『ひかりごけ』は太平洋戦争末期、 徴用船 が 難破後、岸にたどり着いた乗員が、飢餓状態に置かれ、死んだ他の者の遺体 を食べて生き延びた現実の事件を描く。③「独ソ戦」(1941-1945)の最中、ナチス・ドイツによるレニングラード(サンクトペテルブルク)包囲戦(1941-1944)では、300万人が取り残され、「人肉食」が横行するほどの飢餓で100万人以上が犠牲となった。
(2)
その夜、夫婦が床に就くと、遠くの方から声が聞こえてきた。「墓の中かから引き出した、わしのはらわたを返せ!」暗闇のなかで、死人は女房に近づき、ついに髪の毛をつかみ、墓場までひきずって行った。死人は、そこで、女房を殺し、はらわたを引きずり出し、自分のおなかに収めると、また元の墓の中へ入っていった。
《参考》西洋中世の埋葬は火葬でなく土葬である。死者は服を着せ棺に入れられ、墓地に掘られた穴に棺ごと埋められた。
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