ヒューザー・ホリエモン・BSE 1月21日

米国産輸入牛肉に、除去されているはずのSRMが堂々と混在していたことに対して、米農務長官ジョハンズ氏の弁明は、「あってはならないこと」としながらも、いちパッカーの技術的なミスであることを強調するものだった。出荷元の「アトランティック・ビール・アンド・ラム」社には、農務省の検査官が常駐し、件の牛肉についても輸出承認の署名をしていたことがわかっている。検査官は、日本に輸出できる部位の制限を、明らかに認識していなかったことがうかがえる。従って、見逃しは今回だけとは考えにくく、現に、成田空港では、輸入される牛肉全体の一部をアトランダムに検査しているに過ぎず、発覚した3箱の他にもSRMが混入している牛肉が輸入された可能性は極めて高い。

日本の消費者の望まない米国産牛肉を、小泉政権のごり押しで無理やり輸入再開したというのに、米政府はその経緯を完全に無視していたことになる。米政府には、「食の安全」という概念などなく、業界の利益だけを優先する体質がしみ込んでいるのだ。米国は、完全な「業界政治」の国なのだ。

農務省の検査官に対して、日本向け牛肉の加工方法を周知徹底していなかった責任は米政府にあり、SRMの発覚で、米政府が日本のチェック機能を完全に甘く見ていたことがはっきりした。しかし、これは米国だけの問題ではなく、現実に日本の行政のチェック機能は、こんにち適正に働いているとはとても言い難い状況にある。耐震強度偽装事件にしても、ライブドアの証券取引法違反にしても、法律の不備を突かれた起こるべくして起こった事件であって、欠陥マンションの首謀者たちは「責任の所在は国に在る」と主張する有様なのだ。

ヒューザー小嶋社長は、確認検査機関をチェックできなかった国にその責任を問い、ライブドア堀江社長は過去に、「法律は不備だらけ。うっかりしているとずる賢い人に騙されちゃいますよ」と豪語している。必ず間隙をぬおうとする輩は居るもので、法律の施行に性善説なんてあり得ない。日本の業界寄りでチェックの甘い法律と行政とが、全ての引き金になっていることは否めない。米国は、そんな日本のチェック機能の甘さを見透かして、今回のような大胆な約束違反を犯してきたのだ。

センター試験でも、初めて導入された英語のリスニングテストで、再生用のICプレイヤーの故障が相次ぎ、多くの受験生が戸惑う結果となった。いったい誰が、その責任を負うのだろうか。肝心なところで、行政のチェック機能が、まったく機能しない情けなさ。公務員の甘えと必要悪に働く連帯感はもとより、立法府たる国会の機能低下にも一因があるのではないか・・・。ハリボテ小泉政治のつけが、じわじわと押し寄せて来ているのだ。

ヒューザーもホリエモンもBSEも、すべては、消費者あるいは株主不在でチェックの甘い法律と行政とがもたらした最悪の事態だ。業界寄りではなく、消費者すなわち国民本位の法律と行政へと、それぞれの場面で、進歩発展させていかなければならない。机上の空論ではなく実態に即した議論になるよう、国会の機能向上が、まずは何よりも必要だ。
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