Hanews-はにゅうす

ウィーン歌曲歌手、「はにうたかこ」の毎日のちょっとしたことを書いています

フォルクスオパー「エヴァンゲリマン」16.4.2008

2008年04月17日 05時19分27秒 | Weblog
日本じゃ絶対見られないオペラを観てきました。von Wilhelm Kienzl (キーンツル)という人のオペラです。ワグネリアンだったそうです。私は名前も聞いたことがない作曲家です。すみません。

なのに、フォルクスの宣伝文には、「このオペラがすでにヨーロッパで5300回も上演されたのをご存知ですか?」から始まるんですよね。気にはなっていましたが、シリアスな内容そうだし、ついていけるかどうか心配だったので、あとあとになっていましたが、今日最終上演に行って来ました。以外に面白かった。たぶん演出がよかったからだと思います。

お話をかいつまむと…
1900年頃、兄弟は同じ女性を好きになっているのだが、マルタという女性は弟のほうと恋仲。この二人をねたんで、兄が村の家屋に火をつけ、弟のせいにしてしまう。そのせいで弟は20年の禁固をくらう。(めっちゃ簡単ですが、ここまでが1幕)

時は流れて1930年頃のウィーン。弟はやっと解放されたものの、人々に聖書を読んだりして福音を唱えて歩きながら物乞いをするエヴァンゲリマン(福音者)となっていた。また兄のほうは病気ですでに末期を迎え、病院にいた。この二人が偶然に再会する。兄は死の前に自分の罪を話、弟はそれが兄の仕業だったと気づく。しかし弟は兄を一度は殴りそうになるが、がまんし、許す。兄は弟の福音を聞きならが死を迎える。幕。

もし日本がキリスト教の国だったら、クリスマスに子どもは「ヘングレ」、大人は「エヴァンゲリマン」になっていると思います。それくらい意味あるお話だったし、音楽も(最初ワグネリアンだと聞いてドキッとしましたが)ヘングレのフンパーディンクもワグネリアンだとかで、とってもよく似てました。だから充分きれいです。特に「福音の歌」はヘングレの天使の場面を思い出すような、あの天国の和音です。その上、1幕はまるで火曜サスペンス劇場を見ているようにドキドキハラハラだったのでドラマとしてもおもしろかった。

今回の一番は演出でした。1900年の田舎の村。ここの生活をくまなく舞台上で見せながら話が進む。歌わない、話さない人が舞台の上にたくさんいるんですが、彼らがいったい村の誰で、どんな人生を生きてきたか、見ていてわかる。(私こういうの大好きです)もう、歌とは全然違うところに目がいってました。

後半は1930年なので、そろそろ不穏な空気が漂い始めた頃。貧しい人たちの生活をこれもとてもうまく演出していました。楽譜にはないことが、演出家によって生まれているのがわかります。そしてうれしいことに「うるさくない」。

もし、ウィーンにくることがあって、その時このオペラをやっていたら、ぜひ見てください。まったく知らないオペラをこれだけ集中して楽しめたのは久しぶりでした。

追伸:最後のいいところで、客電が100%でつきました。あわてて消えましたが…「またやってくれたぜ!」と心の中で叫んでいました。お客さんからは失笑を買っていました。それでも始末書とか書かないんだろうなぁ…きっと、みんなで笑って終わってると思います。

RegieJosef Ernst Köpplinger
BühnenbildJohannes Leiacker
KostümeMarie-Luise Walek
ChoreinstudierungMichael Tomaschek
BühnenbildassistenzJulia Müer
KostümmitarbeitKarola Cermak-Simakova

DirigentJohannes Fritzsch
Martha, Engels NichteKristiane Kaiser
Magdalena, deren FreundinAndrea Bönig
Aiblers FrauSulie Girardi
Frau HuberKarin Gisser
Friedrich Engel, JustiziärLars Woldt
Johannes Freudhofer, SchullehrerDietrich Greve
Mathias Freudhofer, AmtsschreiberMichael Baba
Xaver ZitterbartGernot Kranner
Anton SchnappaufJosef Luftensteiner
Hans, ein junger BauernburschChristian Drescher
Friedrich AiblerJosef Forstner
NachtwächterThomas Plüddemann
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« お腹まわりの肉が・・・ | トップ | ウィーンの桜祭り »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事