缶詰blog

世界中の缶詰を食べまくるぞ!

さんま味噌煮

2008-12-31 11:03:39 | 魚介

Sanma1700

 いよいよ、年の瀬。
 瀬も瀬、本日は大晦日。
 毎年思うことなれど...。
 この、年の瀬のせっぱ詰まったような感覚は何なのだろう。
「何かしなければイケナイ」という気持ちと、「年月が過ぎていくなあ」という感慨。
 月日は百代の過客にして、行かふ年も又旅人也。
 芭蕉の句が、胸に染みたりする大晦日。
 ところで、今年はさんまが豊漁だったらしいですね。
 芭蕉からさんまへと話題はめまぐるしく変わるが、ともかくさんまが豊漁。つまり安い。
 地産地消、あるいはフードマイレージ概念推進のためにも、こういう旬のものを食べていきたいもの。
 ということで、2008年最後の缶詰さんはさんまの味噌煮であります。



Sanma2450

 パカッと開缶。
 この商品、宮城県は気仙沼港で揚がったさんまを使用しているとのこと。
 一般に、缶詰に使用する魚はほとんどが旬の美味しい時期のものを使っているのだ。
 なぜかといえば、旬には魚が大量に獲れる。つまり低コストで原材料を調達できる。何となれば生産コストを抑えることが可能なんであります。
 それが美味しい時期の魚でもあるのだから、まさに一石二鳥。



Sanma3700

 かくのごとし。
 やっぱり魚缶はこうして山盛り御飯に乗っけて食べるのが一番美味いのだ。
 では、失敬して一口...。
 やっ、すごく脂が乗っているぞ。
 ちょうど腹の部分を食べたようだ。魚特有の、コクがあるようでないような脂が美味い。そこに甘辛い味噌が絡んで、口中が大騒ぎとなる。
 そこんとこに、白い御飯をぐいっと詰め込む。
 もう、たまらんです。
 で、1膳目は一気に食べてしまい...。



Sanma4700

 そうそう、2膳目は汁をかけて食べるのだ!
 塩分・糖分を摂りすぎだなーと思いつつ、ざっとかっこむ。
 ネコまんまと成り果て、汁を吸い込んだ飯粒が美味い。
 それから、個人的にはさんまの血合いの部分が好き。これは鮮度が良くないと臭くなってしまうが、この缶詰の血合いは美味いです。
 こうして、喰いも喰ったり、飯2膳。
 思えば今年も、いろいろな缶詰で飯を食べてきたなーと感慨にふける。
 ふけりつつ、(もう1膳食べようかな)なぞと考える。
 缶詰の誘惑は限りないのであります。読者諸賢よ、2009年も缶界を盛り上げていきましょー!




 内容総量:155g
 固形量:110g
 原材料名:さんま、砂糖、みそ、しろしょうゆ、食塩、みりん、醸造酢、増粘剤(グァーガム)
 生産国:日本(静岡市、清水食品
※この商品は缶詰業界人であるのっぽさんにご提供いただきました。感謝多謝。




缶詰のある風景『蛇』

2008-12-21 13:07:00 | 連載もの 缶詰のある風景

Bakedbeanz1700

 ストーブの上では、鍋の水が豆缶のまわりで、はげしく沸騰していた。フィリップス博士は大きなピンセットで豆缶を引きあげ、缶をあけて、豆をガラス皿にうつした。食べているあいだも彼はテーブルの上のヒトデを見まもっていた。ヒトデの突き出た腕のあいだから乳色の液体のしずくがにじみ出ていた。彼は急いで豆をうのみにした。
 ジョン・スタインベック『蛇』訳/大久保康雄

 不穏な予感を感じさせるこの光景、スタインベックの短編『蛇』の中の一文である。
 しかし読みすすむうちに、突如として奇異な女性が登場する。
 この女性が博士に依頼する内容は、どこか人をぞっとさせるものだ。そのことを考えると、博士の実験行為は残酷とはいえ、純粋に学問的な欲求に基づいたものなのだと妙に納得してしまう。ちょいと不思議な小説ではある。
 そこで本日は“豆缶”にご登場願うことになった。
 知人からいただいた英国土産、ハインツのベイクド・ビーンズなのだ。



Bakedbeanz2464

 イージーなプルタブを引っぱって開缶。
 このぬるっとした、いかにも糖度の高そうなトマトソース。缶詰好きの読者諸賢には見慣れたものでありましょう。
 英国ハインツ社製とはいえ、ハインツはもともと米国創業の会社。となれば、そこの缶詰商品のトマトソースが甘いのはこれ、いうを待たない。米国製の缶詰の大半は、とにかく甘いのだ。
(ハインツのケチャップは決して甘い味付けではないのだけど)



Bakedbeanz3496

 さっ、小説の風景を再現してみよう。
 缶詰の紙ラベルを取りさって、鍋で煮立てる。
 いつも思うのだけど、ラベルを取ったあとの缶の佇まいが実に美しい。地のステンレスが輝いている。



Bakedbeanz4466

 かくのごとし。
 作中では「豆をガラス皿にうつした」となっているが、お話の舞台は実験室。
 ということはこんな気取った皿ではなく、何か実験でも使用するような皿を使ったのかもしれない。
 ともあれ、スプーンでひと匙すくって、いただいてみよう。
 むっ。やはり、いつものお味。
 すなわちハインツのケチャップに砂糖をまぶし、黒胡椒を足したような風味である。
 この味は同社の代表作「ポーク・アンド・ビーンズ」缶にも共通している。“アメリカの味”といってもいいと思う。
 この豆缶は、屋内で食べるのは似合わない。
 野外に持ち出し、焚き火で直に温めて、好みの調味料を振りかけて食べるのがもっとも適していると思う。
 冴えた月が昇り、さらに冷えこみの増した川岸。
 焚き火にあたっているすねや顔だけが熱く、背中が石のように冷たい。
 炭火のわきに置いた豆缶が、ふつふつと煮えたぎっている。枝で引き寄せ、ケチャップとタバスコを振りかける。皮の手袋でつかんで、大きな木の匙ですくって、一口...。
 そうなのだ。こうした甘い缶詰も、野外では実に美味いものなのだ。合掌。




 内容量:200g
 原材料名:豆(51%)、トマト(33%)、水、砂糖、塩、調整とうもろこし粉、酢、スパイス類、ハーブ類
 原産国:英国




スパムむすび製造器

2008-12-14 11:43:50 | 

Spamusubi1700

 本日は、筆者も興奮している。
 このやうな品物が、小宅に届けられたのだ。
 興奮のあまり古語遣いも混じってくる。
 これは缶界の雄『缶詰が好きです』作者のG3どのが送ってくれたもの。なんと、スパムむすびを作るための器具である。



Spamusubi2700

 こんな説明書きが、側面に書いてある。
 おいどん、もうたまらんとよ。
 興奮のあまり一人称もめちゃくちゃになってくる。
 こういう説明書きが、すごく好きなんです。特に外国語で書いてあるとたまらない。
 過去にはこんなものがものすごく好きでした、ワタクシ。その中身はこんなでした。



Spamusubi3700

 興奮状態、ここに極まる。
 ばってん、どうして興奮しちょるか、読者に説明せんと分からんど。
 筆者は子供の頃から、付録が大好きなんであります。
 それも『科学と学習』の付録なら、断然科学のほうが好き。
 こうしてビニールに入ってるのを開ける瞬間が大好き。
 何となれば、こういうものを見ると今でも興奮するのです。



Spamusubi4700
これが中身 小さなSPAM缶も付属している



Spamusubi5700
こうっと、酢飯を作ってさ



Spamusubi6700
海苔を敷いて、1/3ほど御飯を入れる



Spamusubi7700
主役のスパムはしっかりと焼いてから投入



Spamusubi8700

 さらに御飯を乗せて、上から押しつける。
 これ、ようするに押し寿司の器具なのだな。
 これが杉材で作ってあれば、お寿司屋さんに置いてあるものとまったく同じ。
(小僧寿しのアルバイトで、こんな作業したっけなァー)
 と、にわかに高校生の頃の記憶がよみがえる。
(あれはバッテラを作ったんだっけなァ。懐かしいなァ)



Spamusubi9700

 ノスタルジアとはカンケーなく、粛々と作業は進む。
 こうして型から抜く前、上の写真の段階で、御飯をしっかりと押しつけておくべきでした。
 記憶の波に埋没し、そうした作業を怠っておりました。



Spamusubi10700

 かくのごとし。
 包丁で切るときにうまく切れず、ぐずぐずの輪切りとなってしまった。
 その原因は前述した通り。
 なので、半分だけ頑張って輪切りとし、残りは丸ごとかぶりつくことにした(画像手前のやつ)。
 さて、お味のほうはどうか...。
 やっ、うめいです。酢飯にスパムが良く合ってる。
 香ばしい海苔の役目も見逃せない。
 酢飯&海苔という爽やか日本連合が、脂ぎって塩分過多な米国スパムとうまく和解したようです。
 お味も良いけど、作業行程が楽しかったなァ。ありがとう、G3どの。




 内容量:198g
 原材料名:豚肉、食塩、ポテトスターチ、砂糖、発色剤(亜硝酸Na)
 原産国:米国
 追:この記事は『缶詰が好きです』“スパムおにぎりメーカー”と『非常食と防災グッズ&ミリメシ』“スパムむすび”にトラックバ~ック!