缶詰ブログ独占スクープ! 左の2つがホテイの新商品だ
(3月発売予定。詳細は本文を参照のこと)
今回の『缶詰の現場から』は、静岡市に本社を置くホテイフーズコーポレーションであります。
ホテイフーズといえば焼き鳥缶が代名詞。読者諸賢も、きっと昔から馴染みのある商品だと思う。
しかしここで一寸、思案していただきたいのだ。
焼き鳥というもの、本来は串に刺さっていて、その焼きたてを店で頬張るもの。
それが串なし状態で、しかも缶に詰めちゃってる。
何と大胆な発想だろう。
この既成概念をひっくり返した焼き鳥缶は、昭和8年に創業したホテイフーズ(創業時は三共商会という名称だった)が、昭和45年12月に発売を開始したもの。もちろん、日本で初めての商品でありました。
これがホテイフーズの本社
本社近くにある蒲原工場。その昔の東海道・蒲原宿にあるのだ
それでは早速、焼き鳥缶の出来上がる様子を見てみよう。
応対してくださったのは取締役・販売部長の若山俊一氏と、販売部・販売企画課リーダーの高木剛彦氏。
工場内では工場長の澤野好宏氏に案内をしていただいた。
まず赤外線コンロで火を通した後、こうして本物の炭を使って仕上げる。
真っ赤に焼けた炭に脂が滴り落ち、それがたまらなく香ばしい煙となって肉にまとわりついていく。
この行程、まさしく“焼き鳥”であります。
この専用の焙焼炉は、約3年を掛けて開発したもの。このように缶詰企業で使われる機械は、メーカーと共同で開発したオリジナルのものが多いんですぞ。
使用される鶏肉は、開発当初からずっと国産鶏のみ。モモ肉と胸肉を半分ずつ使う。
焼き上がった肉をこのカッターで1口大にカットし、金属探知機を通して次の行程へ。
1缶ずつの分量にして缶に入れ...
更にウエイトチェッカーで計量して微調整を行う
このように缶詰はたくさんの人の手が関わって出来るのだ
この後は調味液(タレ)を注入していく
これは真空巻締機。減圧と巻締(蓋を閉じる)を行うんです
巻締の後はX線検査機で巻締具合をチェックする
外側もきれいに洗浄して...
専用のカゴに積んで、レトルト殺菌釜へ投入
ここで缶ごと加熱殺菌するから、缶詰は無菌状態になるのだ!
加熱後は冷却水が入れられる
これはその水を抜いているところ
缶の内圧をチェックし、規定外のものは除外される
缶蓋に賞味期限と工場名をインクジェットで印字するが、
印字内容もコンピューターでチェックされるのだぞ
最後に再びX線検査機で異物混入がないかチェック
こうして幾重にも品質チェックが行われてるんですなァ
このように作られるホテイフーズの焼き鳥缶は、現在たれ味、塩味、たれ味辛口、ガーリックペッパー味、カレー味和風の5種類。この順番は、売上の多い順であります。
このラインナップに、3月から新たな味付けが加わる。それが冒頭の画像にある手羽元たれ味と、柚子こしょう味なのだ。
手羽元たれ味は何と、手羽元を骨付きのまま使っている。一度油で揚げて旨味を閉じこめてから、ピリ辛タレで仕上げている。
これがその中身。ゴロッと3本、手羽元が缶詰から出てくる様はかなりインパクトがある。
頬張ってみると、肉は鶏独特の歯応えを残しつつ、うっとりと柔らかい。身が骨からきれいにはがれるのが快感であります。
「骨付きでの缶詰化は恐らく当社が初めてのはず」
と、販売企画課リーダーの高木氏がおっしゃる。
もともと焼き鳥缶が日本初だったのに、今回またまたお初商品を開発したのだ。
ついでに言えば、この焼き鳥缶シリーズのパッケージにはおおば比呂司氏のマンガが描かれている。通常の缶詰は写真かイラストが使われているのだから、このマンガを使ったパッケージデザインも実は日本初だったのだ。
お初をいくつも誕生させるホテイフーズ。恐るべし手腕である。
これが柚子こしょう味。従来の塩味をベースにしながら、そのあっさりした風味を生かしつつ柚子を利かせるのに苦心し、開発には約1年を掛けたという。
柚子の素晴らしい芳香のあとでピリッとした辛さがやってきて、酒のアテにはたまらない味付け。柚子も唐辛子も国産というこだわりだ。
ひそかにヒットの予感であります。
このコマーシャル、憶えてますか?
ホテイフーズの焼き鳥缶は、今年で発売40周年となる。
まさに「企業に歴史あり」と言わねばならない。
同社では手羽元たれ味・柚子こしょう味のほかにも、40周年記念として『揚げさんま』缶や、輪切り玉ねぎが丸ごと入った『ドレッシングツナ』缶など、新商品を10数種投入していく計画だという。
老舗のナショナルブランドでありながら、果敢にお初商品に臨んでいくホテイフーズ。あっぱれな缶詰企業でありました。
この記事は『缶詰が好きです』の“ほていの焼き鳥・柚子胡椒”にトラックバーック!!