デンマーク・ハーフキッズ

デンマークについての情報やニュースを紹介、またデンマーク人と日本人のハーフの子供たちの子育て日記。

「恋に落ちる確率」

2008-01-05 08:27:45 | デンマーク 映画・芸術関係
 普段は映画をなかなか見れないのですが、久しぶりに2本見ました。ひとつは「ナインス・ゲート」という夫が選んだジョニー・デップ主演のDVDです。意外と面白くてよかったです。ジョニー・デップならではの奥行きのある演技、不思議な展開は早くて、引き込まれてしまいました。こういう映画だと我が家では夫と映画の楽しみを共有できます。(普段はかなり映画の趣味が合わないのです。)

 さてもうひとつの映画が、私チョイスのデンマーク映画「恋に落ちる確率」です。

 原題はReconstruction(再生、再建)ですので、ちょっと邦題の確率という言葉が違うニュアンスをかもし出してしまうようには思います。一人の男の人が人生の岐路で選ぶ相手に迷うという設定なので、そういう意味では選んだ後の人生に対する確率という言葉は的確なのかもしれないのですが、見る前はタイトルのイメージでもっと軽い恋愛物を想像していました。

 あいまいなストーリーですし、結論がこうという映画ではないので、かなり個人の解釈の幅が広がる映画です。見終わったときはよくわからなくて気持ち悪いと思ったのですが、一夜明けて、じわじわと解釈できるようになり(笑)、私なりになるほどねぇと思っています。

 全員とはいいませんが、男の人って本当に自分本位というか、永遠の子どもなのですね。この映画の主人公のアレックスも30代で仕事も結婚も覚悟を決められず、その瞬間瞬間で生きているんだなあ、と。何事も決めようとする女の人に対して、決めようとしない男の人のひとつの典型を見た気がしました。もちろん実生活でそういう人生を歩んでいる人は少数派で、実際にはどこかで覚悟を決めて人生を歩んでいる人が多いと思いますが、男の人はどこかファンタジーの世界で生きているところがあるように思います。よい言い方をすれば夢があるわけで、だからこそ世界が発展してきたということもあるのでしょうけれど。

 アレックスは素敵な女性2人の間で揺れて(現実の人生と甘い夢の世界の人生の間で揺れて)、最後は一人になってしまうのですが、監督が男の人でそういう男の人の気持ちをよく描写していると思います。そして最後がハッピーエンドではなく、寂しい終わり方であること、映画全体が現実ではないことあたりが「ちゃんとわかっているのね」と好感が持てました。それでハッピーエンドだったりすると「わかってない!若すぎる!」と女性の反感を買うことでしょう(笑)。

 それにしてもアレックス役のニコライ・リー・コースは私の好み。名前はデンマーク人だけど、典型的なデンマーク人の風貌とは違うように思うのですが、違う人種の血も入っているのかな? 以前「しあわせな孤独」のときも素敵だったけれど、今回はいっそう魅力的になっていました。