イレッサ訴訟和解勧告拒否で、外資にとって日本は人体実験パラダイスとなる

2011年1月7日、東京・大阪両地裁はイレッサ訴訟で和解を勧告性急な承認・投与には、リスクへの患者側の理解が不可欠だが、イレッサ原告団は医師から十分な説明を受けていなかった。製薬会社は一般に厚労省に早期承認の攻勢をかけるが、国にも賠償責任が生じる可能性がある以上、承認は公平・適切でなければならない。しかし現実はどうか。そこが日本の医薬品行政最大の問題点。

 

月24日、アストラゼネカはイレッサ訴訟和解勧告を拒否。国も同様の方針。国立がんセンター理事長は、副作用であって薬害でないとコメント。イレッサは世界に先駆けて日本で超スピード承認され、結果的に人体実験となった。不適切な情報提供をはじめ、この際、抗がん剤全般の有効性も含めた徹底検証が必要。イレッサ弁護団HPによると、イレッサは市販後も、日本人についての延命効果は証明されていない。

アストラゼネカは、治験等で致死的間質性肺炎の情報が蓄積され死亡例があったにもかかわらず、利潤追求のため安全性を軽視して、承認前後「副作用の少ない抗がん剤」とイレッサを大宣伝。一方厚労省は、腫瘍縮小効果のみに基づき延命効果は未解明のまま、イレッサをわずか5ケ月で超スピード承認。世界初。結果、市販後、半年で180人、2年半で557人、公表されているだけでも2010年9月までに819人が副作用である間質性肺炎で死亡。和解拒否なら、日本は外資にとって人体実験パラダイスになる。

イレッサ和解勧告拒否のアストラゼネカは昨年、医師にリベートを払い未承認の適用外処方を違法に促したとして、米政府に5億2千万ドル(420億円)の支払いを課せられている。アストラゼネカは薬剤リスク非開示で現在2万5千件もの民事訴訟を抱える。不都合な情報は開示しない傾向あり。日本でも医師等との癒着がないか検証が必要。イレッサの使用に関するガイドライン作成に関わった委員の中に、講演料などの名目でアストラゼネカから報酬を受取った医師がいるという。(NYTimes記事)(アストラゼネカ 2010年第3四半期・9ヶ月累計業績「ビジネスハイライト」参照

アストラゼネカ同様、子宮頸がん/HPV感染予防ワクチン「サーバリックス」のグラクソ・スミスクラインも昨年、抗うつ剤「パキシル」が利用者の子どもに先天性異常をもたらしたとして800件以上の訴訟を起こされ、10億ドル(約870億円)以上を支払い和解。その後もこの問題で係争中の訴訟は100件を超える。他にも米虚偽請求取締法に基づく訴訟の和解で、刑事上の罰金1億5千万ドル、民事和解金6億ドル、計7億5千万ドル(610億円)を支払っている。アストラゼネカもグラクソも多額の和解金支払いは日常。和解拒否なら、日本は外資にとって人体実験パラダイスになる。(グラクソ・スミスクライン 2010年第2四半期業績概要 第2四半期に15億7000万ポンドの訴訟関連費用を計上

 

グラクソ子宮頸がん/HPV感染予防ワクチン「サーバリックス」は、オーストラリアで初めて承認されて以降まだ4年を経過していない。薬理作用についてはinVitroとマウスでしか確認されていない。サーバリックスのインタビューフォームには「薬効を裏付ける試験成績~ヒトにおける成績」の項目に「該当資料なし」と明記されている。即ち、サーバリックスは、市販後、今まさに人体実験の最中であるという認識が必要。国は、サーバリックスの承認・奨励に責任を持てるのか。

 

1月27日、イレッサ訴訟で枝野・細川・江田3閣僚が和解勧告拒否の方針を最終確認。江田法相は「副作用があってもあえて新薬を承認することは皆の利益のため/(副作用を)説明して投与したとカルテに記載している医師も何人かおり、国に過失があるというのはつらい」と発言。超スピード承認による人体実験での「死」を副作用といえるのか。これでは菅総理の薬害エイズの実績も台無しになる。

 

厚労省は、日本の薬事行政の根幹を揺るがすことになるから和解できないと言うが、日本の薬事行政の根幹を改めるために、和解・検証・改革が必要なのだ。

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