缶詰blog

世界中の缶詰を食べまくるぞ!

大晦日企画! コンビーフとニューコンミート

2009-12-31 12:44:52 | 

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 いよいよ今年も押し詰まってまいりました。
 詰まりも詰まって、本日は大晦日。
 そこで、長年夢見ていた企画を取り上げたい。
 それはコンビーフとニューコンミート、味はどう違うのか食べ比べてみることなんであります。
 コンビーフ缶は国産でも数種類が発売されているが、今回は日本で初めてコンビーフを発売したノザキブランド(現:川商フーズ)を取り上げたいと思う。




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 コンビーフ缶といえば、この巻き取り鍵。開口部をこれでくるくる“巻き取る”作業は、他の開缶方法では味わえない楽しみがありますなァ。
 筆者は子供の頃からこの巻き取り鍵が好きで、特に何かに使うわけでもないのに、大事に宝箱に収めていた記憶がある。




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 くるりっと、開缶!
 この画像は“かぶりつき食い”に理想的な開け方であります。
 こうして開けるためには、あらかじめ缶ごとよく冷やしておくことが肝要。慌てず、ゆっくりと中身を引きだそう。
 さて、コンビーフとニューコンミートとの違いは原材料にある。
 コンビーフは牛肉を100%使用していて、ニューコンミートは牛肉が20%以上、約80%が馬肉となっている。これは日本農林規格で定められているのだ。




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 かくのごとし。
 まずはそのままいただくのだが、この盛りつけ方は銀座のバー『ロックフィッシュ』のメニューを真似てみた。
 缶から取り出して上から真っ二つに切り、あとは1cm弱にスライスするだけ。ちなみに、左側がニューコンミートであります。
 ではでは、ハヤる気持ちを抑えつつ、ひと口...。
 やっ、けっこう風味が違っているぞ。
 まずコンビーフのほうは、食べ始めから飲み込むまで赤身牛肉と牛脂の風味が均等に続く。舌触りがとても滑らかで、脂肪分の融点が低いのが分かる。
 一方のニューコンミートは、食べ始めの味がコンビーフよりもマイルド。一寸意外でもあります。
 しかし噛んでいるうちに馬肉独特の風味が立ち上がってきて、鼻から抜ける香りがマイルドからワイルドへ変わる。繊維質もしっかりしていて、いかにも
「肉を食ってるな」
 という醍醐味が味わえるのだ。




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 今度はちょいとアレンジしてみた。すなわち、レンジで軽く加熱して、柔らかくなったとこにオリーブの輪切りを混ぜ込んでみたのだ。
 結論から言うと、これは失敗料理であった。オリーブの塩っ気が強すぎて、意外にもコンビーフ、ニューコンミートが負けてしまったんであります。
 それから、軽く加熱しただけだと、ニューコンミートは肉の臭みが出てしまう(冷めると消える)。どうせ加熱するなら、しっかりと加熱したほうがいいようだ。
 このほか、コンビーフ・ニューコンミート料理の代表としては、じゃがいもと一緒にフライパンで香ばしく炒めるものがある。
 親父がよく酒の肴に作っていたっけ。黒コショウをたっぷり利かせるのがコツであります。

 ニューコンミートは、数年前までニューコンビーフという名で流通していたけど、コンビーフよりも安いからよく買っていた。その味にノスタルジアを憶える読者諸賢も多いのではないだろうか。
 味覚には記憶が強く作用する。それがウマいマズいの基準にもなっちゃうのだから、食べ物というのは面白いんですなァ。
 それではみなさん、どうぞどうぞ良いお年を!!




 コンビーフ
 原材料名:牛肉、食用油脂、食塩、砂糖、調味料(アミノ酸等)、増粘多糖類、カゼインNa(乳由来)、酸化防止剤(ビタミンC)、発色剤(亜硝酸Na)
 内容量:100g

 ニューコンミート
 原材料名:食肉(馬肉、牛肉)、食用油脂、食塩、砂糖、香辛料、調味料(アミノ酸等)、増粘多糖類、カゼインNa(乳由来)、酸化防止剤(ビタミンC)、発色剤(亜硝酸Na)
 内容量:100g

 原産国:日本(販売:川商フーズ、製造:日東ベスト




 この記事は『コンビーフ★魂Beef』“徹底比較!コンビーフ VS ニューコンミート ”
『缶詰が好きです』“コンビーフの缶詰
『缶詰まにあくす』“Bestコンビーフ”にトラックバック!




『缶詰の現場から』社団法人日本缶詰協会 研究所

2009-12-23 13:36:51 | 取材もの 缶詰の現場から

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日本缶詰協会の発行している缶詰手帳
缶詰に関する規格や法規が載っている
2010年版は表紙が赤でカッコいいのだ

 今回の『缶詰の現場から』は年末特別編であります。
 いつもは缶詰企業を取材するのだが、今回は社団法人日本缶詰協会研究所を取材したのだ。
 その日本缶詰協会というのは、我が国の缶詰企業(工場を含む)の約88%が会員になっている社団法人。
 その会員企業が生産する缶詰の総数は、日本の缶詰生産量の90%以上にもなる。
 言ってみれば、日本の缶界の総元締めなのであります。
 その日本缶詰協会が所持する研究所は、神奈川県横浜市にあった。




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 横浜のシーサイドライン(横浜新都市交通)に乗って、福浦駅で下車。
 金沢産業団地内にあり、観光地の八景島にもほど近い場所だ。



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 これが研究所の入り口。
 周囲はとても静かで、じっくりと研究に取り組めそうなロケーションであります。



20091106img_4323 まずは3階の食品化学研究室へ。
 ここでは品質、栄養、衛生に関しての化学的な実験を行っていて、計測室や準備室、研究員の居室などがある。
 ところで筆者は、化学にはまったくヨワい。ヨワいのだが、話を聞いたり、見たりするのはすごく好きだ。
 科学的なことにワクワクするのは男子の性(さが)なのかもしんないですなァ。



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 どうです、この光景。ワクワクしませんか?
 手前にあるのは食品の固さを数値化する機械。食感という曖昧な感覚も、数値化することで標準化できるのだ。



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 これは分光光度計という機械で、食品の成分を分析した結果。
 アスパラギン酸など、含まれている成分が分かるんですぞ。



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 これは缶の巻締部分を顕微鏡で見ているところ。
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 巻締というのは右の略図にある通り、缶詰のフチの部分を巻いて締めることだ。
 ここが規定通りに巻き締められていないと、密封されていないことになり、保存性が保てないということになる。
 缶詰の要諦の第一は、缶蓋と本体との巻締なのだ。
 ちなみにこの顕微鏡の画面には2つの巻締部が映っているが、どちらが正しい巻締か分かるだろうか。
 正解は左側。缶蓋と本体が二重にきっちりと丸まってます。



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 こちらは1階のプラント室。
 缶詰工場とほぼ同じ設備が並んでいて、材料さえあれば缶詰が作れるところだ。
 レトルト殺菌釜の前にいるのは、取材当日に案内してくださった駒木勝所長であります。



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 これは缶詰の内部、特に中心部の温度が測れる装置。
 前出のレトルト殺菌釜で加熱殺菌するときに大事なのは、缶詰の中心部分が規定の温度に達しているかということ。
 熱湯や蒸気で過熱すると、当然ながら熱は周囲から中心部へと伝わっていく。
 だから中心部を殺菌するためには、ある程度の時間をかけて加熱する必要があるのだ。
 これが缶詰の要諦の第2なのであります。

 殺菌するためには加熱すればいいんだけど、一般的に加熱時間が長ければ、食品は柔らかくなってしまう。
 すなわち食感が変わってくる。
 この“安全性”と“食感”のかねあい、これが各企業のノウハウが生かされる部分なのですなァ。
 缶詰というのはノウハウのかたまりなのであります!



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 これは手動式の巻締機。筆者も体験させてもらった。
 ハンドルを回していくと、まず第1のローラーが缶蓋の周囲を丸める。ここで最初の手応えがある。
 そのまま回すと第2のローラーが缶蓋と本体を巻き締めていくのだ。巻締が終わると手応えがすっと軽くなるので分かる。



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これがその巻締ローラー部のアップ
真ん中の円柱は上から押さえつける役目をする




 この研究所の最も大きな役割は、会員企業から送られてくるサンプルを分析することにある。
 例えば成分分析などは、各企業でも測定機器を持っているとはいえ、公平中立的な立場にある日本缶詰協会の研究所で分析してもらうことで、公正な結果というお墨付きをもらえることになるのだ。
 だから同研究所では、日々、分析と研究を行っているんであります。

 この取材が実現したのは、日本缶詰協会の増田寛行専務理事と、前出の駒木所長、並びに戸塚英夫次長のおかげでありました。
 さらに筆者を同協会に紹介してくれたのは、清水食品の阿部齊社長だった。
 人と人とのつながりの大事さをあらためて思い、みなさんには感謝多謝であります!




華南菜の缶詰

2009-12-15 12:10:18 | 蔬菜

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鳩の缶詰? ではなかった

 今、アジア市場が熱い。
 景気の低迷する日米欧より、アジア諸国のほうが商品が売れるのだ。
 そんな熱いアジアでは、きっと缶詰業界も熱いだろうなと思う。
 缶蓋を開けたとたん、熱い情熱がほとばしるかもしれない。
 そこで今回はタイの缶詰に急遽、ご登場願ったのであります。




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 正面の鳩の図柄はブランドマークであった。
 本当の中身はこの「華南菜」というものらしい。
 つまり、これは“菜っ葉”の缶詰なのだ。
 菜っ葉の缶詰なんて日米欧ではまず見られない。しかしアジアでは、タイのほか中国でも生産・流通しているのが確認されている。
 やはりアジアは熱い。菜っ葉を加熱殺菌して缶詰にしちゃうのだ。
 いったい中身はどうなっているのだろうか。




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 キコキコっと開缶。
 やっ、まるで白菜のようなものが詰まっている。
 おまけに缶汁からは野沢菜漬け風の匂いがしている。




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 かくのごとし。
 皿に開けると匂いが強まった。
 それは
「化学調味料がたっぷり入ってんだろうなー」
 と思わせる匂いで、我が国ではもう30年くらいは嗅いでないような“どぎつさ”がある。
 それはあの高度経済成長期を思わせる、熱い熱い匂いなのだ。
 ではでは、失敬してひと口...。
 ふーむ。やはり野沢菜漬けに近いお味と歯応え。しかし甘みが強めで、そこに旨味調味料的な味が強烈に添加されている。
 その昔、場末のスキー場の土産物で、こんな味の漬け物があったような、そんなお味なのだ。
 それにしてもこの切り方というか、詰め方もすごい。
 小さめの株の根元から、4分の1に切ったママで漬け込んで、缶に詰めているのだ。
 何と木訥。何とダイナミック。
 やはりアジアは底知れぬパワーを秘めているようだ。




 内容量:タイ語のため不明
 原材料名:タイ語のため全く不明
 原産国:タイ

 追:この缶詰はブログ仲間のdii-chaiさんからいただきました。感謝多謝!!




君はゲイシャ缶を知っているか

2009-12-10 14:19:51 | 魚介

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 本日ご登場願ったのは、コンビーフでお馴染みの野崎産業(現・川商フーズ)が1911年に立ち上げた老舗ブランド、「GEISHA」(ゲイシャ)缶詰であります。
 ゲイシャ缶は輸出用商品なので、基本的には国内で買える機会がほとんどない。
Img_4506geisha しかし海外では非常に有名なブランドだ。
 どのくらい有名かというと、この商標をそっくりマネした偽ブランド品が横行しているくらいなのだ。
 即ち「GEISHO」とか「Geishaw」とか。
 1911年に誕生したゲイシャさんは、2011年で生誕100年目を迎えることになる。
 この重要な節目に臨み、川商フーズでは現在、何か大きな記念イベントを企画しているようだ。
 その内容が判明次第、読者諸賢にお届けしていくつもりだが、ともあれ。
 本日は同ブランドのサバのトマトソース漬け缶をご紹介しよう。




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 キコキコっと、開缶。
 イージーオープンではないのだ。
 上の画像のうち、大きいほう(4号缶)を開けてみた。




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 かくのごとし。
 圧倒的なボリュームである。10センチほどの長さのサバが3尾、“ぞろっ”と出てくるのであります。
 皮の文様も美しく、角度によっては生々しい光景だ。
 そのお味はどうかというと、我々が通常食しているサバ缶とだいぶ趣が異なっている。
 トマトソースにサバの匂いが移っていて、全体的にウォーターフロント的な匂いがしている。
 そういえばノルウェーのサバのトマトソース漬け缶を食べたことがあるが、あれとよく似ている。
 さすがに輸出用商品、味も香りもエキゾチックなんであります。
 筆者はこれをレンジで熱々に加熱し、黒コショウをたっぷりと振って食した。これでウォーターフロント的匂いはぐっとおさまったのである。このほか、香ばしく炒めたニンニクなんかもきっと合うと思う。



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アラビア文字の書かれた中東向けツナ缶
現地では高級品で、主に富裕層が買うらしい

 ゲイシャブランドはこのほかマッシュルーム缶、みかん缶、パイン缶、牡蠣の燻製缶など様々な種類がある。筆者もニューヨークのスーパーでアサリ缶を買ったことがあった。
 読者諸賢も、機会があったら試してみてはいかがだろう。




 

 内容量:255g
 原材料名:サバ、トマトソース、水、塩
 原産国:中国(販売:川商フーズ)