缶詰blog

世界中の缶詰を食べまくるぞ!

TURYSTYCZNA 合挽肉缶

2006-08-31 22:28:10 | 

Canskonserwa1400

 夜にはすっかり涼しい風が吹くようになった。
 歳をとってくると、次第に、秋が哀しく感じられるようになる。
 秋そのものは美しく、また食材豊かな季節でもあるのだが、そのあとには寒く陰鬱な冬がやってくるのである。
 冬はジンセーの終焉を連想させる。人はいつか死ぬものだが、それを目の当たりにはしたくないものなのだ。

“お米は障子のガラスに映るうららかな日影をすかして見て、
「ほんとうにありがたいわね。ようやくのこと春になって」と言って、晴れ晴れしい眉を張った。宗助は縁に出て長く延びた爪を切りながら、
「うん、しかしまたじき冬になるよ」と答えて、下を向いたまま鋏を動かしていた”
 

夏目漱石『門』
価格:¥ 380(税込)
発売日:1948-11

Canskonserwa2400

 おっ、いかんいかん。今年もまた秋風に吹かれて、必要以上にしんみりとしてしまった。
 今回もNoritanからのお土産、ポーランド缶の紹介をさせていただきたいのである。例によって判読不能の文字が載っているが、彼の訳によれば「豚や牛などの合挽肉」の缶詰なのだそうだ。
 またまた迫力の300g。勇気りんりんパキリとプルトップを引っ張ると、ややや、またぞろ汁が出てきてしまった。
 しかしポーランド缶はもう経験済みの私なのである。汁が飛ぼうと洟が垂れようと、悠然たるものである。
「たとえ死の影の谷を歩もうとも、我恐れるまじ。ヤルゼルスキ」


Canskonserwa3400

 かくのごとし、近くば寄りて目にも見よ。 
 巨大な肉塊にしばし感動し、なぜか合掌してしまった。恥ずかしい。誰も見ていないのが嬉しい。うやうやしくフォークを取り上げ、ぷすりと差し入れる。
 なんというソフトリー&レイジー。すごく柔らかいです。例えてみれば、レトルトのぶくぶくミートボール加熱後といった柔らかさである。
 口中に入れると、合挽独特のかほりが立ち昇る。普段口にしている合挽とまったく同じかほりなのである。
 味付けは塩胡椒のみ、と思われる。そこに、わずかに鳥肉の旨味も感じられる。ともかく柔らかく、歯でかまないうちからほろりほろりと崩れていく。
 断面を観察してみると、かなり大きめの脂肪の塊がいくつか入っている。これが柔らかさの秘訣のようである。

 さて、こいつをこれからどうしようか知らん。ずっと眺めていると、何とな~くマルシンのハンバーグにも見えてくる。
「いっちょう焼いてみっか!」と明るくつぶやいて窓外を眺めれば、羊雲が遙か高くに整列していた。



 原材料名:豚肉、牛肉、鳥肉的なもの(多分)
 内容量:300g
 原産国:ポーランド


zimmermann® ぱきぱきソーセージ

2006-08-17 10:32:56 | 

Canszimmer1280

 おお、読者諸賢よ。
 この清々しいパッケージの缶詰さんを紹介する機会を与えられた私は、何と幸運なことか。
 万年雪の残るアルプス。ベルビア+PLフィルターも吹き飛ぶ、真っ青な空。名も知らぬ黄色い高山植物たち...。
 そして、見るからに香ばしそうなお色のソーセージが佇んでいらっしゃる。
 今回もブログ仲間のNoritanからいただいた缶詰さんであります。


Canszimmer2400

 ぱきりと開けると、缶の内側は清潔感溢れる白一色。
 これは現代の缶詰に多く見られるようになった、ポリエステルフィルムをラミネートしたものである。こうすることで、味や色の変化を防ぎ、缶本体の腐食も予防できるらしい。
 到来物の缶詰さんたちも、ハイテクノロジーを身にまとってくるようになったのである。
 しかしパッケージフィルムは、というところがほほえましいのだ。


Canszimmer3400

 かくのごとし。
 ブルジョアの気分が味わえるマイユのマスタードと、おおらかというか大味というか、そういうゆるさが特徴の米国産の酸っぱいマスタードを用意した。
 では、失敬して一口...。
 んっふーむ。ここ、こりは、予想以上に美味い。
 なんと言っても、皮の歯ごたえがいい。ぱきりぱきりと音がしそうである。
 その昔、「パリッ! とした美味しさ」のCFで一世を風靡したシャウエッセンというソーセージがあったが、あの皮よりは少し柔らかい。しかし固ければいいというモノではないのだ。咀嚼が進むにつれて、細かく溶けてくれなくてはイケナイ。
 このzimmermannの皮は、塩水に浸かった状態ながら、理想的な固さを保持しているのだ。そこがエライと言わざるを得ない。


Canszimmer4400

 そして中はしっとりと柔らかい。中挽きの肉がいいかおりを放っている。むろん、皮部分のスモーク臭も加味されている。

 やはり本場モノの缶詰さんである。添加物で舌がレロレロ化する安物ソーセージなど、足下にも及ばないお味なのだ。
 合掌。


 原材料名:今回も不明(いつか調べます)
 内容総量:565g(これくらいは判るぞ)
 固形量:250g(どうだどうだ)
 原産国:ドイツ


缶詰のある風景『蘇える金狼』

2006-08-09 10:57:24 | 連載もの 缶詰のある風景

Canskrakus1280

 朝倉がハム・ステーキを注文するとすぐ眼の前で作ってくれた。フライパンから跳ねた脂に火がついて、炎が高くのぼる。
~中略~「お待ちどうさま」
 マスターは焼きたてのステーキにバターの塊りを乗せて、朝倉のカウンターの前に置いた。旺盛な食欲でそれを胃に送りこみながら、朝倉は札束でふくらんだスーツ・ケースのことを考えていた

大藪晴彦『蘇える金狼 野望編 (1)』
価格:¥ 735(税込)
発売日:1974-03

 私には奇妙な癖がある。
 体調や精神状態が弱っているときには、大藪晴彦の小説を何冊も読み続けることがあるのだ。
 作品のヒーローからエネルギーを分けてもらうためではない。荒唐無稽な文章を、頭の中に流したいだけなのだ。その様子を例えると、電光掲示板のデジタル文字が、次々と流れ去っていく様にそっくりである。


Canskrakus2400
巻取鍵が巨大だ

 ということで、今回の缶詰さんはハム缶である。それも、東欧はポーランドからいらした缶詰さん。
 ブログ仲間のNoritanさんが、出張のお土産を下さったのである。以下は彼からのメールを抜粋したもの。

 こんにちは。ドイツ、ポーランド出張から帰ってきました。
 あとで気づいてみれば「あれ、これは禁輸品じゃん」というおみやげがあるのですが、いかがですか。

 法規を超越したこのご厚意、大藪晴彦の小説に最もふさわしいもの、と言わねばならないだろう。
 ありがたいことです。


Canskrakus3400

 おっ、なんてことだ。巻取鍵を操作したとたん、美味そうな肉汁がぴゅるると飛び出したではないか。それも、とめどなく溢れてくる。
「とりあえず...」
 と、沖田浩之の台詞をマネして写真を撮っておく。
 汁の匂いを嗅ぐと、上質な豚肉のかほりがする。


Canskrakus4400

 かくのごとし。どーん、と455gのボリュームである。
 この存在感。圧倒的な食べ応えの予感。
 胸の奥が熱くなった。
 巨大な肉は人を感動させる。
 あまつさえ、
「ざまみろ、どうだどうだ!」と泣きそうになってしまう。
 なぜここで「ざまみろ」なのか、不明ではあるが。
 ナイフでさっくりと切りとり、口中へ...。
 これはこれは上等なロースハムである。歯ごたえのあるところ、柔らかく崩れるところと、肉の噛みごたえが素晴らしい。
 塩分はかなり強い。醤油などをかけなくとも、充分に飯のおかずとなってくれそうだ。
 悲しい動乱の歴史を持つ国は、おかずの味付けが濃いのかもしれない(この理論間違ってないカナ)。少量のおかずで、飯をたっぷりとかきこむのかもしれない(ポーランドってご飯食べるのカナ)。

 残りの肉は迷わずフライパンへ。バターとからまって焦げたところが、実に美味であった。


 原材料名:豚肉(のはず)
 内容量:455g(これは確かだ)
 原産国:ポーランド(表記がまったく読めません)

   

Libby's® パンプキン

2006-08-02 09:49:20 | 蔬菜

Canspumpkin1280

 だいぶ前にパケ買い(パッケージが気に入って買うこと)した、かぼちゃの缶詰さんである。
 素材の色でもある黄土色をベースに、品格を感じさせる書体と、額縁風のラインが美しく映えている。
 調理見本のケーキも、実に美味そうだ。
 こういう缶詰さんを手にすると、
「中身は何であるか」
「どうやって使うか(食べるか)」
 そういうことはまったく考えずに、買い物かごに入れてしまうのである。

Canspumpkin2400

 かくのごとし。
 粗めのペースト状で、やや水っぽい。通常のかぼちゃと同じ、甘い香りが漂っている。
 このまま食べても問題ないはずなので、恐る恐る一口...。

|(-_-)|

 甘みがまったく感じられない。加熱したかぼちゃなのだから、はなから甘みを期待していたのである。それどころか、野菜独特のエグ味が舌の上に残る。
 ホクホク感も皆無。べちゃっとしている。
 普段食べているかぼちゃとは、種類が違うのだろうか。ケーキやスープに使うためのかぼちゃなのだろうか。

 謎である。

 謎を残しつつ、中身をタッパーに移し、何とな~く冷蔵庫の奥のほうに収納してしまった。
 恐らく数日はそのままで、いずれ何とな~く冷凍庫のほうにご移動願うことになるであろう。

 読者諸賢よ。食品の衝動買いの結末は、いつもこんなものであるよなぁ。
(調理方法求む!)



 原材料名:カボチャ
 内容総量:425g
 原産国:米国