カンムリワシ、ワシは名ばかり、言うばかり

20年前探せばカンムリワシがいて、10年前そこにはカラスがいて、いま両方ともいません。よって最近ではそれ以外の話題に。

全国最低気温

2015年11月28日 05時06分56秒 | 科学(気象)

2015/11/27 この日11時現在までの最低気温状況です。

ぐっと冷えてきましたね。

とはいえ、積雪などの影響がみられるだけで、本格的な寒冷化ではなさそうです。

  • 横浜(神奈川県)が10.1℃と暖かいようですが
  • 那覇16.6℃、石垣16.5℃、と逆転しているのは、たまさかの珍事

しかし見慣れた人なら

  • 日本海側の、山陰~北陸が、北海道に次いで寒いこと
  • 九州全体が、東北と変わらず、寒いこと

などを発見できるでしょう。

これら都道府県庁以外の気象庁発表の中では

  • 最低気温 旭川   -2.1℃
  • 最高気温 南鳥島  24.9℃

でした。

ちなみに、南鳥島とは、「東鳥島」というべき日本最東端の島ですね。

また日本の東西南北の端は、こちらによれば、次図〔GoogleEarth〕のようです。

緯度に関しては、与那国島と南鳥島がほぼ同じ位置に並んでいるようですが、わずかに南鳥島のほうが南にあるようですね。 


イスラム圏の醜聞02

2015年11月28日 04時58分38秒 | 海外

イスラム圏に関し、久しぶりに感銘を受けた主張に出会いました。


パリに足を伸ばしたとき、私には一度は必ず出かける場所がある。そこはベルヴィルという地区で、昔は貧しい労働者たちが暮らすパリの場末の町だった。 

ルネ・クレール監督の映画『天井桟敷の人びと』の舞台になったのもこのあたりで、映画のなかでは貧しかった娘が金持ちの家に嫁ぎ、豪邸のベランダに立って遠くにかすむ労働者の町の灯をみながら、あの暮らしの方が人間的だったと振り返るシーンがある。・・・・

1980年代に入るとパリ市は建物を問答無用で破壊し、再開発をはじめたのである。旧住民は再開発後のアパートに優先的には入れることにはなっていたが、その家賃は高く、ほとんどのアラブ人はこの地区から追放されてしまった。

彼らはパリ郊外の安いアパートを探した。しかしそこで待っていたのは差別であり、ときに右翼の襲撃だった。殺された人たちも何人もいる。 

さらに過酷な状況下におかれていたのは、パリで生まれた二世の人たちで、彼らが仕事を探す頃にはかつての高度成長も終わり失業者が増えていて、仕事を探すことも容易ではなくなっていた。 

フランス政府はフランス語を話し、フランスの価値観を受け入れることを要求し、しかしそうしたところで最下層の生活から抜け出る道も、差別や迫害から解放されることも保証されてはいなかった。 

だか、にもかかわらず彼らにとっては「祖国」はフランスなのである。両親が生まれた国は行ったこともない場所だし、アラビア語も話せない。しかしその「祖国」は自分たちを追い詰めるばかりで、人間的に扱ってはくれない。結局どこにも生きる場は存在しないのである。・・・・ 

英仏が犯したふたつの誤り 

フランスやイギリスなどのヨーロッパ諸国は、歴史的にみるとイスラム地域に対してふたつの大きな誤りを犯している。ひとつは植民地の分割、もうひとつは戦後の移民政策である。 

もともと明確な国境をもたずに、イスラム教で結ばれていた地域を植民地として分割し、後に都合のいい王朝を擁立したこともある。それがいまの国境になっているのだが、アラブ諸国では植民地化された時代の精算がまだ終わっていない。だからこの問題を解決しようという提案が、イスラム世界では「正義」として通用する。 

もうひとつの誤りは戦後の移民政策である。労働力不足への対策として呼び寄せ、都合のいい底辺労働力として利用しつづけようとした。・・・・

ナチスドイツがユダヤ人を虐殺し、その精算をイスラエルの建国によって実現しようとした。しかしそれはイスラムの側からみれば、パレスチナの地に突然イスラエルが建国され、パレスチナ人は自分たちの地を奪われたにすぎない。・・・・

フランスの外国人労働者の二世、三世が貧しさから抜け出せない、そればかりか経済環境の悪化のなかでますます追い詰められていくから、その不満がテロリストを生んでいくという解釈では十分なものではない。

追い詰められた現実と、欧米的価値観、未だに精算できない植民地時代の後遺症、イスラエル・パレスチナ問題などがひとつながりのものだという感覚が、それらからの「解放」をめざす英雄主義を生みだしているのである。その英雄主義がテロリストを生産していく。内山節(うちやま たかし) 


長くなりすぎるため、抜粋してご紹介しました。

よって、しっくりこなかったかもしれませんので、ぜひともリンク先で全文に目を通していただきたいと思います。

入ってくるニュース記事だけに目を通して、分ったつもりになるのが、現代人。何も知らない人よりはマシなのでしょうが、注意すべき事がいくつもあります。

  • 意図的に脚色されたニュース記事であるかも知れないという危険。
  • 外国通信社の色眼鏡を通したニュース記事であるかも知れないという危険。
  • かりに信頼できるニュース記事だと仮定しても、「現在」をそのまま伝えただけに過ぎず、過去から現在に至る道筋には、膨大な量の「歴史の書き換え」があるかもしれないという危険。
  • 翻訳を通じている場合、2重の翻訳を経由する場合はなおさらですが、誤訳が充分に考えられること。これは一般的に、後日訂正されても、時すでに遅し、というのが多い。
  • よって、できるだけ複数のニュースソースをもっていることが、よりましな判断を下せるでしょう。ただしいくら複数のニュースソースがあるとしても、同じところから出てきた複数の記事にいくら目を通しても意味がありませんが(笑)。 

こういった時に、通常のマスメディアではない、このような人たちのしっかりした観察眼をとおした主張に出会うと、うれしくなってきます。

私が前から主張しているのは

  • 一神教の限界が目につくこと。
  • いくら一生懸命に主張していても、しみ込んだ一神教を前提とした論調だと、虚しいものですね。
  • キリスト教を前提とした主張/イスラム教を前提とした主張/共産主義を前提とした主張などが入り乱れ、さらに各国為政者の都合のいい論調を前にすると、そのあまりにいびつな論調に私たちは途方に暮れてしまいます。
  • では何を信じて、何を根拠にすればいいのか。相当困難とは言え、宗教にとらわれた金儲け・地位保全を廃し、典型的な主義主張を超え、着実な議論をすることでしかない、でしょう。
  • それでも主義主張を隠したまま「読者をある方向へ導こうとする」輩(やから)がいること、事実を偽造してそれらしく思わせる技術も発達していること、これもまた、事実なのでした。
ささやかでもいいから、多くのひとが、
  • 「他人からそそのかされた」のではなく、「自分なりの考えを発信する」こと
  • 「自分なりの考えを発信できる環境を作りあげること
  • それに比べると、投票可能な年齢を何歳まで下げるか、が大切とは言え、もっともっと深刻な問題を無視してはいけようです。
最後に、再び内山の主張を引用して、終わります。

もちろん今回のようなテロがいいわけではない。だがテロを非難するだけでは何も解決しないのである。

テロリストを生みだしていく温床をつくりだしたのは欧米であり、そのことを解決しようという姿勢がないかぎり、欧米社会とその同調国に対する攻撃はさまざまなかたちで繰り返されることになるだろう。

だがいまの欧米社会にこの問題を解決する能力があるとは思えない。欧米的価値観に普遍的価値があると思っているかぎり、そこからくり出されてくる政策はイスラム社会の人びとにとっては傲慢なものでしかないにもかかわらず、「普遍的価値」の問い直しはこの価値によってつくられている欧米社会を崩壊させるからである。

にもかかわらずそこに踏み込む能力は、いまの欧米社会にはないだろう。

世界にはさまざまな文化や文明、価値観があってよい。問題解決の出発点はそのことを率直に認めることにある。:内山


何でもないと思われそうですが、実に厳しい。
  • 欧米が「普遍的」と信じている価値観を問えば、欧米社会を崩壊させるだろう
  • しかし、問わないかぎり欧米の傲慢さはなくならず、従ってテロもなくならない

これは共産主義と修正主義のはざまで混迷しながら「独善を装わねばならない国」の悩みよりは遥かにレベルの高い悩みなのです。

私はこの主張を聞いて、その辺でみられる「薄っぺらい妙な左翼思想」とは違った本質を感じ、充分に至言だと受け取りましたが、皆様は異なった御意見をおもちでしょうか。