福島県は1998年、プルサーマル計画を全国で初めて事前了解しました。
2002年8月に原発トラブル隠し発覚後、当時の県知事は「前提となる条件が消滅しており、白紙撤回」(02年9月26日)と言明し、今に至っています。
国と事業者が一体となった不正発覚と、県によるプルサーマル事前了解白紙撤回が近接しているので、不正防止策が明確になればプルサーマル受入の議論もOK、とも受け取られがちですが、ぜんぜん違います。
県の事前了解後、99年9月には関西電力高浜3号機用モックス燃料の検査データねつ造発覚・東海村JCO臨界事故が続き、01年2月には東電がすべての発電所の新増設の原則3~5年凍結を一方的に発表しました。
県は01年5月にエネルギー政策検討会を設置し、22回にわたる検討を重ね、不正発覚後の02年9月に「中間とりまとめ」を公表しています。核燃料サイクルを含めた文字通りエネルギー政策全般にわたって疑問点を整理したものです。
02年10月11日には県議会が、「『中間とりまとめ』の内容を踏まえ、エネルギー政策全般の見直し」を含めた10項目の国への意見書を全会一致で採択しています。
すなわち、再会すべき議論は、事業者の本音は「計画受入へ向けた議論」でしょうが、県や県議会での議論は、県の「中間とりまとめ」、県議会の「意見書」を正面にすえ、十分な検討を加える議論です。
ちなみに県は、使用済モックス燃料の処理を含めた長期的展望、モックス燃料と使用済モックス燃料の放射線管理・作業者の被ばく低減を含めた4つの要請受入を前提に事前了解しており、これらも「消滅」したので、その検証も当然に不可欠です。