「第14回shiseido art egg 西太志展 ゴーストデモ」 資生堂ギャラリー

資生堂ギャラリー
「第14回shiseido art egg 西太志展 ゴーストデモ」
2020/10/2~10/25



資生堂ギャラリーで開催中の「第14回shiseido art egg 西太志展 ゴーストデモ」を見てきました。

「新しい美の発見と創造」(公式サイトより)を目指すべく、2006年より公募プログラムとして展開してきた「shiseido art egg」も、今年で第14回目を迎えました。

全215件の応募のうち選ばれたのは西太志、橋本晶子、藤田クレアの3名で、それぞれ10月より約1ヶ月弱、個展の形式で作品が公開されます。

まず第1期として行われているのは、1983年に大阪で生まれた西太志の個展「ゴーストデモ」で、油絵具やアクリル樹脂などによる絵画の他、陶土や角材、それに段ボールなどを用いたインスタレーションを展示していました。



ともかく会場に入って目を引くのは、ほぼモノクロームに染まった16枚の絵画で、ホワイトキューブを取り囲むようにぐるりと並んでいました。いずれの絵画にも殴り書きのような筆触で人物や樹木、はたまた何物にも捉えがたい妖怪のような生き物などが表されていて、奇異でかつ幻想的とも呼べるような光景を生み出していました。タイトルに「ゴースト」とあるように、幽霊の住み家へと迷い込んだような気持ちにさせられるかもしれません。



そして何よりも黒の感触が生々しく、コールタールを塗り込めたような質感を見せていて、一部の絵具は爛れるように黒光りしていました。また一見、樹木のような具象に映りながらも、線が乱れるように渦を巻く抽象のようにも思えて、イメージは複雑に展開していました。例えばポロックのドリッピングを連想させる面もあるのではないでしょうか。



また絵画には「煙をつかまえる」や「丘の上で」、それに「草むらに眠る」などのタイトルが付けられていて、何らかの物語が進行しているようにも感じられました。このうち特に印象的な「月の裏側を見る」では、横たわる人をたくさんの猫や犬と思しき動物や鳥が囲んでいて、釈迦入滅の光景を表した涅槃図のイメージと重なって映りました。



続く奥のスペースでは、人型の陶のオブジェなどが展示されていて、絵画の中の人物が立体化していました。また木材や段ボールなどが一見、無造作に置かれている上、制作途中のような作品もあって、アトリエへと迷い込んだかのようでした。



西はスペインの画家、フランシスコ・デ・ゴヤの「黒い絵」に影響を受けたとしています。「我が子を食らうサトゥルヌス」などの「黒い絵」の直接的な引用は見られませんでしたが、しばらく作品を前にしていると、人の奥底に潜む何らかの強い感情が画面全体へ憑依しているようにも思えました。



「第14回 shiseido art egg」展示スケジュール
西太志展:2020年10月2日(金)~10月25日(日)
橋本晶子展:2020年10月30日(金)~11月22日(日)
藤田クレア展:2020年11月27日(金)~12月20日(日)

新型コロナウイルス感染症対策に伴い、入場はオンラインで事前に予約する必要があります。また紙の作品リストは会場で配布されずに、スマートフォンで閲覧する形になっていました。また同ギャラリーサイトからも見ることも可能です。


10月25日まで開催されています。 *写真は全て「第14回shiseido art egg 西太志展 ゴーストデモ」展示風景。

「第14回shiseido art egg 西太志展 ゴーストデモ」 資生堂ギャラリー@ShiseidoGallery
会期:2020年10月2日(金)~10月25日(日)
休廊:月曜日。*祝日が月曜にあたる場合も休館
料金:無料。
時間:11:00~19:00(平日)、11:00~18:00(日・祝)
住所:中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビル地下1階
交通:東京メトロ銀座線・日比谷線・丸ノ内線銀座駅A2出口から徒歩4分。東京メトロ銀座線新橋駅3番出口から徒歩4分。
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