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ベートーヴェン 交響曲第7番 マゼール指揮 クリーヴランド管弦楽団

2011-12-06 | 音楽

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SONYの「Lorin Maazel Edition」 30CDs を購入。
マゼールが1970年代にSONYとRCAに残したクリーヴランド管弦楽団、ウィーン・フィル、ピッツバーグ交響楽団、バイエルン放送交響楽団、ベルリン・フィルとの管弦楽曲の30枚CDセットです。
ベートーヴェン交響曲全集、ベルリオーズ「幻想」、ホルスト「惑星」、ドビュッシー、ラヴェル、レスピーギ、R.シュトラウス、ストラビンスキー、チャイコフスキー、ワーグナーの名曲が30枚にぎっしり入っています。

マゼールと言えば、「異端」という冠が付くことが多い天才肌の指揮者。昔から聞き慣れた名曲が「えっ、こんな解釈、演奏があるんだ!」と感心させられることを、毎度期待します。
今回も、CDの1枚目から順番に聴き始め。これの2枚目 ベートーヴェン 交響曲第7番で「おったまげました」。
気持ち悪い と言っても良いくらい、今までに聴いたことがないベートーヴェンです。
まず、室内楽のように聞こえる細い輪郭線。クリーヴランド管弦楽団がべらぼうに上手いです。知らない人なら、20~30人の小編成オケの演奏と勘違いするくらい、縦軸・横軸が揃っています。0.1mmのガラスペン、いや米粒に般若心経を書く極細の筆先で描いたベートーヴェン。セルが鍛え上げた精密機械 オーケストラの面目躍如です。フィラデルフィア管弦楽団のようなゴージャスな輝き=これは高調波とも言える、すなわち余分な音をとことんまで削り取っています。セルのベト7はどうだったのかと気になって、聴き直しました。こちらは1959年、ステレオ最初期の録音。あれれ、セルの方が線が太い。マゼールと比較するとふっくらとして、豊かな響きがあります。マゼールは、セルの楽器と言われたクリーブランド管弦楽団を使って「ここまで精密画のような演奏ができる」ということを示したかのようです。

精密な演奏で長く書きすぎました。気持ち悪いと言ったのは、各パートの音がブレンドせずに、それぞれが1本の線として聞こえること。それも、その線が、個別に伸びたり縮んだり、あたかも水中のメダカのように泳ぐのです。こんな演奏したら、普通は音楽が崩れます。それが、クリーヴランド管弦楽団の名人芸とマゼールの統率で、新たな名曲として再現されました。

繰り返しになりますが、一度聴いたら忘れられない「気持ち悪い」ベートーヴェンです。それだけに、忘れられない貴重な演奏。マゼールとクリーブランド管弦楽団は相性が良いですね。マゼールがやりたいことをやっても、それにオーケストラが付いてきて見事にこなしてしまっています。このセットに入っている他のオーケストラでは、言うことをきかない、命令に従ったとしてもそれがこなせない ということになります。実際に変わったことをしていなくても、明らかなるオーケストラの技量の違いがCDを聴いて分かります。

このセットはバーゲンプライスなので、買わないと損しますよ。




コメント
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