三味線弾きの日常。

おもに津軽三味線弾き唄い。
ときどき地歌・上方唄。こっそり義太夫三味線。
三味の音を一人でも多くの人に届けたい。

西行のはなし。

2007年09月08日 | 読書
ネタバレ注意なので、多くは語れませんが、
このところのキーワードは「西行」でした。

西行の和歌についての本を読んでるうちに、
23歳の若さで突然出家した西行には、
自らが仕える帝の妻との身分違いの道ならぬ恋があった、
という話を知りました。
そう。西行は桜の歌人ですが、恋の歌人でもあるのです。

そこで、西行の恋をテーマにした小説を三つ。

最初に読んだのは、瀬戸内寂聴「白道」。

白道
瀬戸内 寂聴
講談社


これは、小説というよりも随想みたいな感じ。
読んでるうちに、西行の歌の別の面が見えてきました。
文字どおりに読んだなら、
それは風景をうたったものだったり、
具体的なシチュエーションが決まっていたりするのですが、
見方を変えると、そんな歌もまた、
決して叶わないと知っていながら忘れることのできない人の
面影をうたったものに解釈することができるのです。

次は、土岐信吉「西行花明り」。

西行花明り
土岐 信吉
河出書房新社


これは、正直、つまんなかったです。。
安っぽいメロドラマみたいになっちゃってて。
現実的には、出家しようとも生身の男と女、
抑えきれない衝動もあろうかとは思うのですけれど、
身分違いの、会いたくても会えない、
捨てるに捨てられないこの世のさだめ、を越えて、
さらには此岸と彼岸を越えて、
恋情が昇華されていくのが美しい、
と「白道」を読んで感じてしまったので。

最後はかなり長編の辻邦生「西行花伝」。
谷崎潤一郎賞受賞作とのこと。

西行花伝 (新潮文庫)
辻 邦生
新潮社


初めは、かなり読むのがしんどかったんですが、
最終的にはいちばん感動したのが、これでした。
恋の部分はそんなに多くはないのですが、
一生に一度の、一生を懸けた想いが詰まってます。
どんなに想っても会えない苦しさ、
ときに相手の心を疑ってしまいたくもなる、
そんな時期を越えて、
心はいつもそばにある、
浮世を越えた場所でいつもそばにいると
信じられるようになる、
並大抵のことではできない恋の姿だなと思ったのでした。

さて。これが実はサロメに絡んでくるんですよ~
真相は来年2月に、その眼で確かめてください☆


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