BSE「質問主意書」閣議決定の軽さ 1月30日

心底反対だったが、昨年の12月12日、米国産牛肉の輸入再開が決定された。案の定、食品安全委員会プリオン専門調査会の吉川座長自らが、「安全性を示す科学的根拠はない。(輸入再開はするが)米国産牛肉を買うか買わないかは消費者の判断だ。」とまで言い放つ始末で、明らかにリスクを背負った米国産牛肉を前に、消費者は一部のスーパー店頭で悩んだはずだ。本音では、安全が保証されている国産牛肉を買いたいが、お財布と相談して、「政府保証」された米国産牛肉を手にした消費者も居たはずだ。

輸入再開より前に現地のパッカーを調査することが、11月18日政府答弁書で閣議決定されたにもかかわらず、現地調査団が出発したのは12月13日、輸入再開が決定された12月12日よりも後なのだ。中川農水大臣は、閣議決定に従わなかったことを、あっさりと認めた。事の重要性をまったく認識していないのか、条例違反の東横イン社長と同レベルの開き直りにも見える答弁だった。消費者が非常に敏感になっていた時期、まともに実施されたとしても不安は払拭できない状況下で、あろうことか閣議決定された「事前調査」が、まったく無視され実行されていなかった事実は、内閣の重大な過失だ。

問題になった川内博史代議士の提出した質問主意書に対する政府答弁書の「輸入再開以前に現地調査が必要であると考えている」との文章(質問主意書九-1)は、「厚労大臣・農水大臣の認識を示したもの」であって、現地調査は「閣議決定」事項ではないと、安倍官房長官は開き直ったが、だったら、中川農水大臣の午前午後の答弁は、なんだったのか!これこそ言い逃れであって、責任回避丸出しの安倍官房長官の答弁だ。この問題は、全ての閣僚の認識の甘さが生んだ、小泉内閣の重大な裏切り行為だ。この際中川大臣の進退など二の次で、問われるべきは、「小泉内閣は、いったい誰のための内閣なのか」ということに尽きる!「事前の現地調査に意味がない」なんてあり得ない。米国ばかりを気遣い、真に日本の消費者の食の安全を考えていないから、事前の現地調査に対する認識がゼロだったのだ。

今の日本で最もチェックが厳しいはずの米国産牛肉がこの有様なのだから、日本に輸入されている他の食材の安全管理がどの程度のものかは、推してしるべしだ。例えば、中国産野菜について、安全が確保されていると考えることのほうが無理がある。ドーハラウンドに参加はしても、食の安全という核心部分には触れずじまいだ。小泉政権は、日本の消費者のことなど真剣に考えてはいないのだ。郵政民営化も、米国の年次改革要望書に応えたに過ぎず、あとは、郵貯簡保330兆円に及ぶ国民の資産が、米国の生保・損保各社の餌食になるのを待つだけだ。

小泉政権の「政府保証」がいかに虚構か、ライブドアや耐震強度偽装問題でもはっきりした。毎夜毎夜高級レストランで食事をする小泉総理の口に、米国産牛肉が入ることなどないのだから、小泉総理が真面目にBSE問題に取り組むはずがないのだ。どうせ、あの手この手の言い逃れをする小泉内閣に、何を言っても無駄!民主党は、いかに小泉改革がインチキであるかを、国民に徹底的に伝える努力を惜しまないことだ。

スーパーで、一つ一つの食材を手に取り、吟味して購入する消費者の気持ちがわかる政治家が、小泉内閣に一人でも存在したならば、こんな事態に陥ることはなかっただろう。小泉内閣は、アメリカの代弁者であって、決して日本国民の代表ではないのだ。

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