「江~姫たちの戦国」 江戸東京博物館

江戸東京博物館墨田区横網1-4-1
「2011年NHK大河ドラマ特別展 江~姫たちの戦国」
1/2-2/20



「戦国のスーパーセレブ」とも呼ばれる今年の大河ドラマの主人公、江(ごう)の軌跡を辿ります。江戸東京博物館で開催中の「江~姫たちの戦国」へ行って来ました。

戦国の世、浅井三姉妹の三女に生まれた江は、2度の落城と3度の結婚を経験するという、まさに波瀾万丈の人生を送りましたが、この展覧会ではその軌跡を同時代の資料や美術品などで丹念に追いかけています。

展覧会の構成は以下の通りです。(出品リスト

第一章 江の父母と伯父
第二章 江の姉・茶々が嫁いだ豊臣家
第三章 江の姉・初と京極家
第四章 江が嫁いだ徳川家


江は最期、徳川家光の母として人生を終えますが、彼女の一家は織田、豊臣らとも密接に関わったこともあり、戦国にまつわる幅広い文物も紹介されていました。密かに告白すると私は大河ドラマを見ていませんが、一歴史展としても楽しめる内容ではないでしょうか。屏風、蒔絵、刀と見所は少なくありませんでした。

冒頭「プロローグ」に登場するのが、江と家族の生涯を図解で説明したパネル展示です。いつもならこうしたパネルを素通りしてしまうことが多いのですが、母の市や姉の茶々らといったお馴染みのヒロインたちの系譜を見ると、改めてその数奇な運命に戦国の激動の世を思わざるをえません。

大阪の陣では姉の茶々は豊臣方に、そして江は徳川方にあり、もう一人の姉の初は双方の和睦を目指して奔走した京極家に嫁いでいました。バラバラになった三姉妹のそれぞれの思いを想像するだけでもぐっと来るものがありました。


「賤ケ岳合戦図屏風(右隻)」 江戸時代中期  馬の博物館蔵

私としてハイライトに挙げたいのは華麗な屏風です。江の母の市が嫁いだ柴田勝家と豊臣秀吉の戦った「賤ヶ岳合戦図屏風」や、江の五女和子が入内する様などを描いた「東福門院入内図屏風」などは見応え十分です。また後陽成天皇が聚楽第を訪ねた様子を表した「聚楽第行幸図屏風」も一際目立っていました。

聚楽第関連としてもう一つ挙げたいのは、その姿を写した「豊公築所聚楽城之図」です。そもそも聚楽第は僅か8年で失われたこともあり、全貌がよくわかっていませんが、ここでは図解されたその姿を伺い知ることが出来ます。

また図と言えば狩野晴川院の「江戸城本丸等障壁画絵下絵」も忘れられません。こちらも失われた江戸城本丸の障壁画など整地な描写で写し取っています。絵画好きには嬉しい作品でした。


「崇源院宮殿」 1628年 東京・ 祐天寺

最後にはあっと驚く展示が待ち構えています。近年改めて存在の確認された江の霊廟、「崇源院宮殿」の美しさには見とれてしまいました。ここは暗がりに浮かぶ飛天や蓮華などの細かな意匠をじっくり味わいたいところです。


「桐鳳凰文蒔絵唐櫃」 桃山時代 京都・豊国神社

単なるテレビのタイアップ展と片付けてしまうのには勿体無いのではないでしょうか。京都や滋賀、それに福井などの各寺院、また京博、徳川美術館など、よくぞここまで集めたと思うほど関連の作品が展示されていました。

私のように殆ど江の知識がなくても強力な助っ人がいるので大丈夫です。鈴木保奈美さんによる音声ガイドは展示に対する理解を深めるのに申し分のない内容でした。


画・山口晃

ショップにも嬉しいサプライズです。かの山口晃によるポストカードやクリアファイルがお目見えしています。思わず買い集めてしまったのは私だけではないかもしれません。

さすがに会場は賑わっていました。会期末にかけてはさらに人出が増すかもしれません。

2月20日まで開催されています。

*開館日時:火~日(月休) 9:30~17:30 土曜日は19:30まで(入館は閉館の30分前)
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