指田文夫の「さすらい日乗」

さすらいはアントニオーニの映画『さすらい』で、日乗は永井荷風の『断腸亭日乗』です 日本でただ一人の大衆文化評論家です

北朝鮮の『ゴジラ」映画監督申 相玉監督(シン・サンオク)

2006年04月13日 | 映画
北朝鮮の『ゴジラ』映画『プルガサリ』の監督申氏が亡くなった。
韓国の監督だったが、北朝鮮に行き(当初は亡命と言われたが、後に拉致が判明)、北朝鮮のゴジラ映画『プルガサリ』を作った。さらに北から亡命し、米国に行くという数奇な運命をたどった方である。

『プルガサリ』は、1989年にアメリカ版『ゴジラ』が公開されたとき、便乗的に公開されたが、制作には日本からゴジラ役者の薩摩剣八郎さんらが参加した。
中世、独裁者の圧制に苦しんでいる農民に、伝説の大怪獣プルガサリが現れ、圧制者を倒してくれる。
だが、プルガサリは鉄を食べる怪獣なので農機具が不足し、再び農民は貧困に苦しむ。
そのとき、一人の乙女が怪獣の犠牲になろうとし、流した涙が怪獣を土人形に戻し圧制は終わる。
映画の機材が古いせいか、撮影と編集が粗雑だったが、なかなか面白い作品だった。

一度は農民を解放するが、すぐに邪魔者になるプルガサリという怪獣は、「日本帝国主義」から朝鮮を解放するが、独裁者となった金日成・金正日親子のことだろう。
『ゴジラ』映画にこうしたメッセージを込めるとは、申監督なかなかたいしたものだと思った。