TPP・ISDS条項と子宮頸がんワクチンについて

TPP協定第9章・投資の第B節・投資家と国との間の紛争解決。
これがISDS(Investor-State Dispute Settlement)条項です。

私は、TPP協定が発効したら、
日本政府による子宮頸がんワクチンの勧奨中止政策に対して、
投資家であるワクチン製造販売元の外国法人2社
(英国GSKグラクソ・スミスクライン社と米国メルク社)が、
それぞれ数百億円規模以上の損害賠償請求をする可能性が十分にあると思います。

子宮頸がんワクチン接種の公費補助予算は、年間300億円で、
3年以上ストップした状態が続いています。
子宮頸がんワクチンとして承認されたのは、
GSK社のサーバリックスと、メルク社のガーダシルの2種類しかなく、
輸入ワクチンの独占市場となっています。

子宮頸がんワクチンは、小学校6年生から高校1年生までの
主として中学1年生の少女全員(約60万人)が法定接種(義務的接種)の対象で、
6ケ月間で3回接種の費用が、
一人当たり約5万円と価格が高いので巨大市場となっているのです。

一方、WHO世界保健機関は、
「弱いエビデンスに基づく政策決定は、
安全かつ有効なワクチンを使用しないことにつながり、
実害をもたらしうる」と、三度にわたり日本政府を批判しています。

日本政府は、
「我が国が、HPVワクチンとの因果関係を否定できない持続的な疼痛等が
当該ワクチン接種後に特異的に見られたことを受け、
これらの症状の発生頻度等がより明らかになり、
国民に適切な情報提供ができるまでの間、
当該ワクチンの定期接種の積極的な勧奨を中止することは、
同章(註:TPP協定第9章)に規定されている義務に違反するものではない」
(閣議決定答弁書)という見解ですが、
TPP協定第9章第B節のISDS条項により、
ワクチン2社が損害賠償請求することは可能、ということは認めています。

紛争になった場合、TPP協定第9章第B節第9・18条で、
申立人と被申立人(日本政府)は協議及び交渉をしなければなりません。
仲裁手続きとなる場合は、原則として、
世界銀行が設立した投資紛争解決国際センター(ICSID)で仲裁が行われます。
所在地は、米国のワシントンDCです。
仲裁人は3名で、両当事者が1名ずつ任命し、
仲裁裁判所での長となる第3の仲裁人は、
原則として、両当事者の合意又は2名の仲裁人の合意で任命されます。

仲裁裁判となれば、WHOの再三の声明もあるので、
日本政府に不利な裁定となるのは、ほぼ確実ではないでしょうか。
巨大製薬資本と深く結びついたWHO、CDC米国疾病管理予防センター、
FDA米国食品医薬品局などのワクチンビジネスシンジケートのスクラムは、
鉄壁なのです。

そのような展開が予想されるので、
日本政府は、協議・交渉の段階か、あるいはそれ以前の段階で妥協して、
ワクチンの勧奨を再開するのではないか、と思います。

ワクチンの効果が期待されるとされるHPV16型・18型に感染しても、
99.99%以上の人は、ウイルス・病変ともに自然に消失して、
子宮頸がんにはなりません。
また、定期的な併用検診(細胞診+DNA検査)で、
感染・前がん病変は、ほぼ100%発見され、
子宮頸がんになる前の段階で適切な治療がほどこされるので完治します。
定期的な併用検診で、子宮頸がんは予防できるのです。

既に日本の少女たち約340万人が接種を受け、
数千人以上の少女たちに重篤な副反応被害が起こり、
今なお多くの少女たちが深刻な症状に苦しんでいます。
全く必要ない子宮頸がんワクチンは、
承認取消しか、義務ではない任意接種とし、
あわせて、TPP協定は断固阻止するしかないと思います。

外務省HP「国家と投資家の間の紛争解決(ISDS)手続の概要(H28.10)


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