缶詰blog

世界中の缶詰を食べまくるぞ!

『缶詰の現場から』 髙木商店

2009-02-02 12:59:18 | 取材もの 缶詰の現場から

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 読者諸賢よ!
 いよいよ、全国の缶詰企業を取材する新企画『缶詰の現場から』をお届けしたい。
 記念すべき第1回は『ねぎ鯖』シリーズというプライベートブランド(PB)を生み出した(株)髙木商店さんであります。

 さて、この冷たい金属に入った缶詰というやつ。
「工場でオートメーションで作られてるんだろう」
 と思われがちだが、そうではない。
 実は、皆さんの想像以上に人の手と眼が必要で、そういう意味では手作りに近いといえるのだ。
 そんなところも、この新企画で皆さんに伝わればいいなと思うのであります。


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この扉をくぐれば、いよいよ缶詰現場

 銚子漁港・卸売市場まで車で10分という立地にある髙木商店の創業は昭和初期。当初は自前の船を所持し、漁業を営んでいた。
 獲れた魚は市場に卸すだけでなく、自社で干物などの加工物生産も行っていたという。
 昭和36年に缶詰生産設備を導入して、さば、いわし、さんまの缶詰生産を開始。
 現在は缶詰生産部門、冷凍・冷蔵部門、サケのフィーレ製造などの水産物加工部門という3つの事業を営んでいるのであります。
 銚子漁港近辺には4社の缶詰企業があるが、大規模な冷凍・冷蔵倉庫を持つのは髙木商店だけ。
 その冷凍能力は日産230t、保管能力は12,000t。つまり、漁港にいい魚が揚がったら自前で保管しておけるわけで、他社から材料を仕入れる必要がないのだ。
 これが髙木商店の最大の特徴なんであります。


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この日はいわし缶を製造していた
手前の缶にいわしを手で詰めていく
取材に応じてくれたのは常務取締役の髙木貴史氏


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いわしは缶を閉じる前に高温で一度蒸す

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蒸し上がると余分な水分・タンパク質が出るので、
これを機械で缶を反転させて捨てる
この過程で青魚特有の臭みも除去できるのだ


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調味液注入であります


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皆さん、奥の機械が缶を閉じる巻締機であります
同時に真空加工も行うのですよ


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こうやって、巻いて締めるから巻締


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そして圧力殺菌釜で加圧加熱処理をする
もう、マニアにはたまらんですなあ


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段ボールに詰める前に、巻締が完全かチェックする
ここまでの行程でも金属探知機など安全措置が3カ所あった


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更にX線装置と探知用コンピュータがある
魚で一番多い異物は釣り針なのだそうだ
機械と人の眼による4重5重の安全措置が取られている


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さ、こちらがマイナス27℃の冷凍倉庫


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倉庫の一角が『ねぎ鯖』専用のさば置き場
この大きさ、色艶。素晴らしい個体であります


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 現場を出ると、髙木氏と営業の豊島氏が試作品の試食会を開いてくださった。
 写っているのは営業担当の豊島氏。
 巨大なブリカマを丸ごと使った缶詰など、試作品には意欲作が多かった。


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 現在、髙木商店では『ごぼういわし』という新シリーズも発売されている。
 このいわしも、やはり最高の個体を選び出して、大事に冷蔵しておくのだ。
「いい魚が揚がると、“これはPB缶詰用だ”といって仕舞いこむんです。どこまでもこだわって作りたいんですが、おかげで生産量が少なくて少なくて...」と、何でも率直に話してくださる髙木氏。
 工場見学でも、従業員の皆さんは仕事の合間に目礼をしてくださった。そんな暖かさも印象に残った取材でありました。



 次回の『缶詰の現場から』は岩手缶詰(株)さんの盛岡工場を取材予定であります。