goo blog サービス終了のお知らせ 

「山口藍 『山、はるる』」 ミヅマアートギャラリー

ミヅマアートギャラリー目黒区上目黒1-3-9 藤屋ビル2階)
「山口藍 『山、はるる』」
3/14-4/14

ミヅマアートギャラリーで開催中の山口藍の個展です。中性的で幼い遊女をモチーフとした、ドローイングやインスタレーションが展開されています。



山型の支持体を用いた独特の絵画が印象に残りました。まさに富士山のような形をした山のオブジェに、何名もの幼女が寄り添うようにして描かれています。ヒスイをはめ込んだような鮮やかな緑色の瞳と、白く透き通るような柔らかい肌、さらには真っ黒な日本髪とかんざしが特徴的です。そして彼女らを、何やら琳派風の水模様が包み込んでいます。ちなみに、この一見、川にも見える黒い水紋は、さらにその背景に大きく描かれた幼女の振り乱す髪の毛です。また所々、精緻に描かれた和服の柄や草花の紋様にも力が入っています。アニメーション的な動きも感じられる作品です。

ここに登場する女性たちは、江戸時代後期、とある峠にあった岡場所(いわゆる私娼。当時において違法な遊女屋の集まった場所。)へ身売りされてしまった幼い少女をモデルとしているのだそうです。どこか可愛気な雰囲気を纏いながらも、その表情に一抹の寂しさを感じるのは、そんな由来があるからやもしれません。

奥の小部屋に展示されているドローイングも見逃せないと思います。特に、壁へ直接描かれたほぼ等身大の幼女は圧巻です。その大きく見開いた瞳より放たれる強い眼差しからは、しばらくの間逃れることが出来ませんでした。

どちらかというとモチーフとしてはやや苦手な印象もあるのですが、その画力には強く魅せられました。来月14日までの開催です。(3/24鑑賞)
コメント ( 3 ) | Trackback ( 0 )