映画時々お酒

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後で観るか先に観るか

2003-05-18 23:38:00 | インポート
早く書こうと思っていたのに・・関連作品が公開されてしまった。それは「めぐりあう時間たち」。で、ご紹介したいのは、それにすごく関わりがあると言う、ヴァージニア・ウルフの「ダロウェイ夫人」。本屋では早くから「めぐりあう・・」と共に、この「ダロウェイ夫人」も平積みされていたから、もう読んだ人もいるかもしれません。私は原作は読まず、映画だけを観てしまってることを、一応、お断りしておきます。映画は原作を脚色してあると思いますので。

ヴァネッサ・レッドグレイヴ主演。1997度作品。

上流社会の娘として生まれ、財産にも美貌にも恵まれたやさしいクラリッサは、友達にも恵まれ何不自由ない生活を送っている。そんな中、はっきり物を言う行動的なピーターに惹かれながらも、落ち着いた男性、リチャード・ダロウェイと結婚する。
その後も恵まれた平穏な人生を送るクラリッサだが、老年にさしかかり、今やダロウェイ夫人としか呼ばれず、ダロウェイ夫人として生き続けてきた自分に、ふと虚しさを覚えてしまう。自分はいったい何者だと。自分の人生は何だったのだろうと。
旧友たちとの再会と、戦争の後遺症で自殺した青年の話を聞くと、さらにその思いはまし、パーティの最中にふと死の衝動に駆られる・・

あんまり書くと、「めぐりあう・・」のネタバレになるかもしれないので、内容はこのへんで。(ちなみに「めぐりあう・・」はまだ未見です)

内容的には、女性でなければちょっと理解しにくいかも、と私は思うのですが。男性方、どうですか?時代背景も多いに関係していると思います。当時の女性にはあまり選択肢がないと言うか、やはり保守的・・でも現代でも、やはりこういう気持ちは、女性は持つかもしれない。固有名詞のファーストネームではなく、「奥さん」とか「~のおかあさん」とか呼ばれることと同じと思う。その受け止め方は人それぞれでしょうが。でも現代の女性なら、それを含めて、さらに自己主張出来そうです。

感傷的な話かもしれませんが、映画的には、ヴァネッサの演技と言い、落ち着いた上品な作りと言い、傑作だと思います。ちなみに若いクラリッサを演じるのは、ナタ-シャ・マケルホーンで、ヴァネッサともども、上品できれいです。