デンマークの古民家のきれいに切られた新聞で飾られた棚
多分、どこの国でもそうだったのだろうけど、デンマークの古い家(デンマークにはよく古民家などを集めたり、再現したテーマパークがあります)を見ると、やはり部屋が小さいことに驚きます。部屋が小さいだけでなく、天井も低く、なぜか、リビングにベッドが置かれていたりして、ひとつの部屋をいろいろな目的に使っていたこと、部屋数がないところに大勢で住んでいたりしたので、使わざるをえなかったことが想像されるところです。
さて、現在のデンマークの住宅は、それこそ世界に誇るような質実ともにすばらしい家です。冬は暖かくて快適、夏は開放的にお庭を楽しむ、という感じでしょうか。そして家具やインテリアもどこの家に行っても、センスよく、すっきり、とても素敵にまとめられています。
そんなデンマークの家ですが、今回、ちょっと気づいたことがありました。デンマークの家の部屋が小さい、ということです。もちろん昔のような部屋の小ささではありませんが、リビングが大きく取られており、各部屋は意外と小さいのです。日本の部屋の感覚で各自の部屋は6畳くらいが平均でしょうか? だとすると、根拠はありませんが、私の感覚だとデンマークの各自の部屋は6畳か8畳なのですが、同時にそれを下回るようなサイズの部屋がデンマークでときどき見られます。
以前、日本で幕張にイケアがオープンしたときに、4畳半のスペースをいかに上手に活用するかという展示をしていたのを覚えています。あのとき、確か日本にアジャストして、というふれこみだったと思いますが、今思うと、それこそ北欧の家の真骨頂、限られたスペースをどう上手に生かすか、というような考え方が共通しているのかもしれません。
でもデンマークの家と日本の家の違うところは、とにかく収納が工夫されてたくさん取られているところ。今年の夏借りたサマーハウスは中2階の子供用の部屋が一部屋あったのですが(あの階段を数段上がっていくところが私は大好きです)、うるさい子ども達を隔離するためかと思いきや、その部屋の真下には収納の大きな部屋が取られていて、そのために中2階を作ってあったのでした。同時に1階のリビングやマスターベッドルームの天井裏にも、はしごで上がっていける収納がありました。その工夫のされ方に感動してしまったのでした。
もうひとつ、デンマークのリビングルームについて。リビングルームは日本よりもずっと広く取られていることが多いようですが、デンマーク人は部屋をいくつかの目的別コーナーに分けて使っているように見受けられました。日本だったら、ダイニングテーブルとダイニング用椅子、そしてソファと低めのテーブルというようなセットがリビングルームにあるものでしょうか。中にはダイニングテーブルだけ、という家もあるかもしれません。デンマークではこの2つのコーナーに加え、もうひとつテーブルと椅子のセットがあることもあります。そこは窓辺でちょっとお母さんがお茶をするスペースだったり、子どもが座って宿題をするスペースだったりするようです。
このように広いリビングを、あちこちにコーナーを作って、食事のコーナー、くつろぎのコーナー、一人でお茶をしてヒュッゲするコーナーなどと目的別に上手にレイアウトしているように見えました。家具もたいてい一家にひとつは祖先から受け継いだという、美しい年代ものの家具を置いてあったりしますし、実用的なものや装飾的なものなどをけっこうたくさん置いてあります。それでも狭い感じがしないのが、彼らのセンスと天井の高さかもしれません。
スペースの都合ということもありそうですが、デンマークの部屋の小ささはどうも私には彼らが実は狭いところが落ち着く、ヒュグリだ、という感覚を持っているのではないかななどとも思います。あるいは、部屋の狭さなどは無駄なスペースは省いてよいという考え方なのかなとも思います。そして各自の部屋が狭くても、家族共通の部屋があって(例えば階段を上ったところの広いスペースなど)、そこで家族共通で使うもの、コンピュータや楽器、卓球台などが置かれていたりします。そういったスペースも実用的でいいなと思いました。
デンマークから帰って、我が家も少し変革しなくては!と思い、8月はがんばりましたが、9月に入ってからはすっかり定着して日常生活にかまけています。またどこかで奮起して、デンマークを見習って、楽しく快適な生活ができる家を目指さなくては!