3兆円を喜んで負担する植民地「日本」 5月6日

米軍再編にかかわる日本の負担金3兆円について、ローレス国防副次官は「計算したのは自分だが、もとになった情報は、日本側から提供された」と明らかにした。ローレス氏は、「様々な情報に基づいて、私が見積もった。日本の担当者は『残りの経費は海兵隊のグアム移転費用の2倍だ』と話していた。」と述べた。即ち、日本側の情報に基づき、沖縄海兵隊のグアム移転費用100億ドルの倍の200億ドルとし、これにグアム移転経費の日本負担分の60億ドルを足した結果、はじき出された数字が3兆円というわけだ。「遅くとも半年後には、日本側がより詳細な全体の見積もりを示すはずだ」とも述べている。

ローレス氏のこの言葉は、今回の交渉が、米国主導で日本にまったく意思がなかったわけでは決してないことを裏付けている。いかにも、米国からのプレッシャーと見せかけてはいるが、実は、日本政府自らが3兆円という膨大な金額を、率先して負担する意思を示していたのだ。アメポチ小泉政権ならやりかねない。ローレス氏はまた、今回の再編の最大の狙いを、台頭する中国や弾道ミサイルを持つ北朝鮮を念頭にした、横田基地などでの日米の司令部の統合にあると強調した。しかし、それならば、自衛隊の存在意義そのものが疑われる。現行憲法のもとで十分に果たせるはずの北朝鮮からのミサイル防衛が出来ずして、自衛隊に価値はあるのか。

土壇場で名護市長と額賀防衛庁長官が合意した辺野古V字滑走路案は、実に謎が多い合意だ。従来の辺野古沖案の15年間返還説は、一気に恒久基地化へと流れは変わり、V字滑走路の建設費用がいったいどのくらいかかるのかもまったく不明。日本政府は、むしろ、米軍に日本に居てくれと頼んだのではないかとさえ思われる。

ローレス氏の話は、論理のすり替えに過ぎない。在日米軍、特に海兵隊は、イラクやアフガニスタンなど不安定の弧における有事をターゲットにしている。在日米海兵隊は、決して日本の防衛のために存在しているのではない。米国の戦略のために、日本国内で米軍基地の移設問題に悩まされたり、日本が膨大な移設費用を負担させられたりするということは、間違いなく日本が米国の植民地化していることをあらわしている。

日本にも責任を分かち合う覚悟を求めるとして、「日米同盟」が新たな段階に入ったことを強調する米国の主張はあまりにも独善的だ。「日米同盟」の新たな段階とは、米国からの自立でなければならない。沖縄をはじめ日本国内の米軍海兵隊の基地は、より不安定の弧に近いグアムに、すべて移転させることが最も理に叶っている。3兆円の負担をやめて、すべての海兵隊のグアムへの移転費用を日本が負担すればよい。思いやり予算の中の海兵隊分を向こう10年間、それにあてれば済むことだ。そうすれば、普天間が返還されても、辺野古基地の必要はなくなる。

理由をこじつけて不必要な戦争をイラクで勃発させ、多くの市民を犠牲にする米国の軍事戦略は、世界の支持を得ない帝国主義の横暴だ。そして、そんな根拠のない戦争の片棒を率先してかつぐ日本政府の外交戦術は、あまりにも稚拙で愚かとしか言いようがない。イラクについての間違った情報(ガセネタ)によってイラク戦争を開戦した責任をブッシュ大統領が問われるのなら、同じガセネタによって自衛隊のイラク派遣を決断した小泉総理も同様に、戦争責任を負わなければならないはずだ。
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