指田文夫の「さすらい日乗」

さすらいはアントニオーニの映画『さすらい』で、日乗は永井荷風の『断腸亭日乗』です 日本でただ一人の大衆文化評論家です

『風の慕情』

2018年03月10日 | 映画

1970年、松竹で作られた吉永小百合と石坂浩二の共演作品、監督は中村登で、シナリオは橋田寿賀子である。

エリートサラリーマンの入川保則から求婚された吉永は、すぐには返事できないと、オーストラリアにいて会ったことのない姉に相談しようとシドニーに行く。

空港で森次晃嗣に会って言い寄られたりするが、空港で偶然に石坂浩二に出会い、留学生の彼は姉の住所の家に連れて行ってくれるが、そこには不在。

姉は、戦時中に家族とフィリピンにいて幸福な生活をしていたが、戦後の混乱で両親が死に、オーストラリアに行って現地の人間と結婚しているはずとのこと。

石坂はシドニーの名所を案内してくれるが、メロドラマは別の見方をすれば観光映画なので、名所を背景に主人公がウロウロするのはメロドラマの定石。

                                

ある夜に吉永と石坂がホテルで食事していると、森次が現れ、別のテーブルにいた日本人の女(香山美子)は「淫売婦だ!」というと石坂と喧嘩になる。

その女・香山美子は、実は吉永小百合の姉だが、ギャングの情婦になっていて、石坂はよく知っているのだった。

香山美子は、東宝で子役もやっていた女優で、吉永小百合に似ていたので、これは適役である。

最後、香山はギャングのもとを逃げ、フィリピンのマニラに行き、海に入って自殺する。

すべてを知った吉永は、平凡な生活こそ幸福だと知り、日本に戻って入川と結婚することを決意してエンドマーク。

まことになんのためにオーストラリアに行ったのか、ほとんど分からない映画だった。

音楽がいずみたくで、いずみは芥川也寸志の弟子なので、映画『砂の器』のようなピアノ曲が響くのがおかしい。

衛星劇場



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