指田文夫の「さすらい日乗」

さすらいはアントニオーニの映画『さすらい』で、日乗は永井荷風の『断腸亭日乗』です 日本でただ一人の大衆文化評論家です

200万で売った土地を60億で買い戻す

2023年11月25日 | 横浜

私のもう一つの市長決済事案について書く。

これは、新杉田にあった西武鉄道の土地の購入である。

昔の人なら、新杉田に西武のゴルフ練習場やテニス場、自動車学校、そして西武農園のガーデンがあったことを記憶しているだろう。

実は、ここは戦後すぐ横浜市が埋立権を取得して工事をしていた場所だった。

根岸湾は、戦前から湾の北と南の両方から埋立を行ったもので、南の新杉田はおそらくは県の埋立で、日本飛行機や県工業試験場などがあった。

そこにさらに横浜市が戦後、埋立を行ったのだが、当時は根岸湾のハ地区の埋立以前で、湾の波浪は非常に大きく、ある時台風の波で、護岸が壊されてしまい、ついに横浜市は埋立を断念した。

                

その埋立権を取得したのは、当時横浜で、野毛の横浜国際劇場、野毛山の迎賓館等をもっていた桑島建設が設立した財団法人に売ってしまった。

この財団の計画は興味深く、新杉田に海洋性レジャー施設を作るという斬新なものだった。

ただ、その中に競艇があり、杉田の住民から強い反対が出た。

そんなことをしている内に、桑島建設の経営がおかしくなり、彼らは、埋立権を西武鉄道に売却した。

そして、西武は、ゴルフ練習場等を作ったのだ。ちなみに、この新杉田の用地は、全部西武鉄道の所有になっていた。ある時、その理由を聞いたことがあるが、鉄道会社は、国の監督もあり、安全なので西武関係の土地の所有者は、基本的には西武鉄道だと聞いたことがあるが、多分そうだと思う。

1980年代に、そこを国道357号線が通過することになり、なぜか港湾局が取得の担当になっていて、私が担当したのだ。

これについては、どこからも文句はなく、無事約60憶円で横浜市が取得し、現在は磯子スポーツセンター、野球場等になっている。

その後、私はパシフィコ横浜に異動して、係長をやっているとき、その新杉田の埋立権を売却したであろう、総務部長の岡本坦さんにお聞きした。

「あれは、年末の職員に払うボーナスがなかったので、200万円で売ったのだよ」

と教えてくれた。

昔は、横浜市役所も大変だったんだなあと思ったものだ。

 

 


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