缶詰blog

世界中の缶詰を食べまくるぞ!

実験!イカ丸煮缶でパエリア作り

2009-02-19 09:05:54 | 魚介

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 これは岩缶さん(岩手缶詰)の、イカスミごと入ったイカの丸煮缶である。410
 丸大豆しょうゆと砂糖を用いた、純和風の味付けに仕上がっている。
 しかし筆者は、この缶詰を眺めているうちに豁然と悟った。
「これでパエリアを作ったら、存外美味いに違いない」
 しかもそれはイカスミのパエリアになるはずである。
 このような発想を、なぜ今まで持たなかったのだろう。
 筆者は欣喜として台所に入った。



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 オリーブオイルでニンニク、干し肉、ほたて、マッシュルームを炒める。
 本日は家で仕事なので、陽の光で撮影できるのがすごく嬉しい。



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 いったんほたてを取り出し、米を炒める。
 本場スペインの作り方は、具材を炒めた後スープを注ぎ、煮立ったところで生米を投入、煮て仕上げるという段取りだ。
 しかし日本の米だと、煮ているうちにねばりが出てくる。
 よって、試行錯誤の末、筆者は米を油で炒める方法を思いついたのである。
 もっとも、これより美味しく作れる方法があれば、そっちを試してみたいものだ。
 料理好きの読者諸賢よ、意見を求む!

 さて。
 ここまで書いてきて、陽が暮れてきた。
 ちょいと失敬して、一杯やろうかと思う。



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 とっぷりと陽も暮れたところで、パエリア作りを再開。
 缶の調味液を投入したところ、少々不安が生じた。
 イカスミが思ったより黒くないのである。



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 お湯も適量加え、煮立てることおよそ15分。
 取りあえずは完成である。



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 かくのごとし。
 投入したサフランの色が出たこともあり、結局は普通のパエリアに近い色合いに仕上がった。
 では、一口...。
 やっ、甘みが強い。しかし、しょうゆとオリーブオイルが良く合っているし、焦げ目も香ばしく、なかなかに美味い。
 和風パエリア、こういって間違いない味なのである。
 ビールの酔いも加わり、本日は日西関係の新たな幕開けを見た思いであった。
 合掌。

追:この缶詰は缶界の番人、のっぽさんの提供によるものであった。拝




 固形量:180g
 総内容量:420g
 原材料名:いか、しょうゆ、砂糖、クエン酸、調味料(アミノ酸等)
 原産国:日本(岩手缶詰




キャンベル チキンヌードルスープ

2009-02-17 23:35:54 | 汁物

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 こう寒いと、スープが飲みたくなる。
 あっさりとした味噌汁より、脂っこい、西洋のスープが欲しくなる。
 こういうときに便利至極なのが、我らが缶詰さんである。
 ということで、本日はキャンベルのチキン・ヌードル・スープ缶。
 この剛毅さと朗らかさを併せ持つデザインは、やはり秀逸だなと思う。



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 筆者はこの外国語表記に目がない。
 幼い頃に、西洋文化に憧れたせいでありましょう。
 懇切丁寧なイラストがまた、いいのだ。



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 本日も、パカッと開缶。
 どうもこの、気温の低い時期に開ける汁物缶は、見た目がよろしくない。
 固まった脂が表層に漂い、奥では麺がたゆたっている。
 何かこう、むくつけき様子である。



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 せめて野菜を足そうと、インゲンを用意する。



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 片手鍋で茹でるだけという、何とも手軽な料理ではある。
 しかし、なぜか饐えたような匂いが立ちのぼってきた。
 不安が頭をよぎる。
 米国製缶詰はお味に難点のある品物が多いのである。



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 不安を抱きつつ、かくのごとし。
 ともかく寒いんだし、暖まるためにもと、一口...。
 む、実に塩辛い。こりゃいかん。
 たまらずお湯で割って薄めると、それでちょうどいい塩梅である。
 そこでヌードルを啜ってみると、これが饐えた匂いの元であった。まるで古い畳のような匂いが鼻から抜けていく。
「こういう匂い、アメリカ人はあまり気にしないんだろうな」と筆者。
「全然気にしないでしょう」と、家人。
「不味い。しかし残すわけにもいかぬ...」
「...」
 以降、この二人はただ顔を見合わせ、黙然とスープを啜り続けたのであった。
 了。




 内容量:305g
 原材料名:チキンストック、エッグヌードル、強化剤(ナイアシンなど)、調味料(アミノ酸など)、鶏肉、食塩、コーンスターチ、香料、オニオン、カロチン色素、大豆タンパク、ガーリック、香辛料
 原産国:米国

 


『缶詰の現場から』 岩手缶詰

2009-02-14 10:15:56 | 取材もの 缶詰の現場から

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 今回、取材をしてきたパッカーさん(缶詰生産業者)は、岩手缶詰株式会社であります。
 この会社を代表する缶詰はいくつもあるが、筆者はやはりこの『いか“すみ”丸ごと』が印象深い。
 濃厚なイカ墨も一緒に入っていて、缶汁が真っ黒けである。インパクト力抜群のイカ缶なのである。
 これは三陸産のスルメイカを“生”の状態で使用している。すなわち獲れたてだ。
 同シリーズのさんま水煮も、生の秋刀魚を使用している。
 岩手缶詰さんは素材の鮮度にこだわるパッカーさんなのだ。



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2月某日、新幹線で盛岡へ到着!
今回は盛岡工場の取材と相成った



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 いよいよ到着。彼方に名山・岩手山をのぞむ素晴らしいロケーションであります。

 岩手缶詰は昭和16年(1941年)に設立。
 時代は太平洋戦争の最中。国の指導により岩手県の6社が合同で『岩手県缶詰』を設立し、軍用の缶詰を生産していたそうだ。
 今の時代でいえば“ミリメシ”だが、こちらは筋金入りである。
 企業に歴史あり、である。
 今回筆者の訪れた盛岡工場が新設されたのは、昭和34年(1959年)のこと。
 ヤングコーン、エンドウ豆、ホワイトアスパラなど、当初は農産缶詰生産のために建てられた工場だった。
 やがて流通の発達により水産缶詰も手掛けるようになる。現在は製造第1部で缶詰を、製造第2部でレトルトパウチを生産している。
 その製造割合は約62%対38%。これは岩手缶詰全体の事業内容の割合とほぼ同じ数字になる。
 すなわち缶詰が6割強。冷凍食品・レトルトパウチやワイン、ジャムなどが4割弱なのだ。
 そのようなお話を、常務取締役・工場長の佐々木幸治氏にお聞きすることができた。Logo300
 プライベートブランド(PB)缶詰にはカラフルな企業ロゴ『icc』が冠されている。読者諸賢も一度は眼にしたことがあるかと思う。



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 お邪魔したときにはサンマ缶を製造していた。
 まずは頭と尾をちょん切るところから始まる。
 案内してくださったのは、製造第1部次長・佐々木貞利氏。



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スライサーを通過するとさんまが見事な背開きに
このあとバキュームで内蔵を取り除く



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まずバーナーで表面を香ばしく炙る
そのあと炭火の遠赤外線で火を通していく



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調味液投入の後、巻締機登場であります
中央に見える包みに上蓋が200枚装填されているのだ



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ランダムに缶を抜き取って、巻締めを検査
ノギスのような専用道具を使って計測する
※この缶は見本用です



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 珍しい光景に出会えた!
 圧力殺菌釜の中から、殺菌を終えた缶詰を取り出すところなのだ。
 缶詰たちが高温になっているため、いったん水を注入して冷ましてから取り出すという段取り。
 15分ほどかけてゆっくりと水を抜き、扉を開ける。
 この流れ出る水、水温は40℃ほどある。



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 ここが最終検査所。缶の厚みで真空度を測定する検査、缶印字の検査機、巻締検査機と並んでいる。
 不合格のものはエアによってラインからはじき出されてくる。
 ここまでの行程でも、X線による異物検査がライン毎に行われているのだ。
 岩手缶詰の経営理念の第1章には「品質保証」が謳われていた。
 理念に謳い、日々の業務で肌に染み込ませる。これはどの業種・業態でも肝要なのですぞ。



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 これはバキュームで缶詰をつかみ、自動で段ボールに装填する機械。
 こういった機械はほぼオーダーメイドだそうで、これも工場長と次長がメーカー側と話し合いを重ねて出来上がったそうだ。
「アイデアが必要だね」と、佐々木工場長が一言。
 重みのあるお言葉である。



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はやての車窓から さらば盛岡よ

 こうして、今回も内容の濃い取材をさせていただいたのであります。
 工場見学の様子は4月25日のイベント『缶詰ナイト2』で、更に詳しくお話する予定。
 ところで、缶界での岩手缶詰の愛称は「岩缶(いわかん)」さん。太平洋戦争の軍用缶詰から始まった岩缶さんの、現在の売れ筋缶詰は『盛岡冷麺缶』という、いわゆるラーメン缶と同種のもの。
 秋葉原で人気の沸騰したラーメン缶は、こんにゃくを麺として使用している。これが食感でマイナスにもなると思うのだが、冷麺となるとなぜかプラスに作用する。
 もともと冷麺の麺は歯ごたえがあり、こんにゃくの代用でもそれほど違和感を感じないのだ。
 歴史と革新の融合したパッカー、それが岩缶さんでありました。




緊急告知!

2009-02-09 19:32:51 | イベント・講座

 読者諸賢よ!
 Niftyの運営する東京カルチャーカルチャーで、第2回『缶詰ナイト』開催が決定したのであります。

4月25日(土)Open17:00 Start18:00 End20:30(予定)

 今回の内容は

1、渾身の缶詰工場潜入レポート「大人の社会見学」
2、“あの”缶詰会社“この”缶詰会社の缶詰を来場者全員にプレゼント!
3、美味しい楽しい試食会
4、ミリ飯のプロ、クロスケさんも参戦!

 などなど、魅惑のコンテンツ山盛りでお届けします。
 缶界人ならびに缶界周辺の方々よ、張り切ってご参加願いたい!

 チケットもこちらで発売開始っ! Yes We CAN!




さんまとハバネロ

2009-02-08 11:24:05 | 魚介

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 Yes We Can!
 世界は今、激動の波にさらされている。
 どのような波かというと、それはもう、いろいろな波である。
 そのような世情の中で、米国新大統領の発した“Can”と、我々が所属する缶界のCanはスペルが同じ。
「これは大変だ」と思わざるを得ない。
「僕も何事かせねば」と、思わず立ち上がったりする。
 そんなときにぴったりなのが、本日の缶詰『さんまとハバネロ』である。



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 ぱかっと開缶!
 ハバネロというのは読者諸賢もご存じの、唐辛子の一種。
 一時は“世界一辛い”ともいわれた種類なのだ。
(現在はもっと辛い種類が確認されているらしい)
 ともあれ、これをトマトソースに加えた調味液で味付けしたのが、この缶詰。
 暮れゆく拙宅で、その赤い調味液が妙に魅惑的に見える。



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 かくのごとし。
 さんまの黒々とした皮と赤いトマトソース。なぜか異国情緒が色濃く漂う。
 ではでは失敬して、一口...。
 むっ、これは美味いですぞ。
 やっ、辛い辛い! 思わず声が出るくらい辛い。しかし直後に「けど美味い!」といってしまう。すなわち
「辛い! けど美味い! 辛い、美味い!」
 を連発することになる。
 予想以上に美味しいです、これ。トマトソースのグルタミン酸と、さんまのイノシン酸。そこにハバネロの辛みと香り。
 トマトの酸味があるから、塩分をそれほど使わなくてもいいのではないか。
 缶に残った調味液を、「辛い美味い」を連発しながらも啜ってしまった。





 固形量:70g
 内容総量:100g
 原材料名:さんま、トマトペースト、ハバネロチリソース、食塩、砂糖、香辛料、調味料(アミノ酸)、増粘剤(ガァーガム)
 原産国:日本(国分岩手缶詰