Hanews-はにゅうす

ウィーン歌曲歌手、「はにうたかこ」の毎日のちょっとしたことを書いています

イイダ違い

2007年07月17日 22時32分03秒 | Weblog
森鴎外の作品に「文づかい」というのがあります。まだ最後まで読めていないので、話は半分しかわからないのですが、その中に、ある女性が出てきます。

森鴎外の解説文などに、なんども「イイダ姫」と書いてあったので、ずっと「飯田さん」という人のことをそう呼んでいるのだと思っていました。そしてその人は姫と呼ばれるように気高いお嬢さんなんだと。

そして今日、読んでひっくり返った。飯田ではなく、「イーダ Ida」姫なのでありました。そう、オペレッタ「こうもり」にも出てくる、アデーレのお姉さんイーダと同じ名前です。ああ、恥ずかしい。

そんな、よくわからない森鴎外の作品の中でも、時々とても興味深く読めるところがあります。それは、日本にないものを鴎外が見たときの驚きや、それを読み手の日本人に伝えるための表現の方法です。なぞなぞのようにおもしろいです。

原文そのままではありませんよ。でも

例えば、「とっくり3つ4つ分くらいあわせた大きさのの杯で、円筒形、弓なりの取っ手をつけて、金蓋を蝶番(ちょうつがい)に作って覆っている。」なんだかわかりますか?ビールジョッキです。

他にも、小さな座敷(サロン)に、柔らかい椅子「ゾファ」脚のきわめて短い~とか、

「ピアノ」も、おもむろに下す指先「タステン木端」←(ドイツ語で鍵盤のこと)に触れて起すや金石の響、だそうです。金石ですよ、金石!どんなふうに聞こえ、感動したのでしょう?

そういえば、私の3番目の下宿には、古いピアノがありました。鍵盤の両脇には、ロウソクを立てる所がありました。私がそこにロウソクを立てたことはありませんが、鴎外の文章の中には、召使があわててロウソクを準備するシーンがあります。
そういう時代にドイツにいたんですね。そう思うとすごいです。尊敬してしまいます。だって、今もきんぴらごぼうはありませんが、おでんも、白菜も、キャベツも、魚も、練り物も、日本で食べているものは、ほとんど何もなかったと思います。そんな時代に、何ヶ月も船に乗ってよく行ったものだと、本当に尊敬します、鴎外様。





コメント (2)
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