宇宙そのものであるモナド

生命または精神ともよびうるモナドは宇宙そのものである

カフカ「プロメテウス」:①不死で拷問が永久に続く!②肉体が変成し岩となる!③すべてが忘れられた!④単調な繰り返しに飽き拷問が終わった!

2020-05-25 17:29:10 | Weblog
※カフカ(1883-1924)「プロメテウス」(1918)『カフカ短編集』岩波文庫(池内紀編訳)

神々の秘密を人間に漏らしたため、神々にコーカサの岩につながれ、鷲に生きたまま肝臓をついばまれる刑を科されたプロメテウスについて「四つの言い伝え」がある。
(1)不死で拷問が永久に続く!
「ついばまれても、ついばまれても、そのつどプロメテウスの肝臓はふたたび生え出てきた。」
《感想1》プロメテウスはティーターン神族の子だから、神々の一人だ。人間でないから不死であり、拷問は永久に続く。不死なので「肝臓がふたたび生え出てくる」。
(2)肉体が変成し岩となる!
プロメテウスは鷲に鋭いくちばしでついばまれ、苦痛に耐えかね、深く岩に張りついた。そして「ついに岩と一体になってしまった」。
《感想2》神々の世界の出来事は、自然の法則を超越する。プロメテウスは(神であるとともに)自然的肉体を持つが、それが超自然的に変成し岩と一体になる。
(3)すべてが忘れられた!
何千年もたつうちに、プロメテウスの裏切りも、神々も、鷲も、プロメテウスその人も忘れられた。
《感想3》プロメテウスの拷問が「永久」に続く。しかし、何千年もたつと、人々にとってその出来事が①自然の一部とみなされ、②誰も話題にしなくなり、③出来事の記憶も伝承されなくなり、すべてが忘れられた。
(4)単調な繰り返しに飽き拷問が終わった!
何千年もたち、誰もがこんな無意味なことがらに飽きてきた。神々も飽き、鷲も飽き、腹の傷口さえ、飽き飽きしてふさがった。
《感想4》単調な繰り返しに対して「飽きる」。同じ拷問の場面を繰り返し見ることに神々は飽きた。同じ行為を繰り返すことに鷲も飽きた。裂かれ、ふさぐという同じ行為を繰り返す腹の傷口は、ふさがったままとなった。
《感想4-2》プロメテウスの刑が「無意味」とされた理由は①「単調な繰り返し」がそれ自身、「無意味」とみなされた。②何千年も経つうちに、もとの有意味が忘却され「無意味」となった。(Cf.プロメテウスは3万年後、ヘラクレスにより拷問から解放される。)
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