黍生山の村夫子 (きびゅうやまのソンプウシ)

黍生山の村夫子が「蜂を追っかけた」とか「山が笑った」とか言ってます。

春だから

2015年05月12日 12時00分00秒 | 日記

                           5月8日のコサメ
今日は毎年この時期載せている漢詩 杜牧の七言絶句「江南の春」です
     
千里鶯啼緑映紅   せんりうぐいすないてみどりくれないにえいず
水村山郭酒旗風   すいそんさんかくしゅきのかぜ
南朝四百八十寺   なんちょうしひゃくはっしんじ
多少楼台煙雨中   たしょうのろうだいえんうのうち

至る所でうぐいすが啼き 木々の緑が花の紅に映えて美しい
水辺の村にも山沿いの集落にも 新酒が出来た印の旗が春風になびいている
南朝以来の四百八十もの寺々
その多くの楼台が春雨に煙っている


                          5月10日のコサメ

序でにお馴染みの杜甫の五言律詩「春望」です
これは杜甫が戦の最中、長安で軟禁されたときに詠まれた句です

国破山河在   国破れて山河在り
城春草木深   城春にして草木深し
感時花濺涙   時に感じては花にも涙をそそぎ
恨別鳥驚心   別れを恨んでは鳥にも心を驚かす

烽火連三月   烽火三月に連なり
家書抵万金   家書万金にあたる
白頭掻更短   白頭掻けば更に短く
渾欲不勝簪   渾(すべ)て簪(しん)に たえざらんと欲す

都が破壊されても山河は残っていて
春が巡って来れば草木が生い茂る      (中国の城は街全体を示す)
花を見れば時の流れを感じて涙を流し
鳥の鳴き声を聞けば別れを思い出し心が痛む

戦争が3ヶ月も続き
家族からの手紙は大金に値する
白髪は頭を掻くたびに短く
今では簪(かんざし)もさせない程だ   (簪は頭に載せていた小さい帽子を止めるもの)

8句でできている詩を律詩(りっし)と言い、5文字でできた句ですので五言律詩と言います
さらに「国破山河在」と「城春草木深」(1句と2句)
「感時花濺涙」と「恨別鳥驚心」(3句と4句)と言うように 対句になっています